「街の混乱を収める必要がありますね。幸い電脳士としての嗜みもありますし復旧作業に従事しようと思います」
邑垣 舞花は、政府と連絡を取って正式に暴走電子機器の復旧作業を請負った。
相手が特異者であった他、事態が事態なだけに政府の方は、快く承諾してくれた。
そして、最も被害が多いとされるシンフォニアに単身で向かった。
そこでは、ロボットが暴走して社員を襲っていた。
「これは一大事ですね。今すぐ何とかしないと……」
舞花は電脳士としての全知識を総動員して、電子機器を破損させずに無力化出来るポイントをハンドガンによるエイミング射撃で襲い掛かって来るロボットを次々と鎮圧させていく。
それが終わった後、電子機器にハッキング対策済みのウェアラブルコンピューターを接続して、専門家の基礎と緊急対応を駆使した復旧作業に勤しんだ。
「パソコンの復旧もありますから、少々時間は掛かりそうですけど、他の人達も頑張っているのですから、私が挫けてはいけませんね」
それから数時間、破損したデータやプログラムに悪戦苦闘しつつも、どうにかデータを復旧させることが出来た。
「電子機器の修理とヒトを電脳生命体へ変えるロステクを破壊するネ」
アイリス・シェフィールドは、エネミーが取り憑いた電子機器を捕まえて技師クラスの技術で電子機器をバラバラにする事により行動不能にした後、エネミーをイレースする作戦に出た。
暴走しているロボットに対して、スペシャリストの神髄と緊急対応を発揮して、ロボットを捕らえて解体させていく。
数時間後――
「とりあえず、解体は終わったネ」
アイリスの目の前には、綺麗に解体されたロボットのパーツが並べられた。
そして、エネミーが取り憑いて書き換えたと思われるハードの部分をチェックした。
「どうやら、ここに乗っ取って、悪さしていたみたいネ」
そう言って、ウェアラブルコンピューターを取り出して、ハードを読み込むと、エネミーと思われる人間が画面に現れた。
「どこだ、ここは? あっ、お前はまさか!」
勘の良いエネミーは、アイリスの顔を見てすぐに特異者と直感した。
「正解。まぁ、当たっても悪人に与える、ご褒美はナイけどネ」
と言いながらエンターキーを押すと、エネミー消去されていった。
なお、解体されたロボットは、きちんと元通りにした。
「ハッキング等で使えなくなった電子機器を新しいそれと取り換え、その過程で商売しましょう」
川上 一夫は、突然の緊急事態に商機を見出した。ハッキングされた電子機器は、復旧出来る物もあれば、もはや復旧出来ない物も生じる。とすれば、その復旧出来ない物を新しい物に交換する需要も発生すると考えたからだ。
まず、スコルーガでどの様な電子機器がハッキングされやすいかを調べた。
それらをリスト化した結果、どうやら人に危害を加えるという点からロボットがハッキングの被害に遭っている様だ。
「なるほど……だとすれば新しいロボットを作る必要性がありますね」
輸送宇宙船を借りて、スコルーガの外に出た。そして、スコルーガ程ではなくとも、科学技術レベルの高い星・アラスコ星区に赴き、新しいロボットを仕入れた。
「すみません。川上運送の者ですが、こんなロボットはいかがでしょうか?」
一夫はシンフォニアにロボットを勧めた。彼の目論見は見事成功した。かなりの利益をもたらした。
こうして、暴走した小型ロボットや電子機器は鎮圧され、無事に復旧された。
なお、戦闘によって破損したボディやパーツは、上述の通り、修理・回復スキルを持つ仲間と商売をしていた仲間が修理及び交換したことで、被害は最小限で済んだ。