ようやく敵の攻撃から逃げたエネミー。だが、そこには1人の女性が立ちはだかっていた。
「ずいぶんと面白い技を使うんだね。ボクも仲間に混ぜてよ」
興味津々に微笑む女性が答えた。
実は、アイン・ハートビーツが、待ち伏せしていたのである。
こちらは電脳空間に逃げてきた敵やパソコンを暴走させる敵を、退治するという役目だ。
「ふふーん、そこに隠れているのはお見通しなんだから!」
恋は指を差しながら、笑った。
しかし、こちらも簡単に降参する訳にはいかなかったので、攻撃を始めた。
アインは、敵のスキルをコピーしようと試みた。だが、コピー出来たのは、ハッキングスキルだけだった。
「あら? 思ったよりガードが堅いのね」
思念体の電脳化や電子機器の暴走など、コピーしたいものは他にも色々とあったが、それ以上のスキルを盗むことは不可能だった様だ。
戦闘が終わったら、仲間に頼んでこのロステクについて調べてもらおうと思った。
アインは事前に凜音からもらったカウンターウイルスで、敵を攻撃した。
敵は、みるみる侵食されていく。
「どうかしら? 自分達がしてきたことをされる気分というのは」
にこりと微笑むアインの前で、敵は答えることが出来ず、ただ悲鳴を上げながら消滅していった。
効果てきめんだった。
アインが電脳空間で戦っている頃、彼女のLCである
天城 摩耶と
夏色 恋は外部で、敵からの攻撃に備えていた。
すると、今度は電子機器を暴走させようとしてきた一味が現れた。
「敵は電脳空間だけで襲ってくるとは限らないよね。近場にいるロボットや機甲士をハッキングした上で物理的に襲撃してくる可能性もあるじゃない? でも、敵が動くより先にやっつけるよ!」
恋は、 野生の勘と超常感覚を研ぎ澄まして、外部からの襲撃者の接近だけではなく、既にこの周辺にある電子機器がエネミーにハッキングされて突然暴れ出す可能性も考慮して、常に警戒を怠らない様にした。
また、サイバーダイブ中のネットランナーは、恐らく無防備になると考えた。
高速戦闘で無数の拳を繰り出し、攻撃がこちらに及ぶ前に迅速に退治していった。
だが、彼女が戦っている隙に、別の一味が摩耶に襲い掛かって来た。
「おっと、女性に手を出すのは感心出来ませんね」
摩耶はミラージュで、敵の攻撃を回避していったが、ほんの僅かだが相手の拳が彼女の肩をかすめた。
「あっ、摩耶ちゃんに何をするんだ!」
恋は敵に強烈な拳を一発入れて、気絶させた。
「全く、女の子に乱暴しちゃダメだよ!」
恋が一喝したが、気絶した者にその声は届いていない様だった。
「摩耶ちゃん、大丈夫?」
「これくらい、ヒーリングで治せば平気よ」
摩耶は笑顔で答えた。大きな怪我を負っていなくて良かったと恋は安堵した。
だが、安心したのも束の間……。
遠くから電子機器の暴走を目論むエネミー達がやって来た。
「何だ? 今度は随分と大勢でのおでましの様ね」
「これは、かなり時間が掛かりそうだな」
「怪我をしたら、私が治してあげますからね」
その後も、3人は次々と敵を倒していった。
また、暴走した電子機器やロボットは全て摩耶が修理・治癒したことで、データは無事だった。