クリエイティブRPG

九龍 -Nonahead Dragon-

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九龍 -Nonahead Dragon-
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 その戦いは、依頼でも何でもなかった。
 彼等が何故そこに現れたのか、お互いにすら分からなかった。――もしかしたら、自分自身にすら。
 ある者は教会で二人が戻らないのを聞き、不審に思ったのかもしれない。ある者は独自に村長の家を調べたのかもしれない。あるいは推理と探求の末に、そこに辿り着いた者もいるかもしれない。
 そして、そのどれでもない者は――あるいは本当に、何かに導かれたのかもしれない。
 答えは、己だけが知っている。


 1. AM4:30 九龍祭壇

「事件の元凶の存在ですね。皆が愛で優しくなれるよう、全力で行きます。――行くよ、ルージュ、皆!」
「えぇ、優、行きましょう!」
 優・コーデュロイの言葉にルージュ・コーデュロイが応える。優は精霊剣《火精のルイン》と蒼剣《フィルマメント》の二刀を抜き放った。疾る。金貨の海に分け入った時、九龍の首の一つが気付いた。「させない!」ルージュが魔導弓《紅の凪》から矢を放つ。命中。矢が九龍に突き立つが、浅い。九龍の首がルージュを見る。反撃。九龍の口腔に炎が宿り、放たれる。「そこ!」魔視グラス。オメガフレア。攻撃を見切ったルージュは弓から爆炎を宿した鏃を放った。命中。爆発で九龍の首が大きくのけぞり、周囲に灼熱の炎が降り注ぐ。
「ふむ、我ら竜の狂乱し、破滅の存在である邪竜とはまた違った存在みたいだな――」
 呟き、レジェヴァロニーエ・レクラムは本来の姿である巨大な白竜に変身した。ドラゴンフォース。『参る!』吼え、レジェは九龍に襲い掛かった。《銀竜手甲》を着けた貫手が九龍を斬り裂く。九龍も顎を開いて反撃に移る。
「その醜さ、消してあげますわ!」
 風の刃が撃ち込まれ、その動きを阻害した。九龍の首は風刃を放ったシュヴァリエ・シリヴレンを睨む。「美しくない魔物ですわね。心の在り方が姿にまで出ていますわ。力を見せつけるのであれば美しさを持ちなさいな」反撃。九龍は怒りの咆哮と共にシュヴァリエに炎を放った。ニンブル。シュヴァリエは放たれた炎を瞬時に空中へ跳んで回避した。
「少し見ない間にずいぶんヤバイ事態になってますね……とにかく野放しにはできません。この《蒼の疾風》……微力ながら加勢致しましょう」
 言って、戒・クレイルはその背に翼を生やして翔んだ。ルートクロース。蒼剣《アスールセイバー》による高速の斬撃が九龍を斬り裂く。反撃。ファントムステップ。九龍の牙は瞬間移動した戒の残像を斬り裂くに終わった。
「随分と混沌とした状況になりましたが、まともな竜族と契約した身としては九龍のような邪龍は絶対に放置できない。つまらない探索と思ってましたが、熱くなってきましたわ……!」
 言って、松永 焔子は潜んでいた石柱の陰から飛び出した。神拳のペンダント。クールショット。重魔銃《ゴブリンマッシャー》を片手で構え掃射する。命中。弾幕が九龍の首に撃ち込まれ、一つがその片眼を潰す。反撃。九龍の炎が焔子へ伸びる。エレメンタルバリア。「エレメンタルバリアは地水火風のうち任意の属性を一つ選択できる――私は当然火を選択しますわ!」灼熱のバリアが焔子を包み、九龍の炎を遮った。
「正義の味方気どりかって? そうだよ? そこから生まれる自己陶酔こそ、あたしの原動力だから!」
「そうかい、好きにしな! ヒロイズムだかナルシシズムだか知らねえが――叩き潰してやるぜ!」
 谷村 春香が言い放ち、レオンもそう言い返す。
「折角ヴェイロン軍との戦いも終わって平穏を取り戻しつつあるのに……そんなことはさせないよ!」
「――なあ。すごくいいんだけどよ。そこまで言うならお前俺と戦ってくんない?」
 コネクトスピリット。精霊剣・水。さらに白輝の剣に指を這わせて血を吸わせる。春香は光と水を纏った剣を手に、九龍へと向き直った。
「あの村長、他の世界のことを知ってるってことは……いずれは他の世界への侵略を考えるかも知れないわ。だから、その自信の元は今ここで断っておかないと!」
 オータス・エウロギア。秋光 紫が春香の剣にさらに破魔の祝福を施す。「わたしの役目は支援役ね。こう暗いと照明が必要そうね。わたしが逆しまのカンテラで辺りを照らすわ」
「ありがとう、紫さん。――ハルキ、行こう!」
「ああ! ――あの龍を倒せれば、きっとあの元村長だって戸惑い、隙ができるはずだ。ならば、僕らであの九龍を撃破するんだ!」
 言って、谷村 ハルキは短槍《鋭貫の硬槍》を掲げて名乗りを上げた。「紫級騎士谷村ハルキ、騎士として、君に決闘を申し込む!」「なあ、すごくいいから、お前ら俺と戦ってくんない?」ジャストフィット。ハルキは冠紋の大盾を構えて九龍に突撃する。九龍の首の一つが気付き、迫るハルキに炎を吐きかけた。紺影のマント。グレートウォール。ハルキは構えた盾にさらにマントを被せ、炎を完全に防御する。反撃。ハルキはマントと盾を翻して防御を解き、空いた手に槍を構える。アーマークラッシュ。ハルキの繰り出した槍が九龍の胴に突き立った。
「春香!」
「わかってる!」
 魔壊の突風。ハルキの背後から飛び出した春香が剣を九龍に突き立てる。白い魔力光が炸裂し、九龍が悲鳴を上げてのけぞる。反撃。九龍の首の一つが直上から春香に炎を吐きかける。「くっ……!」エレメンタルバリア。春香は咄嗟にバリアを張って防いだ。
 敵が動く。一つ目の首が優に炎を吐きかけた。紺影のマント。精霊剣・火。優はマントを翻して炎を打ち払い、二刀に炎を宿らせる。反撃。九龍の胴に燃える二刀で斬りつけた。
 二つ目の首がシュヴァリエに炎を吐きかける。命中。「っ……無礼な!」炎に巻かれながらも弓槍で反撃する。命中。九龍の首に風の鏃が撃ち込まれる。
 三つ目の首は顎を開き、レジェに零距離で炎を撃ち込んだ。ホーリープロテクション。レジェは咄嗟に聖障壁を展開して凌ぐ。反撃。手甲を纏った拳が九龍の顎を打ち上げる。
 四つ目の首が大きく伸びてルージュに直上から食らいついた。回避。ルージュはこれをバックステップで避ける。反撃。ルージュの放った矢が九龍のこめかみに突き立った。
 五つ目の首は空中の戒に炎を吐きかける。ジャイレイトバックラー。紺影のマント。戒はマントと回転する盾で炎を防いだ。反撃。ルートクロース。戒の放った連撃が再び九龍を斬り裂く。
 六つ目の首が焔子に炎を吐きかける。焔子はやはりエレメンタルバリアで防いだ。「さて、あとはどちらが先に倒れるか……勝負ですわね!」言って、再びゴブリンマッシャーを斉射する。轟音と共に無数の弾幕が九龍の身体に撃ち込まれた。
 七つ目の首が春香を、八つ目の首が紫を狙って鎌首をもたげる。
「待て! 君の相手はこの僕だ!」
 ハルキが再び槍を掲げて叫ぶ。二つの首がハルキを見下ろし、そこへさらに九つ目の首も加わった。三つの首が同時に顎を開き、三重の炎をハルキに吐きかける。「ハルキ君!」ホーリープロテクション。紫が展開した聖障壁がハルキを護る。「ありがとう、助かった!」「いえいえ!」
「……では、こちらの番です」
 呟き、戒は防御を解いた。羽を散らせて九龍に向かって飛翔する。九龍が顎を開き、火球が戒へ向かう。ファントムステップ。残像を残して戒は上空へ翔ぶが、そこへ別の首が食らいついた。ジャイレイトバックラー。回転する盾が九龍の頭と打ち合い、鱗との摩擦で火花を散らす。ルートクロース。戒はその首の喉元を目にも止まらぬ速度で斬り抜ける。三つ目の首が下方からそこへ火球を放った。ファントムステップ。戒は残像を残して急降下し、ルートクロースでその首に剣を突き立てる。その首が痛みと怒りで身を捩り、戒を大きく吹き飛ばす。急制動。翼を拡げて速度を殺した戒に四つ目の首が襲い掛かる。
「油断しましたね」
 吹き飛びながらも戒はその首の動きを見ていた。急制動をかけながらもすでに蒼剣を大きく引き手に構えている。フルフローリッシュ。突っ込んできた九龍の顔が横一閃に斬り裂かれた。剣を振り抜いた戒の横を大量の鮮血を噴き上げながら通過し、岩壁にぶつかって力無く落ちる。戒は剣を払い、羽根を散らせて上空へ消えた。一体撃破。
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