クリエイティブRPG

-格資乃主- 城ル蘇

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1. PM23:00 狗庭城旧三ノ丸

 と、かつて呼ばれた面影はその場所にはすでに無く、そこには申し訳程度の城門と、壁を失った山道が天守へと続くのみであった。今やその全域に火が回り、使用人達が半狂乱で火消しに回っている。そしてそれを助けるべく、修祓隊も門を抜けて山道へと入ったところだった。
「――そこ!」
 禍心。祓行灯を掲げた九鬼 苺炎が、木陰に潜む敵を察知した。ハイドスロー。瞬時に抜き放った脇差《赤蜻蛉》を投げつける。命中。木陰から苦痛の呻きが上がる。反撃。離環。木蔭から矢が放たれ、しかし苺炎は半身を開いてかわした。「私には決定打……必殺技が足りないのよね。負傷を抑えながら堅実にやってくしかないか」
「あの炎……偽物です? 幻……?」
 アイ・フローラは炎が幻影であることに気づいていた。「それならこの森なんて隠れやすい上に奇襲もしやすそうですね……浄化は火狐に任せましょうか」火狐の呼び符。式符から炎を纏った狐が現れ、炎へ向かった。火狐の浄化の炎と幻影の炎がぶつかり、打ち消し合う。
「天守も気になるとこだが……避難する一般の人の守りも必要だろう。さっさと行くがいい、目立ちたがり共……」
 悪態を吐きながら、迅雷 敦也は潰槌を構えた。口調通りの極悪人らしいが、今回は無辜の市民のために戦ってくれるらしい。「何か言ったか……」言ってません。夜叉転身。碧朧。敦也の姿が蒼いオーラを纏った巨大な鬼と化し、槌を片手に山道を駆け始める。側面の茂みから軍服姿のマガカミが現れ、刀で敦也の脚を斬りつけた。「悪鬼来たれり……!」紅眼。纏火。敦也の眼が紅く輝き、炎を纏った潰槌が振り下ろされる。命中。狗は叩き潰されるが、どうにか槌を押し退けて離脱した。
「ハーイ♪ 斬りまくるよ〜」
 そこへ迅雷 火夜が側面から斬り込んだ。絣の祝詞。疎速。三井流弐ノ型・回風。高速で繰り出された螺旋の風刃が隙を見せた狗を削り斬る。狗はもんどり打って倒れ、早くも満身創痍の身体をどうにか起き上がらせた。しきりに目を擦っている。大ダメージを受けたばかりか火夜の妖刀《黒時雨》に目もやられたらしい。許容被害超過。さすがに堪えたのか反撃は無い。
「こっちこっち〜早く〜」
 夢風 小ノ葉は妖幼の風向で周囲を警戒しつつ、一般人の避難誘導を行っていた。(警戒してる素振りを見せておけば狗共は無警戒、無計画に見えるお兄さんを襲うほうを優先するはずだよー)見た目や言動に反してなかなか冷静である。
「俺だけの任務になっちゃったけど、やる事はハッキリしているね――!」
 畑中 凛は疾ノ脚で加速し、蛇行する軌道で前進した。敵が木陰から矢を射かけてくる。「そこか!」回避。練気の拳。凛はその狗に踏み込んで正中線に拳を撃ち込む。狗は大きく後方へ吹き飛び倒れた。反撃は無い。
 敵が動く。二体の狗が苺炎に矢を射かける。苺炎はその一発は回避するが、もう一発は被弾する。反撃。「張り付いてやれば……」苺炎はまず先程の狗に接近し、妖刀《錆喰》で斬りつける。燿刃。さらにその狗から赤蜻蛉を引き抜き、指を這わせて霊光を付与し、二体目の狗に投擲した。命中。またも木陰から悲鳴が上がる。
 別の二体の狗がアイに矢を射かけた。「……っ!? 矢ですか?」守護盾の霊符。アイは咄嗟に結界符を展開して矢を弾いた。
「あの炎の犯人かもしれません。逃がしませんよ?」
 反撃。岩駆狗。五星流壱ノ型・朧月夜。アイは神楽のような動きから霊符を三体の岩狗に変え、狗へけしかける。命中。朧月夜によって怯んだ二体の狗は三度の攻撃をまともに受けた。
 別の二体の狗が叢から飛び出し、敦也に斬りかかる。いずれも命中。
「一撃で沈めてやる……!」
 反撃。地割。敦也が踏み抜いた地面から岩塊が隆起し、二体の狗を吹き飛ばす。
 別の二体の狗が火夜に矢を射かけた。火夜は一発はかわすが、一発は被弾する。
「やったな~!」
 反撃。風雷。火夜の刀から黒い雷と風の刃が飛ぶ。いずれも命中。
 凛に殴られた狗が起き上がり、抜刀して凛に襲い掛かった。命中。
「っ――まだだよ!」
 反撃。命中。再び凛の拳が撃ち込まれ、腕帯《朱煉布》の衝撃波がまたも狗を吹き飛ばす。
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