クリエイティブRPG

ようこそ、辺境の村へ!

リアクション公開中!

ようこそ、辺境の村へ!
リアクション
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last

■遊具作り


 午前、ローランド、プリシラ公国、四方を森に囲まれた辺境の小さな村『ルーフェ』。

「……平和ね」
 エレナ・フォックスは村の平和さにしみじみ。
「人の出入りが少ないという事は娯楽もそう多くないでしょう。ここは一つ、この村の子供たちのためにプレゼントをしますか」
 綾瀬 智也が、和やかな風景を前に何やら思いついた。
「プレゼントですか?」
 『魔力節約形態』で小型中のウーティア・アクニスが智也の肩上で、聞き返した。
「子供用の遊具を」
 智也が答えた時
「お姉ちゃん、きれいねー」
 李 霞の側から可愛らしい声が聞こえて
「あら、ありがとうございます」
 気付いた霞は視線を合わせてにっこりしてから
「はじめまして。李 霞と申します」
 自己紹介。
「あたし、ココだよー」
 5歳の狐のファーリーの少女が笑顔で名乗り
「ほら見てー、これ貰ったんだよー」
 他の特異者に貰った果物のはちみつ漬けを自慢げに見せた。
「美味しそうですね」
 霞がにこにこと優しく対応する中
「わぁ、何してるんだー」
「俺達もまぜろー」
 遊び盛りの子供達が智也達に気付き、駆けて来た。
「うわっ!?」
 その中の6歳のヒューマンの少年が足をもつれさせ、転んだ。
「大丈夫ですか!」
 エレナが真っ先に駆けつけて、少年を起こし『ウィッシュアライブ』で、治療してから
「どうしました?」
 原因が知りたく訊ねた。
「……足がうまく動かないの。僕、走るの上手じゃないの」
 少年は肩を落として、ぼそぼそ。
「走る事なら任せて、お姉ちゃんの特技だから」
 エレナはどんと胸を叩いて、かけっこの先生を務める事を言った。少年を元気にしたくて。
「本当に!! 僕、キリィ」
 少年は嬉しさから声を弾ませた。
「なので、先に始めていて」
 真面目なエレナは作業のある智也達を気遣い、一言言った。
「分かりました。始めていますね」
「焦らず、ゆっくりしていて下さい」
「……(工作中、珍しがって人が寄って来るでしょう。特に子供は。危険ですし、その時は私が相手をしましょう)」
 智也、アネモネ・エイリアル、ウーティアは村長の元に行き、許可を求めた。
 事情を聞いた村長エドゥは
「構いませんよ。必要な材料は資材置き場の物や近くの木を利用して下さい」
 快諾の上に
「遊具の設置場所は、村の中にしようと思います。外れだとなにかの拍子で子供達が村の外にでてしまうかもしれませんので。どこか良い場所はありますか?」
 智也が遊具の設置場について心当たりを訊ね、絶好の場所を紹介して貰ってから、資材置き場へ。

 三人が去った後。
「お姉ちゃん、一つ食べる?」
 ココは瓶の蓋を開けて、勧めた。
「いいのですか?」
 霞が訊ねると
「いいよ、どーぞ」
 ココは差し出した。
「ありがとうございます」
 霞は礼を言ってから一つ口に入れ
「……甘くて美味しいです。この果物ははちみつと相性がよい物ですね」
 口内に広がる程よい甘さを満喫すると共に料理をする者の顔を垣間見せた。
「そうなんだぁ。お姉ちゃん、お料理出来るの? どんなの作れるの? 畑のお野菜で美味しいご飯出来る?」
 ココは感心し食いついた。
「そうですね……」
 霞はあれこれとココの相手を務めた。
 その近くでは
「まずは……」
 エレナが分かりやすくキリィに走り方を教えていた。
 二人共、一段落してから子供達と別れ、遊具が設置された場所へ向かった。

 資材置き場。

「……智也、足りますか」
 沢山の木材を前に訊ねるアネモネに向かって
「そうですね」
 智也は答えてから
「さて、作りやすいブランコや滑り台等から始めましょうか……あ、ターザンロープとかも良いですね」
 作業を始めようとした時
「何かする事なーい」
「あたしも何かしたい」
 智也達に気付いた子供達が、資材置き場をちょろちょろし始めた。
「危ないですから、離れた場所で一緒にお絵かきをしたり、この剣を使って遊びませんか?」
 子供を気に掛けるウーティアは、お絵かきセットと青水晶の剣を見せて誘った。
「お絵かきやるー」
「すげぇ、格好いい剣!」
「触らせてーー」
 子供達はすぐ誘いに乗り騒ぐ。
「みんな、順番に」
 子供達を落ち着かせ
「わぁあ、格好いいなぁ」
「きれーな剣!」
 順番に青水晶の剣を持たせたり
「見てて下さい」
 青水晶の剣を持ち『サイトスワップ』で、ぶん投げ
「剣がお姉ちゃんの所に戻ってきたぁ」
「なんでー!?」
「すごぃ」
 ブーメランのように戻って来る様を見せて、驚かせた。

「智也、お手伝いしますよ(子供の相手は少し苦手ですし、さすがに智也一人で全てをやるのは難しいでしょうし)」
 アネモネはちらりと子供達と一緒にお絵かきをするウーティアを横目に、遊具作りに回った。

「では……」
 智也は、薄く、硬い刃を持つアズールセイバーをのこぎり代わりに使い、木材を切断し
「細かい加工は……」
 細かい作業は短剣のパリングダガーに任せ、次々と遊具の部品を作製していく。
 足りなければ近くから調達したりと忙しく動き回る横で
「加工といった工作周りは智也に任せて、私は私の出来る事をしましょう」
 アネモネは天賦として持つ器用な手先を活かして
「切れないようにしっかりと寄り合わせなければ」
 ブランコのロープに使う紐や調達した蔦をより合わせて作ったり
「智也、そのパーツ運んで、現場で組み立てて行きますね」
 出来上がった部品を現場に運び
「……(縄が簡単に外れないようにしっかりと穴に通して括り付けて、こちらのパーツもしっかりとはめ込んで……)」
 周囲の賑やかさが気になるのか、森人用イヤーマフで音を遮断し
「……(遊んでいる最中に取れるのが最悪ですからね。その前に私自身がミスをして怪我をしてはしゃれになりません)」
 『クールショット』で冷静に作業に集中する。
 その作業を幾度も繰り返す中
「僕も何か手伝える事無いかな」
 18歳のドワーフの青年が手伝いに現れた。
「ありがとうございます」
 智也は相手が小さな子供とは違うため申し出を受け
「では、秘密基地を作りましょう」
 大がかりな作品に取り掛かった。
「みんな喜ぶよ」
 青年も気合いを入れた。
 智也の『木工技術』と青年の種族特有の怪力を活かし、適当な木の枝の上に手すり付きの足場とそこに至る梯子も作って、秘密基地感のある物を作っていく。
「秘密基地と言えば、大きめのハンモックも必要ですね」
 智也が閃くと
「ハンモックなら私が作りますよ」
 手が空いたアネモネが請け負い、手早く作業を始める。
「では、自分達は切り株の椅子やテーブルに、後は……考えたらきりが無いですね」
 ハンモックが解決して終わりかと思いきや、智也の頭には次々と浮かび欲張りたくなり、思わず口元に笑みがこぼれる。
「思いつく物、全部作ろう! 力仕事は僕に任せてよ!」
 青年はやる気満々に返した。
 こうして、助っ人も手に入れて智也とアネモネは何とか遊具作りを終わらせた。時間は既に昼になっていた。

 昼、子供の遊び場。

「完成しましたね」
「……なかなか立派ですね」
 智也とアネモネは、感慨深く出来上がった遊び場を見渡した。
 そこに
「楽しい場所が出来上がったみたいね」
「遊具作りは無事に終わったみたいですね」
 エレナと霞がやって来た。
「母さんに頼んでお昼用意して貰うから、お兄さん達待っててよ」
 智也を手伝った青年が礼も兼ねて昼食を用意しに一旦帰宅した。
「わぁあ、色々あるー」
「俺がいちばーん」
「ずるーい、僕が先に乗るんだー」
 この瞬間を待ってましたとばかりに、我先に子供達が駆け出そうとする所を
「もめてはいけませんよ。順番はしっかりと守りましょうね」
 ウーティアが止めに入った。
「でも……」
「僕が先なのに」
 真新しい遊具を誰よりも先に使いたい子供達は、口を尖らせウーティアを見上げた。
「喧嘩は怪我のもとになりかねませんから、いけませんよ」
 霞が言葉を重ね
「だってぇ……」
 子供達がさらに頬を膨らませる。
「遊具は楽しいのと同時に危ないですからね(きちんと正しい使い方を教えてあげないと怪我をする可能性もあります。遊ぶ前にきちんと伝えなければ)」
 霞は真っ直ぐに子供達を見て、大人のつとめを果たす。遊具が残念な贈り物にならぬように。
「見てて下さいね。お姉さんが、気をつけないといけない事。やってはいけない事。やったらどうなるか実例を見せますから(目の前で起こればさすがに子供達も危ないと理解して、もめるのをやめるでしょう。そのためにも少々大袈裟に)」
 と言って、霞は遊具に駆け寄り
「はーーい」
 子供達が注目する中
「では(……自身が怪我をしないようにしなければ、まあ、最悪実際に怪我をしたとしてもエレナがいますからね)」
 子供達に危険度を叩き込むために大袈裟に実演してみせる。その中には、当然順番でもめた末に起きるだろう事も含んでいる。
 霞はしっかりと受け身を取り被害を抑えているが
「……危ない事は分かりましたか」
 擦り傷は幾つか負うのは防げず
「もし、怪我をしましたら私が治療します。元気に遊んで下さいね!」
 エレナの『ウィッシュアライブ』の世話になった。
「わかったー」
 子供達は元気一杯に返事をすると、駆け出した。
「お守りを兼ねて私も一緒に遊びましょうか」
 ウーティアは子供達を心配し、遊びに加わった。
 途端
「早くかわれよー」
「まだ俺の番だぞー」
 ブランコの順番を巡る取っ組み合いの喧嘩を発見し
「喧嘩両成敗です!」
 ウーティアは、青水晶の剣を翳し『精霊剣・水』を使い
「なにするんだよー」
「冷たいだろー」
 少年達をびしょ濡れにして止めた。
「頭を冷やして下さい」
 優しいウーティアの顔が怒りん坊になる側では
「あの剣すごい」
「水が出たー」
 周りにいた子供達がざわざわ。
「順番を守って仲良く遊ぶ事」
 ウーティアは人差し指を立て、謝るように促した。
「……ごめん」
「俺もごめん」
 子供達は渋々と仲直りをした。
 と思ったら
「今度は……」
「負けないぞー」
 ウーティアが生み出した水飛沫で緩んだ地面を利用して泥遊びを始めた。
「今度は、泥だらけですか……全く」
 子供達のやんちゃさにウーティアは、呆れつつ微笑んだ。
 当然、泥遊びが一段落したらウーティアの『精霊剣・水』が洗い流した。
「楽しそうね」
 エレナが遊ぶ子供達を見ていると、服の裾を引っ張られ、振り返ると
「ねぇ、お姉ちゃん、お外から来たんだよねー」
「色んな所にも行った?」
 興味に輝く瞳を向けるエルフの少女とファーリーの少年がいた。
「行きましたよ」
 エレナが頷くと
「じゃぁ、お話してよ」
「お話、お話」
 少女と少年がせっついた。
「人の出入りが少ないので、みんな興味があるんです。特にこの子達は体を動かすよりもお話が好きだから」
 17歳のエヴィアンの女性も現れた。
「確かに、派手な出来事には少々事欠きませんね。では、あそこで」
 と言って、お喋りはエレナが示した切り株の椅子やテーブルでとなった。

 場所を変えた所で
「ねぇ、どんな所に行ったのー?」
「早く、早く」
 子供達はすぐに急かした。
「是非、聞かせて下さい」
 エヴィアンの女性も聞く気満々だ。
「そうですね……(私達の旅や出来事を物語風に話すのがいいかも)」
 エレナは、足元に転がる木の枝を拾い上げ、地面に簡単な絵を描きながら冒険話を始めた。
「どうなったの」
「それで、それで」
「……そんな事があったんですか」
 聞き手はエレナの話に一喜一憂した。

「元気に遊んでくれていますね」
「遊具の方は大丈夫そうですね」
 智也とアネモネは、子供達の遊びっぷりと遊具の強度に微笑ましさと安堵をこぼしていた。
 その時
「お兄さん達、昼ご飯を持って来たよーー」
 青年が昼食を抱え、戻って来た。
「随分、沢山ですね」
「美味しそうな匂いですね」
 智也と霞があまりの量に驚き、美味しい匂いに心が弾む。
「遊具を作ってくれたお礼だよ。どんどん食べてよ」
 青年は嬉しそうに勧めた。
 この後、子供達との遊びが一段落してから皆で昼食を美味しく食べたという。

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last