クリエイティブRPG

醜男の災難

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醜男の災難
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序章

 リスタの町から外れた山岳地帯。
 朝霧 垂カークリノ ラースは事前にワールドホライズンからもらった情報を見て、ガルを襲う冒険者の本来の標的である盗賊団を捜していた。
 自分達が盗賊を捕えて目の前に差し出せば、彼らもガルの無実を認めざるを得ないと思ったからだ。
 カークリノの獣人の勘で辿り着いたのは、盗賊のアジトと思われる洞窟だった。ここを改築して自分達の根城にしている様だ。
「コイツらをやっつけて、ガルを襲う冒険者に突きつければ、アイツら(=冒険者達)も少しは反省するだろうな」
「そうですね。向こうから説得して、相手が『はい、そうですか。間違えて申し訳ない』と言うくらいでしたら、とっくに事は終わっていますから」
 アジトを眼前に、2人は短い会話をやり取りを終えた後、アジトに突撃した。彼女達は盗賊団を相手に宣戦布告をした。
「お前らー! 侵入者様のお出ましだー!!」
「悪い事をする盗賊さんをやっつけに来ましたよー!!」

第一章 ガルを守れ!

 リスタの町。
「お前がこの辺を荒らしている盗賊だな」
 冒険者はガル・ニコラに剣の矛先を向けた。この冒険者は、デビューしたばかりであるにも関わらず、立て続けに依頼をこなしていると名高く、ガルも彼らの噂は一度だけ耳にした事があった。生憎、彼らの名前は覚えていないけど。
 そんな連中から、突然謂れの無い言いがかりを付けられたガルは、
「いえ、違います。僕はこの辺にいるキングゴブリンを退治しようと思って、ここに来ただけで……ホラ、認識票もちゃんとありますよ」
 と、自身に掛けられた汚名を雪(すす)ごうと自分の認識票を見せたのだが、
「どうせ、立派な偽物だろ。そんな紛い物で俺達を騙せると思っているのか?」
 本物の認識票を見せているにも関わらず、一蹴されてしまった。
「冒険者の名を騙って、悪さをする盗賊め! ここで成敗してやる!」
 冒険者のリーダーが、剣でガルを斬りつけようとした時である。
「ちょっと、待って!」
 間一髪、ガル救済の依頼を受けた冒険者が駆けつけてきた。
 最初に声を掛けたのは、燈音 春奈。お供のソルフェ・セフィーラも一緒だ。
「誰なんだ、お前は?」
 思わぬ邪魔が入り、冒険者は春奈とソルフェを睨みつけた。
「あのさ、この人は本当に悪者なの!?」
「そうですよ。まずは一旦止まってくれませんか? どうもすれ違いが起きてるっぽいですけど……」
 春奈とソルフェが冒険者達に説得を試みる。
「あぁ、そうさ。実はこの辺で盗賊が暴れているという情報があって、そいつらを退治して欲しいという依頼を受けたんだ。手配書にだって、ちゃんと書いてあるんだぞ!」
 冒険者は某時代劇の如く印籠を出す様に、堂々と手配書を見せつけた。そこには、彼らの標的の盗賊の特徴が書かれている文章が書かれてあった。
『不気味な顔。ガタイは良い。目つきが悪い。斧や棍棒が武器。主に集団で行動している』
 不気味な顔のガルは棍棒を武器としているが、それが盗賊と間違われた原因なのだろう。
 だが、それを見て、マリアベル・エーテルワイズが手配書を見て、ある事に気が付いた。
「ちょっと、待ってください。標的の盗賊団は集団で行動していると書いてありますよね。だとしたら、1人で行動しているのは不自然ですよね」
 それを言われて、冒険者は目を疑って手配書に目を近付けた。
「……あっ、言われてみればそう書いてある」
 冒険者はマリアベルの指摘で気付いた。一応、他人の話を聴き入れるだけの器量はある様だ。この調子なら誤解が解けるかもしれない。
 だが、リーダーが異議を唱えた。
「……でも、待てよ。1人でいるところを相手に油断させて、他の仲間が攻め入ろうとしているって可能性もあるぞ?」
 それを聴いて、彼の仲間も再び疑念を抱き始めた。
「もしかして、お前達もコイツの仲間なのか?」
「仲間と言うより、助っ人です」
「助っ人? という事はお前達も盗賊の一味という事だな」
「そういう意味ではありませんよ」
 当然マリアベルは否定したが、冒険者は聴き入れてくれなかった。
「いや。この前、冒険者を騙って悪さをしていた奴がいたんだ。もちろん、俺達がこの場でやっつけたけどな。でも、よりによって同じ様な事をしている輩がこんな所にもいたとはな! ここで倒してやる!」
 どうにかマリアベルは説得を試みたが、やはりダメだった。相手は、かなり思い込みが激しい様だ。
 こうなったら、力尽くで抑えるしかない。
 特異者達は武器を構えた。
 
「まともにやり合うつもりはないんですよねー。疲れさせるのが目的ってことでー」
 桜・アライラーは、縮天翻地でスピードを上げつつ、相手の攻撃を受け流しながら注意を引きつけた。
「チッ、すばしっこい奴だ!」
 それでも相手は粘り強く攻撃を続け、途中で敵の剣が桜に当たりそうになった。
「危ない!」
 そこへエルレンド・ガムラ・ウプサラが大量の水の矢――ブラッドレインを撃ち放った。
「ぐあっ!」
 強力な水の威力で敵を圧倒してスタンさせた隙に、桜は体制を持ち直した。
 だが、敵も負けじと桜に剣を奮い続けた。しかし、だんだん身体が苦しくなってきた。
「おっ、ようやく効果が表れ始めたみたいですねー」
 桜がにやりと笑った。
 冒険者が地面に膝をついた時、桜の足下に半透明な光が広まっているのが見えた。これに秘密がある事に冒険者はようやく気付いた。
 実は、敵が桜に攻撃している間に、桜はダハーカの護符を発動していたのだ。
 ダハーカの護符は、所有者の周囲に毒をまとった半透明のフィールドを発生させる効果があり、このフィールドに触れた者は強力な毒に侵されるのである。
 まさかそんな代物を持っていたとは……命の危機を感じた冒険者は、回復薬を飲んで体力を回復させた。
「持久戦と来ましたかー。でも、それは一体どこまで持ちますかねー」
 それでも相手は諦める事無く、再び攻撃を仕掛けてきた。もちろん、桜もそれに応じた。

「人違いとはいえ、無実の人を襲うのは良くないよな。体力を消費させてから説得するか」
 四柱 狭間は、フリーズバレットを撃ち、敵を一時的に凍らせる作戦に出た。
 狭間が銃を撃つと、敵の1人の右腕に当たって、たちまち体中が凍り付いた。
 あくまで効果は一時的なものなので、時間が経てばすぐに氷が溶けてしまうが、それでも狭間は敵を氷漬けにしていった。
 だが、他の敵が狭間に襲い掛かって来る。
「うわあっ!」
 防御対策をしていなかったので、狭間はダメージを受けた。
「狭間さん、大丈夫ですか?」
 負傷した狭間の元に駆けつけて来たのは、火村 加夜だった。加夜はホーリープロテクションで周囲に結界を張った後、狭間の怪我をウィッシュアライブで治癒させた。
「あまり無茶はしないでくださいね」
「分かっているさ」
 狭間は回復した後、再び敵に向かって行った。

「冒険者の認識票を持っていても盗賊と間違えるなんて信じられないです。ガルさんの傍で守りましょう」
 加夜はガルが敵の攻撃を受けない様に、守護光壁で光の壁を張って、ガルを護衛した。
 自身もホーリーガーディアンで召喚した霊体の聖なる守護者に守護してもらっている。
「お怪我はありませんか?」
「あぁ、僕は大丈夫だ」
 だが、そんなやり取りをしているうちに、敵がこちらに襲い掛かって来る。
 加夜は、陽光の杖で敵の身体を殴りつけた。攻撃力が低いのですぐに倒す事は出来なかったが、このまま襲われるよりかはマシである。
「ガルさんに危害を加える事は許しません!」

「今すぐ、ガルの盗賊のレッテルを剥がしてやらんとな」
 蒼心院 響佑は、インドラの矢で技の威力を増幅したゲイルブリングを冒険者の頭上を通る様に矢を放った。広範囲に吹き荒れる突風で、冒険者を数人吹き飛ばした。
 だが、風が止んだ瞬間に、他の冒険者が響佑に襲い掛かって来た。
「フン! 甘いぞ!」
 響佑はナムバレットを撃ち、敵の身体を痺れさせた。

「話が通じないなら、力尽くで黙らせるしかないか」
 春奈はレイヤーオブアバターズで能力を底上げすると、武器のインテンシオンで敵を斬っていった。
 ソルフェは春奈の補助・回復に務め、輝神の息吹で治癒した。
 そこへ冒険者の1人が狡猾にソルフェへと刃を向けて襲い掛かってきた。
「気付いていますよ」
 ソルフェは輝神教会式護身術で敵の攻撃を受け流し、自身の武器であるメイス・スタースヴェートでカウンター攻撃を仕掛けた。
「ぎゃうっ!」
 冒険者はまさかの反撃を喰らい、その場から立ち去って行った。

「人を見かけだけで判断するとは新進気鋭といっても、まだまだですね。少し反省して頂きましょう」
「……外見で勘違いされるとは可哀想です。……お助けするですよ」
 戒・クレイルシア・クロイツのサポートを受けつつ、発勁で力を解放した。
 クレイルはシアから守護光壁を掛けてもらい、魔法防御力を上げた。
 相手が接近する前にクレイルのディスタントブロウで相手の体軸をズラしたり武器の軌道を逸らしたりして、無駄撃ちをさせて体力を消耗させる作戦に出た。
「盗賊め! この俺がやっつけてやる!」
 敵がクレイルに接近して来ると、クレイルは蒼き疾風の剣とシルバーガントレットを用いて敵の攻撃を受け流した。そこからカウンターへと繋ぎ、バリツの技術を応用したカームフロウで敵を撃ち飛ばした。
「はうっ!」
 投げ飛ばされた冒険者は地面に頭を強く撃ち、一時的に伸びてしまった。

「あぁっ、リーダー!」
 最も戦闘力が高い冒険者のリーダーがやられた事で、仲間がリーダーに駆けつけた時である。
「いいから! 話を! 聞けや!!」
 真面目なソルフェからドスの利いた大声が発せられた。普段とのギャップの激しさに、冒険者だけではなくその場にいた特異者の何人かが「ひぃっ!」と顔が青ざめたり怯んだりした。
 ソルフェの怒声で今まで騒がしかった喧騒が一気に静まり返ったが、彼女はすぐに一度咳払いをした後、いつもの丁寧な口調と落ち着いた表情に戻った。
「……手荒な事をしてすみません。こうでもしないと、収拾つかなかったので」
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