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ヴァージンロード・エスケープ

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ヴァージンロード・エスケープ
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友として



「……あっちは上手くやってるといいんだけどよ」
 路地裏を少し乱暴に駆け抜けるのはルイ。
 彼もまた、ジルベールと同じく追っ手たちに追われている身だった。
「しっかし、しつこい連中だな」
 正面から迫る追っ手を捕まえ、後方に投げ飛ばす。
「この野郎!」
 もう1人、追っ手が振り下ろした鉄棒が肩に直撃。
 鈍い音が響く。
「っ……!」
 逆の腕で追っ手を振り払い、そのまま顔面に一撃。
「……止まってる暇はねぇか」
 再び路地裏を逃走するルイ。
「居たぞ! あっちだ!」
「ちっ……」
 気づかれた、そう思い振り向いたルイだが追っ手の姿が見えない。
「ちくしょう! 囮じゃねぇか!」
 遠くからそんな声が聞こえた。



「よぉ」
 物陰から姿を見せたのは、ジェイク・ギデス
 ルイが構える素振りを見せたため、両手を上げながら敵意が無い事を示す。
「……俺に協力するつもりか?」
「そうだが、悪いか?」
 そう言いながらスクラップドールを弄り、
 変装セットを使ってルイを模しているジェイク。
「聞いたぜ、あんたの経歴。
 いつかの犯罪者がマーヴェル達の為に身体張るなんて、どういう心変わりだ?」
 そう問いかけるジェイクの言葉に悪意は無い。
「親友達が結ばれるってんだ。こんな時くらいしか、俺は活躍できそうにないしな」
 ジェイクの問いかけに呟く様に答えるルイ。
「あいつらには言うなよ。めんどくせぇから」
 暗く表情が見にくいが、おそらく照れているのだろう。
「粋な事、してるじゃねぇか」
 スクラップドールの調整を終えたジェイクが立ち上がる。
「どうだ、これでも一番の最高傑作だぜ」
「似てねぇな」
 ルイの返答に苦笑いを浮かべつつ、
 作成したスクラップドールを物陰に潜ませていたスチームビークルに乗せる。
「ルイは次の交差路を左に曲がれ。俺が囮になってやるよ」
「その人形でか?」
「まぁ、見てろって」
 エンジン音が響き、それに気づいた追っ手たちが迫る。
 彼らに見つかる前にジェイクに言われた通り、逃走を再開するルイ。
「あっちだ!」
 先にジェイクが見つかり、追っ手たちが迫る。
 彼らのターゲットは助手席に座るルイに似せたスクラップドール。
 すれ違う瞬間、モーメントイリュージョンでドールが手を振っている様に幻を作り出す。
 それに気づいた追っ手たちが本物と思いこみ、全力でジェイクを追いかけ始めた。
「よし、釣れたな。……さぁ、地獄まで追いかけてこい、間抜け共」
 追っ手を引き連れたまま、ジェイクは暗い路地へと消えていくのであった。



「こんにちは。今、大丈夫かな?」
「ん? ……おぉ、嬢ちゃんか!」
 今日も大忙しな工房を訪れたのは、コレット・アンブローズ
 彼女の事を知っているストレンジャーたちが集まってくる。
「嬢ちゃんも来てたんだな。それで、どうしたんだ?」
「今日はね……」
 コレットは今回の音楽祭で起きている騒動について、説明する。
「ほーう。……この音楽祭にそんな奴らがね……」
「あ、あれ……なんか怒ってる……?」
「あったりまえだろ! おい、お前ら!」
 話を聞いたストレンジャーが工房で作業中の男たちを集める。
「おい、嬢ちゃん。その話、乗ってやるぜ」
「本当?」
「あぁ。……お前ら、“音楽”の楽しさを理解してねぇ連中に叩き込んでやるぞ!」
「おぉぉおおおお!」
 先程まで工具を持っていた手には楽器が握られていた。
「……相変わらずだなぁ」
 変わらない彼らの明るさに自然と頬を緩ませるコレット。

 酒場で人探しをするのは、ロゼッタ・クロスフィード
「ここに居るときいたのですが……」
「おーい」
 1人の男性がロゼッタに手を振る。
「やぁ」
 彼は以前ロゼッタが情報を聞き出したバウンティハンター。
「良かった。いらっしゃったのですね」
「僕が音楽祭の日にこの街に居ない訳がないでしょ」
 この街で過ごす者にとってそれだけ音楽祭は大事なものだという証明だった。
「それで、君が僕を探しているのは知り合いから聞いたんだけど何か用かい?」
「はい。……まずは」
 以前、前金として渡した額と同じ金額を手渡す。
「支払いが遅れて申し訳ありませんわ」
「そういやそうだったねぇ。ありがと」
「……驚きました」
「何が?」
「貴方はこういう事には厳しいかと。遅れてしまった事もあり何かしらあるかなと」
「……風の噂でね。
 ……こうして音楽祭が開かれているのも、君たちが絡んでいたみたいなんでしょ?」
 それはきっと主催者となっているマーヴェルに関わる出来事なんだろう。
「相変わらず、いい仕事をされていますわね」
「そりゃ、情報屋にとって情報は命だからね」
 そう言いながらロゼッタから受け取った報奨金を仕舞う。
「それで……」
 再びロゼットがお金の入った革袋を差し出す。
「……今度は何かな」
 話を聞くまでは受け取らない、という彼の視線。
「……この街で起きている出来事をご存じですか?」
「もちろんさ」
「であれば、話が早いですわね。……ルイ様をサポートする為の情報を頂けませんか?」
「……断れば?」
「…………」
 ルイが過去に行った事も彼は理解している様子。
「……彼が行った事は決して消えない出来事でしょう。
 ですが、今は大切な人達を護る為に、この街を護る為に全力を賭しているはずです。
 ……お願いしますわ」
 少し迷った表情を浮かべる男性。
「……いやぁ。彼、どこでそんな株を上げたのか。試す様な真似してごめんね」
 懐からメモの写しを手渡す。
「これは?」
「この街の連中でマーヴェル様の婚約者側に雇われたグループさ。
 どこを根城にしていてどこを担当としているか書いているよ」
 それは間違いなく今回の鬼札となりうる情報だった。
「……これがあれば」
「後はルイの居場所だけど、さすがにこれは分からない。
 彼の居場所さえ掴めれば、そのメモを参考に出来ると思うよ」
 ロゼッタの表情に満足した男が先程提示された革袋を受け取り、仕舞う。
「足りないくらいですわ」
「そんなことないさ」
 どうやら彼がそのメモを渡したのは、単に提示された報奨金の為ではない様子。
「……ルイを助けるの手伝って欲しかったんだ。
 アイツ、自分のやったことのせいでいつもどこか一線を引いて
 マーヴェル様たちを見てるんだよ。……“俺は元犯罪者だから”って」
 酒を飲みながら呟く様に吐き出された想い。
「……一度間違いを犯しただけの人間が一生許されない、なんて間違っている」
 メモに込められた真意を受け止め、抱きかかえるロゼット。
「分かりましたわ。……その依頼、果たしてみせますわ」
「……ありがとう」
 その言葉に笑みを返し酒場を後にするロゼッタ。
 メモを渡したロゼッタ達の行動を別行動でサポートするとのこと。
「……ワタシの方は準備できましたわ」
『ボクの方はいつでも』
 装着したヘッドセットからコレットが準備を終えた旨の報告が届いた。
『では、始めましょう。私たちの音楽祭を』
 成神月 鈴奈の合図に皆がルイの為に動き出す。

「……みんな、動き出したみたいだよ」
「そりゃ助かるぜ」
 ルイと共に路地裏を逃げていたのは、葛城 朝香
「それで、次はどっちだ?」
「えっと……左!」
 コレットから指示を受けた方向へ逃走を続ける。
 ヘッドセットからは鈴奈たちもコレットから指示を受けて準備を進めていた。
「さっきから逃げてばっかりだけど、お前大丈夫か?」
 子供らしい姿の朝香を心配するルイ。
「なんならガキ1人抱きかかえるくらい……」
「子ども扱いするなー! 大丈夫だもん!」
「そ、そうか。悪ぃな」
 シルフィックローブの効果もあり、まだ彼女には余裕が見えていた。
「それより、ルイちゃんの方が心配だよ。大丈夫」
「ちゃん……? ……まぁ、大丈夫だ。……なんだか調子狂うぜ」
 助けられている状況もあり、なんだか自分より年上を相手にしている錯覚に陥るルイ。
『そのルート、気を付けて。もしかしたら巡回中の追っ手がいるかもしれませんわ』
「おっけー! ルイちゃん、その先の道、気を付けて!」
「他の道は……無いって事だな。少し強引に突破するぜ。……ほらよっと」
「わっ!」
 この先、追っ手と鉢合わせる可能性を考慮して、朝香を抱きかかえるルイ。
「ちょ、ちょっと!」
「ここを抜けるまでだ。少し我慢してくれ」
「もーーーー!」
 どこかご機嫌斜めな朝香を窘めつつ、正面に見えた追っ手を体当たりで突破するルイ。
「お前たち、悪ぃな!」
「痛ぇ……。おい追いかけるぞ!」
「朝香、こいつらを撒くルートはあるか?」
「ロゼちゃん!」
『……ええと』
 メモを手掛かりに最適なルートを探すロゼット。
「お前たちは真っ直ぐ進め! ロゼット、聞こえているね!
 この道、暫く通れなくするからメモにバツでもつけておいて!」
 朝香のヘッドセットから聞こえる声。
『っ! 分かりましたわ!』
「ロゼちゃん、味方!?」
『そうですわ! 彼に従ってください!』
「誰だか分かんねぇけど、助かった!」
 顔も見えない相手に礼を告げ、走り抜けるルイ。
「……そうやって真っ直ぐアホみたいに進めばいいんだよ。
 難しい事、考えるのが苦手な癖にさ」
 手持ちの手榴弾だろうか。
 それが炸裂し、脆い建物が先程通った道を塞ぐのが見えた。
「おい!?」
「ロゼちゃん!」
『大丈夫ですわ。彼ならきっと……!』
「そういうことさ! 立ち止まるな!」
 どうやら彼は無事らしい。
 その事に安堵し、再び走り出すルイ。
「お前の仲間、凄いな」
『……その言葉、そっくりそのままお返しいたしますわよ』
「どういうことだ?」
「日頃の行い、ってやつかな?」
『そういうことですわね』
 ルイは朝香たちの会話に首を傾げる。
『……貴方を認め、助けたいと思わせたのは、全部貴方自身の行いが齎した結果ですわよ』
「やっぱりルイちゃんを助けに来て正解だったね!」
「お、おう? まぁ、とにかく助かったな」
「というかそろそろ降ろしてよー!」
「おぉ、すまねぇ」
 暴れる朝香を降ろしてロゼットの通信を頼りに逃走を続けるルイ。

「……さて、そろそろでしょうか」
「準備出来たぞ」
 鈴奈とモニカ・ヴァネルの両手には、2人でなければ運べない様な大きなケーキが。
「……そーっとですよ」
「こんなところで落としたら意味ないからな」
『聞こえていますわね。……そろそろルイ様が表通りに出ます。
 ……その後、すぐに追っ手たちが出てきますわよ」
「了解。……合図はアタシがするからね」
「任せました」
 鈴奈とモニカは、ケーキを抱えて機を伺う。
「……ルイを目視で確認」
『……3、2、1』
「あぶなーい!」
 なんともわざとらしく裏路地から出てきた追っ手たち目がけて突撃。
 もちろん、ケーキを持ったまま。
「は、はぁぁぁぁぁあ!?」
 突如目の前に現れた純白の“壁”にぶつかっていく追っ手たち。
「急に出てきて、危ないですよ! ……大丈夫ですか?」
 クリームだらけになった追っ手に手を差し伸べる鈴奈。
「わ、悪い。……お前ら、急ぐぞ!」
 立ち上がった者から再びルイを追いかけようとする追っ手たち。
「……? ……まだ何かあるのか?」
 そんな追っ手たちを掴まえて離さない鈴奈とモニカ。
「おいおい、急に出てきて、ケーキをダメにして。
 それで、“悪かった”だけで済むと思っているの?」
 マインドリセットで心を落ち着かせ、今は“演技”に集中するモニカ。
「本当ですよ! あーあ……。これ、大事なウェディングケーキなのに……」
「だから悪かったって……。……おい、お前ら」
 少し強引に突破を試みるつもりなのだろう。
「……暴れたら、ダメですよ?」
 鈴奈が懐に視線を向ける。
 そこには、B級ウィザードのライセンスが。
「私たち、ギルドの依頼でこうしてるんです。なので、妨害するのなら……」
 優しい笑顔でそう脅す鈴奈。
「時間もありませんし。……市長に事情を説明するか、ギルドに行くか、手伝うか。
 選んでくださいね」
「そういう事だ。諦めて、最後まで付き合ってもらうよ?」
「……おい」
「…………分かった。手伝えばいいんだろ!」
 諦めた様に、両手を上げる追っ手たち。
(……ずいぶん、素直ですね)
 思ったより素直に言う事を聞いた追っ手たちに警戒する2人。
「それじゃあ、こっちです」
「……待った!」
「え? どうしたんです……あっ!」
 ついていこうとした追っ手たちに気を取られ、
 後続の追っ手たちの突破を許してしまう2人。
「なんだ、どうしたんだ?」
(やられた……。こいつら、足止めだって気付いている!)
「悪いな! そういう訳で、俺たちもこれで……」
 驚いた隙を突き、鈴奈たちを突破しようと試みる追っ手たち。
 だが、いち早く彼らの動きに気付いたモニカがフレイムソードで彼らの鳩尾を打つ。
「ぐぇっ!」
「鈴奈! こいつらを取り押さえといて! ……ロゼッタ!」
『何人か抜けたみたいですわね。……だけど、大丈夫ですわ』
『ボクたちの番だね。みんな、行くよー』
 コレットの通信から野太い歓声が聞こえる。

「追いかけろ! あっちだ!」
「近づいてきたぞ! 大丈夫か!?」
「大丈夫! 朝香についてきて!」
 朝香に言われた通り進むルイ。
「っと、どうしたんだ、ルイ」
「なんだ、そんな忙しそうな顔して」
 ルイの前に立ちはだかったのは、ストレンジャーの集団。
「悪ぃ、お前たちの相手をしている暇ねぇんだ!」
「お、おい! いっちまった」
「彼についてはそっとしておいて。それより、見てごらん?」
 朝香と共に去っていくルイを追う者達が彼らの目の前を横切ろうとしていた。
「彼ら、何を持っているか分かる?」
「……へぇ」
「どけ、邪魔だ!」
 そう言って押しのける様にストレンジャーの前を通ろうとする追っ手たち。
「おい、待てや」
「っ!?」
 それを片手で捕まえるストレンジャー。
「こっちは楽しい気分で演ってんだよ。……何、邪魔してくれてんだ? あ?」
 鬼の様な表情を浮かべるストレンジャー。
 だが、その手に握るのは武器ではなく楽器。
「離せ!」
「駄目だ。……これは没収な。代わりにこれをやるよ」
 ギアを奪い取り、手製の楽器を手渡す。
「んで、お前は……ここだな」
 そして、そのまま楽団に加えて、再び行進を始めようとするストレンジャー一行。
「何を……」
「今日は音楽祭だよ? それを邪魔しよう、だなんて無粋な事と思わない?」
 追っ手の隣でストレンジャーに貰った楽器を演奏するコレット。
「それに、君。音楽を楽しんでいないね?」
「だから、それどころじゃないと……」
「みんなー、彼に音楽の楽しさを教えてあげようー!」
「うぉぉぉぉおおおお!」
 軽快な音色と共にストレンジャーの雄叫びが響く。
「ぁ、そうそう。暴れようなんて考えないほうがいいよ?」
「よぉ……楽しんでるか?」
 コレットの忠告通り、
 楽器を手放そうとした追っ手の肩にストレンジャーの腕が回される。
「ひっ……」
「どこ……行くんだよ?」
 肩に回された腕に血管が浮き出る。
「……ハイ」
 あまりの“凄み”に諦めた様に、投げやりな音色を奏でる追っ手たち。
 それに乗る様にストレンジャーたちが音色を奏でる。
 気が付けば、何もかも忘れて馬鹿騒ぎ出来る事に追っ手たちも楽しさを感じ始めていた。
「脅して仲間に入れたとはいえ、ちゃんと音楽を楽しませる辺り、
 本当に音楽の事しか考えてない人達だなぁ」
「当たり前だろ? ほら、嬢ちゃんも奏でて歌って踊って楽しんでけや!」
“目的”があったとはいえ、彼らの熱気に影響されつつあるコレット。
「……レイナたちの逃した追っ手、捕まえたよ」
『そうか。助かった』
「……少しだけ、楽しんじゃおうかな」
 楽器に手を添え、ストレンジャーたちの輪に混ざるコレット。

「……さて、お前たち、分かっているな?」
 仲間たちが無力化されたと聞いて、肩を落とす追っ手たち。
「では、これを」
「鈴奈?」
 鈴奈が追っ手たちに手渡すのは、鈴奈が着ている“Cafe Beehive”に似た制服。
「今から貴方達には従業員として、しっかりとご奉仕してもらいますからね?」
「いや……ケーキ作りはやってやるけど……これ……」
「来ている制服が汚れた時の為に予備として持ってたんです」
「そうじゃなくて……女物だぞ……」
「着てくださいね?」
 追っ手たちの反抗心を徹底的に削ぐためにも、という事で鈴奈が提案した様子。
(借りていた制服ですし、さっきみたいに逃げそうになられても、という事で)
(案外恐ろしい事するね……)
 どうやら逃げようとした事にちょっとだけ怒っている様子。
 追っ手たちを連れて借りていた厨房へと戻っていく2人。
「という訳でこちらも終わりました」
『了解だよ! ……って、ちょっとー!』
『おう、聞こえるか』
 朝香から借りたヘッドセットから聞こえたのはルイの声。
「ルイさん、大丈夫ですか?」
『あぁ、お蔭様でな。……悪いな』
「“悪いな”ですか……」
 どこか罪悪感が優先されるルイの心情を察してしまった鈴奈。
『……なんですか? えぇ……わかりましたわ』
『ルイ! 手、貸してやったんだから、今度奢ってくれよー!』
 ロゼッタのヘッドセットからは、協力してくれたバウンティハンターの声。
『ルイ! なんだか分かんねぇが、お前さんが音楽祭の準備を必死こいてやってたの、
 みんな知ってるぜ! だから、お前も楽しんでいけよ!』
 コレットからは、音色と共にストレンジャーたちの声が。
『お前たち……。………ありがとな』
 今度こそ、心からの感謝を述べる事が出来たルイ。
 その言葉に満足したのか、鈴奈が華やかな笑みを浮かべていた。
『返してよー! ……っと!
 とにかく、朝香はこのままルイちゃんのサポートしてみるから!』
「分かりました、お願いします。……さてと」
 腕をまくり厨房の前に立つ鈴奈。
「それじゃあ、ケーキ作り始めますよ!」
「おー……」
 追っ手たちの抜けた掛け声と共にケーキ作りを始める鈴奈たちだった。



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