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飛姫場防衛戦

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飛姫場防衛戦
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■決着の時

「なるほど、それがお前の真の力、というわけか……!
 さあ本番だ、喜べ、強敵だ! 己の意思と矜持を持って迎え撃て! 水平線の彼方の勝利を掴んで来い!」
「はい! 霧姫、抜錨!」
「同じく、霧華、抜錨!」
 ジェノの指示を背中に受け、海/戦艦“霧島”霧姫海/戦艦“霧島”霧華がブラストウィンドと交戦する。速度上昇の効果をもらった霧華の速射攻撃はブラストウィンドをよく追随するも、ブラストウィンドもさらに速度を増した回避行動で命中弾をもらわない。
「霧姫姉さんのためにも!」
 それでも霧華は焦らず、ジェノの言う『己の意思と挟持を持って』戦い続ける。ブラストウィンドは砲を捨てて近接戦用の武器しか持っていなかったため、霧華が直接ダメージをもらうことはなかった。
「高速戦艦の名に懸けて! 正面からぶち破ってやります!」
 そして、速度上昇の効果に加え、追加のタービンを装備することでまさに『高速戦艦』と化した霧姫とブラストウィンドがさながら殺陣の如く斬り合いを交わす。霧姫の突き出したトライデントをかすめつつ避け、通り過ぎ様に短刀でトライデントを叩いてバランスを崩させ、もう片方の短刀で致命傷を負わせようとするブラストウィンドに対し、霧姫は一度は戦艦としての耐久力で耐え、二度目は追加タービンの加速力で回避行動を取ったかと思うと、ジェノの起こした波の勢いに乗って三度目の正直とばかり、トライデントを横に振るった。
「……!」
 ブラストウィンドの回避を超える速度で振るわれたトライデントに、ブラストウィンドは短刀を合わせる他無くなる。流石に馬力では霧姫に分があり、そのまま押し出される形になった。

「先程よりもさらに速度を増していますね……! ですが一度交戦して、ブラストウィンドの特徴は掴んでいます。
 リュッツ、江恋、ここで決着を付けましょう」
「ええ……任せて。二人は必ず、守るわ……」
 海/重巡“ドイッチュラント”リュッツがこくり、と頷き、兵装に光を宿らせる。たとえ致命傷となる攻撃であろうと必ず防ぎ、生還させる……そんな意思が見えていた。
(優……優ならこの状況、どういたしますか……?)
 海/戦艦“比叡”江恋が一瞬、優の立場になって思案を巡らせ、そして心を得たとばかり、力のこもった表情で鉞を構えた。
「砲撃準備……撃て!」
 優の号令に従い、それぞれの主砲から砲弾が発射される。三式弾の子弾がブラストウィンドを襲い、それを可能な限り避けるブラストウィンドだが、流石に全弾回避とはいかず、数発はもらう。そのうち弾丸が赤く染まったものを受けた際、ブラストウィンドは自身の装甲が弱まっていくのを感じた。
「……だから何だというのだ。当たらなければどうということは……ない!」
 それでも突撃を敢行したのは、ブラストウィンドが既に精神的にプレッシャーを受けていたことに起因する。そしてその効果は、自身が両脇に突如発生した突風によって、進路を定められた結果に繋がった。
「…………」
 進路の先には、鉞を構えた江恋。近接戦で負けるはずはないという自信が、ブラストウィンドにそれ以上の思考を放棄させた。

『――!!』

 江恋の攻撃を避け、ブラストウィンドが短刀を江恋に突き立てる。だが戦艦、それだけでは倒れるに至らない。
「……捕まえました」
 そして江恋の両手が、ブラストウィンドを掴んだ。最初からこれが狙いだったのか、とブラストウィンドは今更悟る。
「優は穏やかそうに見えて、実に苛烈で諦めの悪い戦いをなさるお方……多少の被害を勘案しても、確実な戦果を望まれるはずですわ……!」
 その掴んだ姿勢から、『副砲』を展開する。
「! ここでそのような真似をすれば、お前も――」
 ブラストウィンドの声に対する江恋の返答は、微笑のみ――。

『!!!!』

 周囲を震わせる砲撃が炸裂した――。


『いまここに、『ブラストウィンド』とその教導官は倒れた! これ以上の抗戦は無用よ。いますぐ武装を解いて降伏しなさい!
 降伏勧告を聞き入れない者へは、容赦なく爆撃を行うものとする!』
 ブラストウィンドとマリーヌ、両者が戦闘不能となったのを確認して、ウリエッタがユニオン陣営へ降伏勧告を行う。ウリエッタの宣言通り、上空にはウリエッタの他に二姫の空/Ju87C空/Ju87Cが滞空しており、戦力の多くを失ったユニオン陣営に、この状況を打開することは不可能であった。
『……こうして見ると、静かなものね』
『ええ、そうね……。海の広さを改めて思い知らされるわ』
 続々と武装解除を行うユニオン陣営を見下ろしつつ、二姫のJu87Cは先程までの激戦が嘘のように静まり返った海原に思いを馳せていた。


「いやー、もしブラストウィンドが俺を狙ってきた時には、鉄条網で捕縛してやる! って意気込んでたけど……正直あの速度で捕縛できたかどうかは怪しいな」
「教導官も同様の速度で駆け回られたら、今よりもっと苦戦していたかもしれないわね。
 ……ところで、どうして私があなたを抱えなければいけないのかしら?」
 ジト目を向けてきた海/戦艦“グナイゼナウ”に対し、司があはは、と軽く笑って答える。
「いやほれ、ノーネームがブラストウィンドの救助に向かうっつってな。俺が居てもできることはねぇし」
「まったく……」
 呆れつつも、グナイゼナウは決して振り落とすようなことはしなかった。

「……う……」
「お、目覚めたかい? ほら、いつまでも寝てんじゃないよ」
 ブラストウィンドが目を覚ました先の視界には、ノーネームの姿があった。
「マトリクスってのは便利なもんだね。ま、そんなんだから戦争の火種になっちまうんだけどさ」
「……お前が私を、助けたのか?」
 ブラストウィンドの問いに、ノーネームがさぁね、ととぼける。
「あっちにアンタの教導官も救助されてるよ。落ち着いたらさっさと連れて帰りな!」
 ぶっきらぼうに言い放ち、ノーネームがその場を後にする。代わりにアリーチェ・ビブリオテカリオがゴムボートを牽引する水上オートバイに乗り、ブラストウィンドの元へ近付いてきた。
「まったく、みんなホントに無茶ばっかりするんだから。
……あぁもう、ボロボロじゃない。ほら、これ被って。無いよりはマシでしょ」
 そう言って、毛布をブラストウィンドに手渡す。ゴムボートの上では武装を解かれたマリーヌが、すやすやと寝息を立てていた。
「……何故だ? 何故敵である私たちを助ける?」
「敵だろうと、命を落としてほしくないからよ。できることは限られてるし、全員の命を救おうなんて思ってないけど、少なくともあたしの目の前で苦しんでる人が居たら、助けるわね」
 そこまで言って、ハッ、としたアリーチェが頬を赤くして、ぷい、とそっぽを向きながら言った。
「と、とにかく! 次はこんな無茶な真似、しないでちょうだい!」
「……私とマリーヌを救ってくれたこと、感謝する」
 受け取った毛布を被り――マリーヌは既に毛布を掛けられていたため――、マリーヌを抱えたブラストウィンドが、ゆっくりと海域を後にしていった――。


「ここに、私たちが救助した飛姫のリストがあるわ。私たちが捕虜を連れて行くわけにいかないから、ここの責任者であるあなたに一任するわ。……敵の捕虜を大事にするのは、次の戦火を広げない一歩よ。もし女の子を大事にしないのであれば――」
「いや、皆まで言わずとも十分、理解している。責任を持って預からせてもらう」
 ヒルデガルドが捕虜として確保した飛姫のリストを、直江が受け取る。彼の頭の中ではこの姫令部のどこにそれだけの飛姫を住まわせようか、早くも算段が始まっていた。
「私は二度も、あなた方に助けられた。そしてあなた方が、戦争を煽り戦火を広げるような考えの持ち主でないことを理解した。
 何があろうと、このことは忘れない。約束させてほしい」

 直江と七桜の見送りを受けて、特異者は帰路についた――。
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担当マスターより

▼担当マスター:猫宮烈

マスターコメント

 『飛姫場防衛戦』リアクションをお届けします。猫宮 烈です。
 皆さま、ご参加いただきどうもありがとうございました(ぺこり

 『飛姫場襲撃戦』からの流れを引き継いでのアーモリー二作目です。
 前回のシナリオでここをこうしたらいい、というのを盛り込んでみましたが……そうですね、まだまだ改良が必要のような気がしました。
 より多くの方に楽しんでもらえるシナリオづくりを、引き続き頑張りたいと思います。

 皆さまにとって少しでも、楽しかった、と思ってもらえるリアクションであったなら、とても嬉しく思います。
 それでは、また。