三千界のアバター

ツリーの逆襲!?

リアクション公開中!

ツリーの逆襲!?
リアクション
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9  Next Last


■プロローグ■



 ――トレント若衆侵攻ルート上

 地面から引き抜かれた巨大な「ブロック」が、束の間空中を移動して、そのすぐ後方に着地する。
 大地を切り分け、持ち上げ、再び降ろしたにも関わらず、それに伴う音も振動もごく僅かだ。
 現実感を欠いたまま展開される一大土木工事こそ、このゲームの世界――RWO――の特徴を端的に表していた。
 
 トレントの住む森と、人の村との間に存在する開けた空間。
 怒りに駆られた若いトレントたちの進路上、それを迎え撃つに最適と目されたこの場所に、白森 涼姫は急ピッチで迎撃設備を構築していた。
 彼女が脳裏に構想するのは、一帯を横断する空堀を備えた巨壁。
 しかしてその中央部のみは開放し、敵集団をこれに指向する。
 そこには「コテージキット」を展開し、メンバーの拠点を兼ねよう……。
 本来であれば数ヶ月を要する大工事も、ここでは「クラフター」の職能により、極めて短時間の内に完了できる。
 
「――それじゃあ、あたしはここに陣取るわさ!」
 作業に没頭する涼姫に一応声をかけ、ミラ・ヴァンスは壁の途切れる中央部に立った。
 両手を腰に当て、仁王立ちの姿勢。
 一点のみ解放されたところとはいえ、トレントたちが目指すに足る標的となる様、そこにはそれなりの広さがある。
 幼い少女様の彼女は、しかし自信に満ちた様子で、未だ来ぬ敵の進路に立ちはだかった。
 
* * *

 何もなかった野原の一端に、瞬く間に強固な陣地が構築されてゆく。
 スニャー(天津 恭司)はその様子を見ながら、こちらへ侵攻中というトレントたちのことを思った。
 協定の森を荒らされた、元はと言えば被害側である彼ら。
 怒りに駆られ徒党を組んだとはいえ、何とか害せず済む道はないものか……。
 
 ――見つめる先の深森には、未だ何者の姿も見えなかった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9  Next Last