クリエイティブRPG

師匠と神童の和解

リアクション公開中!

 0

師匠と神童の和解
リアクション
1 | 2 | 3  Next Last


第一章「不当な売買」

 ナンネル・マリアンナと特異者たちはセクターEの十字街にいた。建物の影に隠れ、片隅にあるプレハブ小屋を見つめている。
 突貫工事でできたプレハブ小屋に一般市民が入っていっては、大きめの荷物を抱え出て行っていた。
「こちらからは様子は分からないか」
 ナンネルは覗き込みながら呟くと、特異者たちの前に周辺の地形図を取り出す。
「これが地図なんだけど。さて、どういう作戦で乗り込む?」
 ナンネルが特異者に話しかけると、ロウレス・ストレガが指で小屋の周囲をなぞった。
「逃げられんように、ロープなどで周囲に罠を張っておこう」
 さらに、『【原典】神誓の清輪』とトレミーウォッチで相手の情報を確認する。
「相手の人数は4人。データベースによると、帯刀者で元スネイキー・ワイリーの部下のようだ」
「やはりか。動機は金目的でしょうね。スネイキー・ワイリーは目的を達成した部下には相当な報酬を与えていたみたいだから」
「確かに、『敗者が憎い』だけでついてくる人なんて、そうそういないのね」
 ナンネルの話に私 叫が続けた。今度はジェノ・サリスが『フィルムカメラ』を取り出す。
「俺はこれで芸術品を撮っていくことに専念する。証拠がなければ裁判もできないからな」
「そもそも、警察が動かないってことは被害者が後ろめたさから黙っているからだろう。だから、アタシに連絡が回ってきたんだろうな」
 ナンネルが溜息をついた。ヴォルフのことを思い浮かべたのだろうと特異者たちは察する。
 それから、少しかがんで叫に話しかける。
「アナタはどうする?」
「・・・・・・怪しそうなやつを刺して気絶させるの」
 叫は自分の剣を構え、笑ってみせた。その表情と武器の差にナンネルは一瞬戸惑う。
「ま、まぁ細かいことは任せるよ。そろそろ取り締まりに行きましょか」
 ナンネルの言葉に特異者たちは各々返事をした。
 まず、ロウレスは他の特異者が周囲を見張る中、近場にあったロープを手に取ると入り口付近に向かう。
 そして、ロープを使い、【ブービートラップ】を張った。それを確認すると、ジェノと叫は栄具を使って透明になった。
 ナンネルが扉を開け、先にジェノと叫は侵入する。全員中に入り、店内を見回した。
 暗い怪しげな店内に絵画や彫刻、カセットテープや紙の束など、エデンではありえない代物が並んでいる。
「いらっしゃいませ。お客様」
 店員の一人がナンネルとロウレスに気づき、近寄ってきた。その店員がジェノの前を通ろうとする。
 しかし、『【栄具】転輪の卒塔婆】』と【隠形術】の効果により、気づかれずに済んだ。
 店員はそのままナンネルたちに話しかける。
「今回も素晴らしい芸術品が揃っていますので、ぜひご覧ください」
 店員がにこやかに微笑み挨拶をした。その表情にナンネルは顔をしかめる。
 彼が通り過ぎた後、ナンネルは武器を取り出そうとした。
「ナンネル嬢、まだ暴れてはならん。証拠が撮れんからな」
「それもそうだね。店員と話をしてスキを作ろう」
 ナンネルたちが自ら店員に話しかけに向かう。その間にジェノは『フィルムカメラ』で芸術品を撮影し始めた。
 姿や気配は完全に消しているものの、小さくシャッター音が響く。
 すると、別の店員が様子を窺うようにジェノの方へ近づいてきた。すると、先に叫が店員へ向かい、ぷすっと刀で刺していく。
 声を上げて倒れていく店員に他の店員も警戒し始めた。その一人が剣を発現させ、叫がいる辺りへ歩み寄る。
 叫は後ろへ周り、また一発店員へ突き刺した。その様子を見たナンネルは溜息をつく。
「こんなに騒ぎになったら、黙っている必要はもうないね」
 そう言って楽器型の武器を発現させ構えた。
「こういう芸術品はちゃんと作者にもお金が支払われないといけないんでね。ということで取り締まらせてもらうわよ」
 ナンネルは左手に持った鈍器で店員の頭を殴り飛ばす。店員はあっけなく吹っ飛ばされ、裏の棚に激突した。
 最後の一人になった店員は怖じ気づいて逃げ出す。
 しかし、入り口を出たところでロウレスが張った【ブービートラップ】に引っかかり転倒してしまった。
 身動きが取れない店員に4人が近づく。
「貴様らのような輩は一度綺麗にせねば雪だるま式に膨れ上がるばかりだ…これは芸術品の価値を貶めることに繋がる、故に掃除せねばな…」
 ロウレスは『【栄具】太陽神のレリーフ』で灼熱の炎を店員に浴びせた。店員は一瞬燃え上がったものの、すぐに火は消える。
 しかし、炎を浴びた衝撃で店員はそのまま気絶してしまった。ナンネルは片付いたとばかりに手を払う。
「よし、あとは引き続き証拠を集めて、それと一緒にこいつらを警察にでも突き出せばいいでしょ。ヴォルフの方は捕まったかねぇ」
 ナンネルは心配するように空を見上げた。

1 | 2 | 3  Next Last