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謎の紳士の正体をつかめ!

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謎の紳士の正体をつかめ!
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序章

 謎の紳士が巻き起こしたと噂される事件が、セクターEのあちらこちらで起きている事を受けて、早速紳士の情報を集める事にした特異者達。
 レオ家が集めた情報によると、紳士はどこかのビルにある部屋に勤めていると噂されている。
 レオ家の当主・サイガは、特異者達に告げた。
「君達には、わざわざ集まって来てもらって本当に済まない。謎の紳士が起こしたとされる事件は、先程の6件の他にもあるそうだ。例えば、菊ノ湯は元々施設を潰して新たなアジトを建てる為の候補にしていたそうだが、君達のおかげで、無事解決した。だが、それ以降も怪しい動きがある様でな。君達にはその紳士とやらの正体を掴んでもらいたい。健闘を祈るよ」

第1章 紳士の情報は?

「不器用で上手くいかないことばかりな私にはこの事件は他人事とは思えないです。悩みを抱えた人が被害に遭うのは悲しいので食い止めたい」
 シルノ・フェリックスは、レッドコメットに乗って、謎の紳士について聞き込みを始めた。事前に敗者知識によるコミュニティネットワークで集めようとした。
「すみません、最近この辺で紳士服を着た男性は見かけませんでしたか?」
 シルノは、主婦に尋ねた。
「あぁ、あの紳士さんね。最近聞いたわ。優しい顔して、トラブルを巻き起こすのでしょ?」
 噂話が大好きな主婦の間でも、紳士の噂は既に広まっていた。
「あと、あの紳士にはクライアントが大勢いるという話を聞いたのですけど、その点についてはご存じありませんか?」
「そうねぇ……そこまでは分からないわ。でも、あの人の事だから、きっと彼が抱えているクライアントも、裏の人間とか怪しい人達じゃないの?」
 それを聞いて、シルノはなるほどと思った。あの紳士が抱える客なら、彼らもロクでもない連中だろう。
 そう推理したシルノは、この事を戒・クレイルに報告した。
「なるほど。それにしても、人の弱みに付け込むとは赦せませんね。これ以上、被害者を増やさない為にも彼の正体を突き止めましょう」
 そう言って、クレイルは、ヨーゼフと同様の不自然な事件が無いか、エデンDBアクセス権Lv2で履歴を確認した。
 履歴によると、決闘者の名前が何人か表示されており、無数の栄具と融合させられた人やフェイル化した偉人によって襲われた人がいた。
 そして、集めた情報を元に2人で聞き込みをした。
 クレイルは、トレミーウォッチで事が起きた場所の位置から、紳士の行動範囲をチェックした。ヨーゼフや先述の青年が出会ったという公園の他、住宅街や商店街にも出没しており、そこでもかなりの被害があった様だ。
「紳士は外見はシルクハットにスーツと一般的ですが、強力な偉人や栄具を自由に扱える者。彼について深く知るなら、裏に通じる者か権力者でしょう」
 裏の者が住む住宅街を訪れた。
「すみません、紳士がいると噂されているアジトがあるそうですけど、どこにあるのか知りませんか?」
 シルノは、通りかかった黒いスーツ姿の強面の男性に話しかけた。
「何だ、嬢ちゃん。お前みたいな奴がこんなところに、来るもんじゃないぜ」
「実は、私は街で噂されている紳士とやらにお会いしたいのです。私、生まれてこの方不運に悩まされているのです。不器用で幾ら頑張っても報われなくて、口下手で話にもついていけず、戦いたくないのに黒き宿命(本当は外す事も可能)のせいで絡まれて、もう散々なんです。そこで風の噂で紳士の話を聞いて、何とかあの紳士にお会いしたいと思ったのです」
 シルノは涙ながらに動機を話すと、男性は同情して、情報を教えてくれた。
「あぁ、あの紳士か。何でもここの近くに雑居ビルがあるんだけど、その地下に会員制の店があるらしいぜ。でも、そこに行くには、誰かの紹介が無いとダメらしいんだ」
「誰かと言うのは、例えば?」
「そうだな。例えば、その紳士か会員の紹介で来るとかじゃないか? でも、怪しそうなところだし、中の事は口外厳禁になっているだろうから、そう簡単に教えてくれる事は無いと思うぜ」
「分かりました、ありがとうございます」
 シルノは男性に礼を言うと、クレイルに報告した。
「地獄耳で聞き取ったので大丈夫です! あと、C-CLEFで録音もしたので、それを皆さんに知らせましょう」

「謎の紳士が偉人と契約を……か。そういえばアイツらもそうだったな。そいつらに話を聞いてみるか」
 天峰 真希那は、ある人物に会うべく養成機関セントラルに向かおうとした、その時だった。
「あれ、ヨーゼフじゃないか?」
 そこにいたのは、かつて真希那を始め、特異者達に助けられた少年・ヨーゼフだった。もちろん、彼のパートナー・董卓もいる。
「お前、何でこんな所にいるんだ? セントラルはどうしたんだ?」
「あぁ、引越の準備をする為に、一度実家に戻って来たんだ」
「まぁ、寮でも漫画や遊戯(=ゲーム)とやらがやりたいというのが真だがな」
「ちょっと、それは黙ってて!」
 かつて、暴君と恐れられた董卓も以前と比べて丸くなっており、真希那も安堵した。
「よう。英雄への道のりは順調か?」
 真希那は、久々の再会となったヨーゼフに、気さくな挨拶をした。
「うん、順調順調! この前の実技じゃ、董卓が弓矢で一気に敵を倒しちゃってさー、あの時は凄くびっくりしたよ!」
「おー、スゲーじゃねぇか」
「しかし、こやつは我に頼り過ぎるところがある。この前の筆記試験も、あと一歩のところで、落第に……」
「うわー、シーッ! シーッ!」
 ヨーゼフは慌てふためいている。とりあえず、順調である様だ。
「ところで、ヨーゼフ。お前に聞きたいことがあるんだが、お前が会った紳士は、一体どんな奴だったんだ? その時の状況も教えてくれ」
「そうだな、あの人は落ち込んでいる時に話しかけて来たんだけど、僕の悩みを真摯に聞いてくれたし、礼儀も正しかったからそのまま信じ込んじゃったんだよね。その時、フェイル化した董卓が現れて、その時の紳士はどこにもいなかった」
「外見の特徴、名前とかは覚えているか?」
「長い金髪を後ろにまとめていて、眼鏡を掛けていたよ。身長は普通で身体は細かったかな。僕に渡した名刺には、『ハニー事業団 営業担当 ラック・ブラック』って、書いてあってた」
 素性までは分からなかったが、名前や外見の特徴は分かった。
「教えてくれてありがとう。いつか、そのフランクという似非紳士とやらをやっつけてやるからな!」
 真希那はヨーゼフに礼を言うと、仲間に報告した。
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