三千界のアバター

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 他の階へとつながる階段にたどり着いた瞬間、女性は壁にもたれかかり俯いて、ぎゅっと全身に力をこめた。
 とたんに女性らしいか細い腕や足が膨れ上がり、関節が盛り上がって、男性的な筋肉が形成される。
 ふっと全身の力を抜いたとき、そこにいるのはたおやかな女性ではなく、長身の男性、弥久 ウォークスだった。
(の、喉が……)
 無理に作った高い声のせいで喉の負担が大きい。異性化という技術は声も自然と異性のものにしてくれるはずだが、やはり振る舞いを意識すると妙に声音を作ってしまう。
 これからが本番だというのに、妙に疲労してしまった。弥久は身体を休めるためにどっかりと階段に腰を下ろす。
 ――だが、近くに人の気配を感じる。距離は十分にとったつもりだが、まさかたんけんたいの誰かが追いついたのか。警戒し、弥久は気配の方へと反射的に顔を上げた。
視線の先、階段の影になるところに、おどろおどろしい幽霊の顔が浮かび上がっている。
「おわっ」
 驚きの声をあげ、反射的に臨戦態勢に入る。
 対する浮かび上がったそれは、すっと、細く長い指で、その『顔』を外して見せた。その下から現れたのは、どこか挑発的な、けれどいたってまっとうな人間の面差し――天峰 真希那の顔だ。
「な……なんだ、脅かすな」
「脅かしたのはそっちだろ。しらねぇ女が急に来たと思ったら、いきなりモリモリ筋肉つけやがって」
「……見てたのかよ」
「お前が見せたんだよ」
偶然の結果とはいえ、返す言葉がない。弥久は仕方なく口を閉ざし、ぴちぴちになった女性ものの衣服に手をかけた。
「ちょ……何脱いでんだ」
「ん? ちょっと着替えたくてな。男同士だ、問題ないだろう」
「男だから見たくねぇんだよ!」
「あまり騒ぐな、こどもたちに聞こえる」
「っ」
 真希那は慌てて自分の口をふさぐ。その様子から、彼もたんけんたいのこどもたちを気にかけていることが見てとれた。
「――ふむ。その様子だと、お前たちも子守にきたのか」
「え……」
 不意に、外からの光が届かない暗がりから、新たな男性の声がした。2人が声の方へと注意を向けると、あちこちに血が付着した外套を身にまとった怪しい男、サジー・パルザンソンが光の差し込む範囲に踏み入り姿を現す。その手には、太く粗暴な鎖がだらりと垂れさがっている。
「その武装じゃ、お前も吸血鬼退治ってわけじゃなさそうだな」
「まあな、お子さん相手にちょっとしたお節介さ」
「へえ」
 にやり。三人はお互いを見合ったまま、不適な笑みを浮かべる。
「これだけいればさぞかし、いいパーティになりそうだな」
「ああ、派手にいこうぜ」


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