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すすめ! おばけやしきたんけんたい

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第五章 How do I look?



 ――その影響は、たんけんたいにも及んだ。
「危ない、みんな下がれっ!」
 とっさに反応したのはすばるだった。もともとこの廃墟の強度を気にかけていた彼だけに、この状況……床の崩落はある程度予想できていたのだ。
 すばるはたんけんたい一行に回避を指示しながら、近くにいたリタを抱えあげ、跳躍して、崩れる床から距離をとった。
 そのおかげで、最初の崩落については、皆、難を逃れることに成功する。
 ハンネはかなり危うい場所にいたものの、出雲の懐から飛び出した人形ががっちりと支え、なんとか地下への転落からは免れることに成功する。
 一同から少し離れていたコルトだけは誰もかばうことができなかったが、自ら『おほしさまのかけら』の力を借りて素早く跳躍し、なんとか事なきを得たようだ。
「あ……」
 その崩落した床から感じられる禍々しい気配に、ノーンがさっと顔色を青ざめさせた。
「た……大変、大変! フェイルが近くにいるよ!」
 ノーンの声と同時に、黒い塊が素早く地下から外へと飛び出した。蝙蝠に似た大きな翼を広げ、霊長類にも似た体躯を持ったその姿……それはまさしく、討伐隊が組織されるに至った、フェイルの目撃情報そのものだった。
 人のそれに近い四肢や頭を持っているが、その色は徹底して黒く、唯一瞳と思われる水晶体は赤くよどんでいる。
 それを追うように、巨大な龍が姿を現し、フェイル目掛けて炎を吐き出した。
 予想だにしない光景に、たんけんたい一同は数秒間、呆然とその光景を見やることになる。
「逃がすか!」
 さらに床の下から、地下で戦いを展開していた討伐隊の面々が飛び出してくる。あるものは跳躍し、あるものは飛翔して、それぞれの手段でフェイルを追いかけるようだった。
「あ、ああ……」
 崩落した床の淵に、コルトがへなへなとへたり込む。戯れに倒した『お化け』などとはくらべものにならない、圧倒的な恐怖がそこにあると、本能的に理解したのだ。
「どうしたのさ、震えちゃって」
 リズは震えるコルトの顔を覗き込む。
「ど、どうしたって……あ、あれ、あれが」
「あれ? ああ、あの蝙蝠羽かな? あんたが倒したいっていってたおばけじゃないのさ」
「え、だって、もう倒した……」
「やだなー、まだいるかもしれないって、自分で言ってたじゃないのさ」
「そう、だけど……だって、あんな」
「あんなに怖いとは思わなかった、かな?」
 明るい声音でそう言って、にい、と目を細める。その笑みにはどこか挑発的なものが混ざっていた。
 コルトはそれに気づいている。気づいているからこそ、なかなか首を縦に振れない。
「……あれ、違った? だったらごめんね。お姉ちゃん余計なこと言っちゃった。ほら、さっきみたいにキックして、倒しちゃえばいいじゃん?」
 とん、と背中を軽く叩いてやる。その力は本当にごく軽いもので、コルトが一歩踏み出すことには繋がらなかった。
 コルトは青ざめた顔のまま、じっとフェイルを見つめる。龍の姿も、討伐隊の面々が次々に攻撃を加える姿も、当然目に入っている。
 そこに、今の自分がそのまま加わることができるなどとは、到底思えなかった。
「……ごめんなさい」
「よーし、よく言った!」
 くしゃっとコルトの頭をかき乱すように撫でてから、リズはコルトの体を抱えあげた。
「みんなー! コルトもう帰るってさー!」
 状況には不似合いな笑顔の報告だが、たんけんたい一同の表情は明るくなった。
「はーい!」
 ノーンは元気よくお返事したあと、もしものときのために身に着けていた篭手からシールドを展開させ、ハンネの体を支えるように腕をとった。
「ここから出たら、一緒にカボチャのクッキー食べようね」
 その無邪気な微笑みに、ハンネはう、うん、と恥ずかしそうにうなずいた。
「え、ハンネだけいいなぁ」
「リタちゃんのも、ちゃんとあるよー」
「……スターシリアルも、あります……から」
「エデンスムージーも用意していますからね。それを楽しみに、なんとか脱出といきましょう」
 一度膨れかけたリタだったが、ノーンとシア、歩の言葉に「やったぁ」と特異者たちについて歩き出し……突然床から突き出た杭に、慌ててその場から駆け出した。


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