三千界のアバター

敗者と偉人の友情

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序章「作戦会議1」

 特異者たちは獅子 サイガのいる邸宅の付近に集められていた。現在、木戸 浩之が彼らに状況説明を行っている。
「……と状況は以上になります。そして、この子がアトゥ君です」
 浩之はアトゥを紹介したが、アトゥ本人は緊張して俯いたままだった。
「ほらアトゥ君、挨拶してください」
 浩之が促すと、アトゥはお辞儀をする。
「よろしくお願いします」
 緊張から声が小さくなった。様々な容姿をした特異者たちの視線が自分に集まっている。見知らぬ者たちに見つめられ、思わずアトゥは浩之の後ろに隠れた。そんな彼に浩之も戸惑っていると、碧海 サリバンが話しかけてきた。
「ったく、木戸クンも人遣いが荒いねえ。うちの偉人は休暇でベガスに行ってんだ、アテにしないでくれよ?」
 2メートルを超える巨漢が目の前にして、アトゥは顔も浩之の背中に隠す。
「今回は完全に倒すわけにはいかないので。むしろ、本気で挑まれた方が少し困りますよ」
 浩之が答えていると、サリバンがアトゥの様子に気づく。唯一見えている手は、小刻みに震えていた。その様子にサリバンが笑う。
「ビビってるのか。そんなんじゃスネイキーに立ち向かえないぞ。こりゃさらに大変になりそうだな」
 すると、アトゥは勇気をふりしぼり、浩之の隣に並んだ。その調子だ、とサリバンは笑いながら誉めた。
 その姿をシルノ・フェリックスたちが見ていた。
「あの少年がスネイキーに立ち向かうのですか・・・・・・。それだけ気持ちが強いのでしょう。私は彼が望む未来のために力になりたいです」
「僕も2人の軌跡が奇跡に変わることを願い、尽力致しましょう」
 シルノの言葉に戒・クレイルも同意する。
「それにしても、スネイキーとやら、勝者の風上にも置けない卑劣な輩ですね。ただ倒すだけでは気が済みません」
 頬を膨らませ、松永 焔子が言った。
 やがて、役割ごとに特異者たちは分かれ、作戦会議を始める。ヒルデガルド・ガードナーは『スネイキーたちが二手に分かれて行動していること』を念頭に置き、話を進めていた。
「私は縄張り付近へ向かおうと思うの。スネイキーがいてもいなくても、部下は少ない方が良いと思うし」
 ヒルデガルドが言うと九曜 すばるも同意する。
「アトゥが戦うのは主にスネイキーで、部下の大半を俺たちが片付けよう」
特異者が意気込む中、すばるは話を続ける。
「でも、スネイキーを弱らせておくようなことはしないから。パンおじさんなら一目見て、こちらのお膳立てには気づくと思うから、俺はアトゥ自身の力を上げるだけに留めたい」
 この依頼で難しいのは、『ただスネイキー・ワイリーたちを倒す』だけではダメなのことだ。アトゥとパンおじさんが契約できるような状況、具体的に言えばパンおじさんがアトゥを認めてくれるであろう状況を作りださなければならない。
「確かに、そういう意味ではなかなか面倒な状況ですが、面白くもあります。私はアトゥさんが覚醒して見えるように動いてみます」
 話を聞いていたルキナ・クレマティスが言った。

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