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それぞれの世界での夏祭り・5

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それぞれの世界での夏祭り・5
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■懐かしき記憶に帰省


 晴れた昼下がりの午後、大和、津久紫。

「……大分暑いだろうと、編笠を被ってきて正解でしたね」
 編笠に触れながら容赦なく注ぐ真夏の太陽を仰ぐ、直垂纏う水上 響。本日は壬生 杏樹はおらず唯一人の訪問だ。
「さて、灯籠流しの夜まで、ここは一つ地元で夏休みを満喫するとしましょう」
 響はゆっくりと、散策へ。

 散策開始後。
「結構長い事記憶を失ってテルスのサフル大陸にいて、特異者となった事で元々津久紫の出身だという事を思い出しましたが……」
 響は、故郷を離れて過ごした数年を回顧しつつ
「確かここには……」
 記憶を頼りにするも見当たらず
「……ありませんね」
 小首を傾げるが
「あぁ、もう二つ先の角でしたね」
 思い出し、再び歩き出す。
「随分と久しぶりですからねぇー……何処に何があるのか、イマイチ覚えていないものですね」
 口元を歪めながら。
 そして
「すっかり土地鑑もなくなっちゃいましたが、これはこれで新鮮な気持ちで散策ができるというもので悪くないかもしれませんね」
 響は覚えていない事に落ち込むのではなく、冒険とばかりにわくわくする。
 時は風景を変じるという事で
「この建物は知りませんね。僕が離れている間に出来たのでしょうね」
 響は真新しい景色に幾度も遭遇し
「さすがに僕の家も残っていないかもしれませんね。離れて数年、元々一人で暮らしてましたし」
 思うは、自身の家。
「……全てが終わったら、またこの町に戻って暮らすのもいいでしょうが、決めるのはその時になってからにしますか」
 響はこの先に思いを馳せた後、刺激的な散策を続けた。

 散策の末、響が訪れたのは
「ここで今夜灯籠流しが開催されるのですね」
 灯籠流し開催予定地。
 感慨と共に海を見渡してから
「今はまだその時間ではないので、夜を待つとしましょうか」
 近くに腰を下ろし
「丁度、喉が乾いてきましたし」
 氷瓢箪に入れてある貰い物の含菓子【抹茶】を一口。
「んー、冷たくて美味しい……持って来て良かったですね」
 口内に広がる冷たく爽やかな苦みに、ほっと一息入れつつまったり夜を待った。

 夜、星々が映り込む海。

「……懐かしい風景で灯籠流しですか」
 響は灯籠を手に、懐かしき海にしみじみしてから
「……」
 編笠を外し、灯籠を海へ流した。
「幻想的な光景ですね」
 見送りながら浮かべるのは、感嘆と
「……恥ずかしながら、相も変わらず他に言葉が出てこないんですけどね……(今回は残念ながら都合が合いませんでしたが、いずれは皆さんを連れて一緒に見に来たいものですね)」
 苦い笑い。胸に大切な絆を抱いて。

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