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ブランクでサバイバル大冒険! あの子のハートをゲット!

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 明るいうちは動いていなかった動物たちがひっそりと動き出しすることもあってか、そこかしこを動き回る気配がどことなく不気味な夜の森。
 だが、京・ハワードシルノ・フェリックス、そして【ロリータドレス】を身に纏った狛守 眞白は、ピュータと一緒に移動していたため、足早に獣道をどんどん進んでいた。
 シルノの後方からは、ペットのティノが彼女を守るようにしてついて行く。
 道中は真っ暗だったが、シルノが持つ【カボチャのランタン】が前方を照らしてくれていた。

「前のBodyもCoolだったけど、今のBodyも中々goodネ! でも私は、もっとピュータにはstrongなbodyも似合うと思うのヨ!」

「そうですカ? ありがとうございます。……前方にフクロウ発見です。攻撃はしてこないハズですが気をツケてください」

「OK~Just in case、気をつけるネ」

 京がガッツポーズを決めようとしたその時。
 全員の視界に、何やら眩しい光が飛び込んできた。
 まるでこちらを弄ぶかのごとく、色んな方向からいくつもの光が差し込み、誰もがとても目を開けていられない状態になる。
 それは、アルヤァーガ・アベリアが【プラーナポータル】を利用してその場の空間に穴を開け、色んな方向からPRの光を当てていたのだった。
 だが、そんなことを仕掛けられているとは露とも知らず。

「お……おばけ?」

「ひ、ひぇええええええ!!」

 パニックになりかけている眞白の手を京が引っ張り、シルノたちと共にただひたすら前方を目指して走り出した。

「安全確保! こっちです!」

 落ち着いた様子のピュータが、足元に注意を払ってくれながら進路を確保してくれる。
 だが、突如、暗闇から何かが飛び出してきた。

「ぎゃああああああああああ!!!!!」

 白い布を纏った「何か」は、よく見ると、ゾンビのような動きでゆっくりとこちらへ迫ってくる。

「出たぁぁぁぁぁぁ」

 眞白の絶叫が森の中に響き渡った。
 実はこのゾンビもどきは勇人とメロディアが扮していたのだが、暗闇とアルヤァーガが繰り出す光の加減でその正体は全く分からない。
 全員で寄り添いながらゾンビもどきの動きを交わし、ピュータのナビゲーションで強引に進んでいく。
 木陰に隠れてその様子を見ていたアルヤァーガは、ニッと笑うと、

「驚かせ過ぎてもかわいそうだな。……このくらいにしておいてあげるか」

 と、【桜の木召喚】で夜桜を出現させた。
 あまりにもマッチしすぎたその演出に、京たちはとうとうその場にうずくまってしまったが、勇人とメロディアが顔をにっこりと見合わせて
 全員をゆっくりと観測場所まで誘導させてやる。
 桜の木の下にいたのがアルヤァーガだと分かり、誰もが安堵の表情を浮かべたのだった。

「きもだめし、面白かっただろ?」

 いたずらっ子のようなアルヤァーガ、そしてよく見るとわざとらしいメイクを施していた勇人とメロディアを見て、その場に笑いの渦が巻き起こる。

「なんとか……無事に到着しましたネ……はぁ。ビックリしましタヨ」

 観測地点に辿りついた一行は、ふぅっと大きな息を吐く。
 走り疲れて見上げた空は、じっと見つめていると吸い込まれていきそうなほど奥行きがあり、近いようで果てしなく遠い。

「……ピュータ、あの星は何て言うの……? 赤い星、ルビーみたいにきらきらしてる」

 星に見つめたまま、シルノが言った。

「あれはレスアンズと呼ばれる星ですネ。
 あの星を含む星座は、サソリ型のテュポーンです。特にあの星の位置は心臓部分にあたりますが、うっかりしているとさそりに毒にやられてしまいますので、気をつけてください」

 ピュータのそんなジョークに、シルノはふふっと微笑む。
 反応したティノが、シルノにまとわりついてそのまま抱き上げられた。

「ティノ、見える?」

 シルノと一緒に星を見上げたティノは、ブルッと体を震わせた。
 しばらくの間、星をじっと眺めていると、不意に涙がこぼれ落ちてくる。
 これまで、何かに押しつぶされそうな思いを何度も経てきたこと、共に時間を過ごしたにも関わらず、もう会えなくなって
しまった人達がいること。
 そのことを思うと、色んな思いが胸にこみ上げてくる。

「寂しいよ……」

 小さく呟いて、シルノは抱きかかえたティノに顔を埋めた。

(どこに行けるかも何になれるのかもわからないけど……まだ私はここにいる。まだ、前に進んで行ける……だって私は……)

 シルノは、1人じゃない。
 同じ時間を、思いを共有できる仲間たちがいる。
 見上げた星はとても美しく、儚げで強いーー目に滲んだシルノの涙を、ティノがペロンとなめてくれた。 

「ご覧下さい。あの辺りには、まだ春の星座が残っています。
 南至九星の下の辺り、見えますか? あの曲がり具合に沿って見ていきますと、
 デモトゥルスと呼ばれる一等星を見つけることができます。更にずっといきますと、こちらも同じ一等星のアクスに辿りつきます」

「へえええーーー!  ねぇねぇ、あの星はなんていうの?」

 今度は京が示す星について、ピュータは丁寧に教えてくれた。
 銀河に数え切れないほどある星の一つに住む自分たちの存在は、奇跡でありまさに神秘だ。

「さすがピュータはexcellentだネ! Waiking Encyclopediaにふさわしいよ~」

 褒められたピュータは照れているのか、その場でくるくると回ってみせた。

「ね。また一緒に星をみようね、約束だよ♪」

 京たちと指切りげんまんをして、ピュータはますます博識ぶりを発揮するのだった。
 1人、少し離れた位置でアドルフのことを思い出していた眞白は、瞬きをすることも忘れて星に見入っていた。
 涼しい風が眞白の頬を優しく撫で、まるでこの地に自分だけが存在しているような、そんな不思議な感覚にとらわれそうになる。

「アドルフさんのバカーーーーーー!」

 ふと出たのは、アドルフへの行き場のない複雑な思いだった。

「なんで……剥がして捨てたはずの恥ずかしい短冊まで読むのよー! ぜんぜん、乙女心がわかってなーーーーーい!」

 アドルフには届かなかったが、風下の方で星を見つめていたアルヤァーガが切ない思いを受け止めてくれたらしい。

「そうそう、その調子だ。思ったことをここでぜーんぶぶちまければ、すっきりするぞ」

 アルヤァーガは眞白の頭をポンポンと叩き、それ以上は特に何も言わずにずっと眞白の近くにいてくれた。
 たったそれだけだったが、眞白は随分と心強く感じられた。

-------

 真っ暗な森の中、子供たちのざわつく声と共に 【感応】で辺りの様子をうかがう九鬼 苺炎は、「ある気配」に気づきつつも
それを無視して先を急いでいた。

「見えないものは、見ないふり……」

「どしたの、おねーちゃん?」

 手をつないでいた少年がふと不安を感じたのか、苺炎を見上げる。

「ん? 何でもないわ♪」

「……こんなに真っ暗だったらおばけが出そうだよぉ……」

「大丈夫。私のファミリアはつよいから、おばけとかテュポーンが出てもうごかなくできるのよ。安心でしょ?」

「ほんと……?」

「止まるなガキども! さ、さっさと前へ進め!」

 子供たちの後ろを守りつつも、誰もいない後ろが気になって仕方がないマリィ・F・グローリアが子供たちを促す。

「おねぇちゃんもこわいの?」

「な、な、なに言っちゃってんの? ぜんぜん、怖いなんて、ありえないし」

 精一杯の強がりを見せながら、マリィは大股で歩き続ける。
 その時、近くの草むらがガサガサと音を立て、何かがうごめいた。

「ひ……っ」

「ん。待って」

 苺炎はゆっくりと草むらに近づくと、静かに一点をじっと見つめる。

「……おいで」

 姿を見せたのは、、チャカギだった。
 苺炎の連れであることが分かると、ほっと胸を撫で下ろす子供たち。

「怖くないわ、何もしないから安心して」

 苺炎に抱き上げられたチャカギは、ふるふると顔を振ってから子供たちの腕の中へと移動する。
 すぐに子供たちと打ち解けたようだったが、やはりまだ恐怖は拭い去れていないらしい。

「どうしても怖いなら、みんなで一緒に歌いましょう。ーー【旅立ちの歌】」

 とうとうその場で動けなくなった子もいたため、苺炎は【永遠のトロイメン】で気持ちを落ち着かせてやる。
 ーーパキ、と小枝を踏む音が聞こえた。
 涼しいはずの森の中、急に生ぬるい風が吹き込んでくる。
 先ほどから苺炎が気にしていた「ある気配」……それは、【変装セット】を使い、お化けに変装した真毬 雨海と、平坂 愛のものだった。
 雨海は【ロリータドレス】に身を包み、演出としての血まみれメイクはお愛想程度に仕上げるつもりだったが、凝り始めると鏡を見ただけで自分でもゾッとしてしまうくらいのクオリティになってしまったのだった。
 まともに見れば、想像力の豊かな子供なら震え上がってしまうだろう。
 愛は【ロストグローリア】にて体を二つに分け、 その時に生まれる【逆しまのカンテラ】のうち一つを自分たちの目印にしていた。
 もう一つは、冷房器具として天体観測所に置いてある。
 後ほど、皆が快適に天体観測ができるようにという計らいなのだが、果たしてどうなるかーー。

「後もう少しよ。星を見たくて、怖くてもここまで歩いて来たんだから……みんなよくがんばったわ」

 眠そうに目をこする小さな子をおぶってやる苺炎。
 そして、すぐに覚えられそうな簡単なフレーズを全員で口ずさみ、森を突っ切っていく。
 歌が終わる頃には、天体観測所も見えてくるだろう。
 その様子を木陰から見ていた愛は、一人が脅かし班、もう一人が脅かしすぎて逃走、道に迷った方を保護する救護班というふうに自ら二手に分かれた。
 雨海と打ち合わせて待機場所を計算し、そっと草陰に潜む愛。

「ちゃんとオバケに見えるでしょうか……?」

 本格的な仕上がりになっていることを自覚していない雨海は、子供たちが近づいてくると【発火のルーン】で火を起こし、火の玉のようにして辺りに漂わせてみた。

「あ……あぁ……」

 声にならない声を上げた少年の前にぼうっと現れた雨海は、精一杯のオバケらしい声を出して、

「く……るしい……ここから……出し……て……」

 と、震えながら手まで伸ばしてみせた。

「ぎゃーーーー!! で…でで、でたぁーーっ!!!! こ、の……化物だあっ!!」

 誰よりも一番、本気で怖がっていたのはマリィだ。
 どうやら、その正体が雨海だということに気づいていないらしい。
 ぶんぶんと武器を振り回すが、雨海にあっさりとかわされてしまう。
 雨海は渾身の演技を火の玉と同時にやってみたことで、想像を絶する恐怖がマリィと子供たちを襲い、森の一角は騒然となった。

「もう、ここから戻れないよ……」

 愛の脅かし班は白布を持ち、子供たちが来るまでばれないよう待機していたが、やがて【忘れられたオルゴール】より不気味な音楽を鳴らした。
 【マガツカゴ【ムシカゴ】】よりミニマッスルの大軍を送り、白布をかぶって【飛花落葉】で子供たちに襲いかかる振りをする。

「ハッピィィィクリスマァァァスゥッ!!!」

 謎の掛け声と共に、愛のこだわり抜いた演出が決め手となり、凄まじく驚かされた子供たちは四方に逃走してしまった。
 だが、すぐに愛の救護班に無事保護されたようだ。
 【陽之導】の明かりによって、恐怖のどん底に突き落とされた子供たちの恐怖は、少しずつやわらぎ始めていた。
 どんなオバケ屋敷も、愛の脅かし作戦に勝る企画はなかなか存在しないだろう。
 抜群のエンターテイメント性に富んでいるが、

(愛さんも雨海さんも……きもだめしのクオリティが高すぎるわ。相手は小さな子供……もう少し、手加減してあげてもいいでしょう?)

 苺炎は【チャネリング】で2人に呼びかける。
 苺炎と目が合った雨海はそっとウィンクをして、やがて子供たちに花を持たせるような演技を始めた。
 愛も、保護した子供たちと手をつないで苺炎たちと再び合流する。

「観測……地点へ……いきた……い……」

 恐ろしいながらも、雨海扮するオバケの言い分に耳を貸してくれた男の子が1人。
 その子の誘導により、子供たちは勇気を見せて先へ進もうとした。

「つれて……いって……」

 雨海は子供たちの小さな勇気に対して【ファミリアタクト】を発動させた。
 ファミリアが音楽を演奏し始め、そっと彼らを後押しする。
 ほんの少しのスリルは、幼い頃の貴重な思い出としてやがて緩和されていくだろう。
 苺炎は特に怖がりな子たちが不安がらないようぴったりと寄り添い、雨海の音楽に合わせてみんなで歌いながら暗い道を抜けて行った。

「ついたよ!!」

 男の子が振り返った時、雨海はうまく姿を隠してしまっていた。
 愛があらかじめ置いておいたもう一つの【忘れられたオルゴール】が鳴り始め、ロマンティックな音色を奏でる。
 白布を脱いだ愛がそっと現れ、子供たちの様子を見守る。

「あれ……? オバケさんは?」

「あははっ…このマリィさまに恐れをなして逃げ出したか……はは……」

 マリィはもう二度と離れるまいといった勢いで、いつの間にかがっちりと愛にしがみついているものの口調だけは妙に強気だ。

「マリィさんに抱きつかれちゃった……」

「もー……。オバケさん、ここに来られて、星になったのかも知れないね」

 苺炎にそう言われて、子供たちは静かに空を見上げるのだった。

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