クリエイティブRPG

ブランクでサバイバル大冒険! あの子のハートをゲット!

リアクション公開中!

ブランクでサバイバル大冒険! あの子のハートをゲット!
リアクション
First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last

【1-2】

「ん、いい感じで進んでますね?」

 川をはさんだ反対側でカレーの準備をしていた 天峰 真希那たちの様子を見に来たセラフィは、
思わず感嘆の声を上げる。

「わぁ……!!」

 子供たちが一生懸命こねているもっちりとしたナンは、焼き上がれば長さ40センチくらいにはなるだろう。
 別のグループでは炊飯をしていたが、真希那たちのグループではカレーと共にナンを作っていた。
 様々なアイデアを取り入れ、工夫を凝らしたサバイバルキッチン。
 ここでも多くの子供たちが、目を輝かせて真希那を手伝ったりそれぞれの作業を続けていた。

「よっ、今日はうまいメシの為に頑張ろうぜ」

 両手に食材を抱えた真希那が、背後から声をかけた。

「コクを出すために、なるべくパンチのきいた食材を入れたいんだよなぁ……」

 真希那は、セラフィと共に【フードセンス】に反応のあった場所を探索してみることにした。
 川の中へ【素潜り】して、小さなカニを捕まえる。
 【サバイバルセンス】が警鐘を鳴らすものは避け、食べれるかどうか判断に困るものは【野外調理】を使いその場で捌いていく。

「セラフィ、一緒に味見してみるか?」

 セラフィが野草を見つけると、真希那は【戦闘背のう】からシャベルと袋を取り出してそっと採取した。
 傷みやすいため、ひんやり冷えた【眠れる巨獣の小盾】の近くへ手早く移動させる。

「戦闘用の道具だって使い方次第ってな。そうだろ?」

「……道具というものは、使う人によっては凶器となり、利器となります」

「確かにそうだな。まぁ、俺も平和とは縁遠っていうか……正直な話、戦闘以外は何していいか分からなくて……
いつも苦戦してるけどな」

「……真希那さんは、真希那さんのままでいいと思います。
 ……あなたが誰かになることができないように、あなたもまた、あなたしかいないのですから」

「ははっ、なんか慰められてる感満載だけど。……なぁセラフィ、友人になってくれるか?」
またこうして、いつかうまいカレーでも一緒に作ろうぜ」

「はい、もちろんです。はじめて……はじめてジス以外のお友達ができました」

 2人が採取した食材は子供たちによって細かく刻まれ、鍋の中でルーと溶け合わさってコクのあるカレーへと
生まれ変わった。
 次はきっと、違う味のカレーになるだろう。
 セラフィはどんな食材を入れるか想像しただけで、頬が緩んでしまうのだった。


 同じ頃、ほんの少しだけ奥まった所にある平地では、小野寺 泰彦が 【木工技術】を使って
調理用のかまどや食事用の椅子、テーブルなどを作り上げていた。
 すでにかまどは完成していたが、その大きさから移動させるのも大変なため、子供たちはパンの生地や肉の塊を忙しそうに直接その中へと運び込んでいる。
 【サバイバルセンス】を生かして見つけたこの場所は、作業がしやすい上に危険も少ない。
 大勢が座れるように、長めのテーブルを用意したい。
 そう考えた泰彦は、なるべく傷が少なくて手触りが滑らかな木を厳選し、【狂戦士の膂力】で運び集めた。

「ふんぬぁー!! 何を隠そう、わしはサバイバルの達人だ!」

 邪魔な瓦礫も、泰彦の腕力を持ってすればウレタンを扱うようなもの。
 匠のような技術で見事なテーブルと椅子が完成し、その仕上がりは野外で使うにはもったいないほどだった。
 子供たちがてきぱきとカレー皿を並べ、準備はすでに万端だ。 

「あの、小野寺さん。カレーできましたよ……?」

 冷めてしまわないうちに食べてほしいと思ったセラフィは、作業に没頭する泰彦におずおずと声をかける。

「うん? ちょっと待ってくれ。いまノッてきた所なんだ!!」

 瓦礫や石材を組み合わせ、ちょっとした遊具を作るはずだった泰彦は、凝り始めるととことんまでこだわりたくなったのだろうか。
 すでに遊具の域を超え、泰彦は当初の目的とは裏腹にリフォームの匠と化していた。

「あの……石材の埃がけっこう立つので……とりあえず、先にカレーを……」

 泰彦の分もちゃんと置いてあるのだが、今はカレーよりもとにかくリフォームが先決。

「フハハハハ! 廃墟という廃墟を、リフォームし尽くしてくれるわ!!」

「また後でにしておきますか」

 泰彦は、何事も極めたくなってしまうタイプなのだろうか。
 セラフィは後で温め直して食べられるように、泰彦のカレーを取り分けておいた。
 匠がリフォームした数々の遊具は、大勢の子供たちが思い思いに遊び、怪我することなく快適に過ごすことができたのだった。

「おーーーい、おやつだぞーーー」

 遊具で遊んでいた子供たちを、弥久 ウォークスが呼び集める。
 おやつと聞いて、遊びに夢中になっていた子供たちは目の色を変えて駆け寄ってくる。

「【ロクスタ煮の瓶詰め】だ。コリコリしてうまいぞ」

「……これ、虫?! 食べられるの??」

 しなっとして佃煮になってはいるため傍目には分かりにくいが、目を凝らしてよく見ると触覚や足がついており、間違いなく虫だ。
 だが、どの子もウォークスから怖がらずに受け取り、コリコリといい噛み音を鳴らして
食べている。
 口に入ってしまえば、多少グロテスクな形でも何とか食べられるらしい。
 その間にウォークスは弥久 佳宵から【まな板】を借り、一匹の【氷古鮭】を捌いていくことにした。
 
「目の前で魚を捌いてもらえるなんて……初めてです」

 ランファとセラフィが目を輝かせながらウォークスのライブスペクタクルに見入る。
 子供たちも集まってきて、いつの間にかギャラリーができてしまっていた。

「うーん、そんなつもりではなかったんだが……」

 拍手を送られ、照れくさそうに顔を赤らめるウォークスは、きれいに捌いた切り身をずらっと並べたその横に、
丸物の【氷古鮭】をドンッと置いた。

「これを手本にして、もう一匹を捌いてやってくれ」

 ランファとセラフィは、互いの顔を見合わせてきょとんとしている。

「さ、魚なんて捌いたことありませんよ……!!」

「詩織に聞いてみれば多分何とかなるだろう、現代の女子高生なら、鮭を捌く事くらい出来るよな?」

「ジス、わかる?」
「んぁ? 知らん。いや、正確には知ってるが教えるのがたりぃ。
 今回、特に戦闘もなさそうだし、たまにはお前だけで楽しめよ。」

 物議を醸しているうちに、ウォークスはさっさと【羊】をばらし、きれいに水洗いをしてから布で包んだ。
 それを佳宵に渡す。

「さて、俺も食材を探してくるか! 続きは頼むな佳宵」

「はい。この世界では調理器具を探すのも一苦労ですからね……何もなくても簡単に作れる料理の方法を教えてあげましょう。育ち盛りの子供達ですから、たくさん食べても多分お腹一杯にはならないですよね……?」

 佳宵は【備蓄用シチュー缶】を開けると、ウォークスから受け取った【羊】の肉をいれ、布で缶を何重にも包んだ。
 【アースエルガー】で土砂を操り、浅めの穴を掘ってその缶を地面に埋める。
  その上で火を起こすと、

「はい、こうすれば調理器具を使わなくてもお肉に火が通りますよ! 【野外調理】の方法の一種です」

「勉強になります」

 詩織が真剣にメモを取っている。
 この方法は肉にゆっくりと熱が伝わるため、線維が硬くならずにやわらかく仕上がるのだ。
 煮込むよりも短時間で出来上がり、サバイバルでは打ってつけの調理法と言えよう。

「ウォークスさん……シチュー、喜んでくれるといいですけど」

 フォークを入れるとほどけてしまうほどやわらかく仕上がった【羊】のシチュー。
 おいしそうに食べてくれるウォークスを想像しながら、おそらく三倍はおかわりをしてくれるだろうと想像するだけでも思わず笑顔になってしまう佳宵だった。
 佳宵のそばでカレーを作っていた日長 終日は、【皮のエプロンドレス】を着て黙々とカレーを作っていたのだが、佳宵からしてみるとそれがかえって不安なのか、ちらちらと終日の様子を気にしている。

「ここまでバッチリ! ──そろそろ、カレーをまろやかにするリンゴでも摩るかな……」

 終日がにまにまと【悪企み】をしながら摩りおろそうとしているのは、【毒リンゴ】だ。
 見た目はごく普通の、どこにでもあるようなリンゴと何ら違わない。

「終日……」

「んんん?」

 終日が横を向くと、佳宵が満面の笑みを浮かべてこちらを見つめていた。
 
「怒らないから、まずはそのカレーに入れようとしている物を引っ込めなさい」

「え」

「……引っ込めなさい」

 次の瞬間、佳宵の表情を見た終日の顔が凍り付いたのは、言うまでもない。
 かつて佳宵は一度だけこの【毒リンゴ】によって痺れさせられたことがあり、見た目ですぐに気づいたのだ。
 ──無論、終日はお咎めなしというよけにはいかず、今回は佳宵によってきついお灸を据えられることになってしまったのである。 ウォークスが【フードセンス】の後に【生命感知】を使い、食べられそうな虫をたくさん見つけてきてくれた。
 虫にはたんぱく質やミネラルが多く含まれており、加熱すれば雑菌などの心配もなくなる。
 それを、たらふく終日に食べてもらおうというのだ。

「うわーん! 虫なんてやだー! さっきのは理由があったんだよー! ちゃんと【【昼】解毒薬の調合】の準備と【錬成【ポーション】】も用意してあるんだよー!」

 何を言っても、佳宵の笑みは崩れなかった。

「ぅぅ……、しょうがない、【【昼】キャンディレイン】で口直ししながら食べよう──」

 覚悟を決めたのは、終日はまさに「苦虫」を噛み潰したような顔で、調理された虫を口の中へと放り込む。
 子供たちはというと、カレー以外にも肉や魚、そして虫といった風変わりな食材を大いに食べすっかり満たされていた。

「ぎゃあああああああああ……ま、ずっっっっ」

 終日の雄叫びは、しばらく森の中に響き渡っていた。

First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last