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舞い散る花のように――

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第1章 見えてくるもの

「さて……」
 レンガを敷き詰めた、小さな路地で九鬼 苺炎はあたりを見回す。
 静かなレンガ造りの街並み。普通の街並みではあったものの、苺炎ははっきりと【戦場の匂い】を感じていた。
 そのただならぬ雰囲気はじわりとだがこちらへと近づいてきている。 
 苺炎はゆっくりと路地を出て開けた道へと出る。
 そこには2階建ての建物をはじめとした画期的な商店街が広がる。ある商人たちはテントを広げ、いたるところで安いとか、おいしいとか売り文句を挙げている。

「おや、今日はやけに見慣れない人をみかけるもんだねえ」
 テントで野菜を広げる、小さな老婆はいぶかしげに苺炎の顔を見上げる。
 ”やけに”というのはおそらくほかの特異者のことだろう。
「おばあちゃん、少しお話大丈夫?」
「ええ。もちろん」
 暇そうだった老婆は嬉しそうに答える。苺炎はさっそくいくつか聞きたいことを投げかけてみる。
 今まで、戦争が起きたことはあるのか。そのような兆候はあったのか。しかし……

「大丈夫よ。この街に戦争なんてあり得ない。こんな小さな街なにもありゃしませんもの」
「そう……」
 平和ボケ――。
 ふと苺炎の頭の中でそんな単語が思い浮かぶ。
 この老婆だけではない、どの通行人に声をかけても同じような反応が返ってくる。

「本気でこの街の人たちは何も知らないのね……」
 苺炎は【魔法の箒】で空へ浮かぶと、門のほうを見た。
 そもそも、デモニスたちの狙いは……と考えていた時だった、ふと地上で小さな少女を見つける。
 たしか、リリィや他の特異者が度々話していたエリカだった。

   §

 同じ頃、芥川 塵は、噂のエリカを探し、歩き回っていた。
 その上でループする街について思案を巡らせていた。
 街の人々はループしているという感覚すら無いと言うのに、何故エリカのみ記憶を持ち越しているのか。
「街の人々が滅亡したままループを脱出すればなんて事になれば、目も当てられない……」
 思わず塵はぼそりとつぶやく。
 調べ物をした街の図書館である事に気づいたのだが、それがネガティブな考えにばかり塵を引き込んでいく。
 出来る限りポジティブな考えも……そう思い、顔を上げたときだった、ようやくエリカを見つけた。
 そこには、苺炎の姿もある。

「やあ、少し話を聞かせてもらえないか?」
「うん! いいよ!」
 よほどこの状況に嬉しいのか、エリカは嬉しそうに答える。
 苺炎も興味があると会話に耳を傾けることにする。

「何回も繰り返していると言って居たが、街の人々が滅亡しなかったことは無いのか?」
「ううん」
 否定。いつも、街は滅びる結末を迎える。
「では、君はこの街の名前を知っているのか?」
「うん。――だよ」
 まるでザザッとノイズが乗った、古ぼけた録音のような声だった。
 苺炎は思わず少女に「ごめん、もう一回教えてくれる?」と聞き返すも、同じ結果だった。

「どうなってるの……?」
「さっき、図書館でこの街についての記述を調べていたのだが……」
 塵は眉を顰め、小さくつぶやいた。
「どこにも街についての情報が無かった……いや、あったのかもしれないが、そもそもこの街の名前がどこにもない」
 塵は街について調べるため、図書館の至る所を調べた。だが、誰に聞いても街の名前は聞こえない。ましてや街の名前を書いているであろう場所は、白く塗りつぶされているのだ。(街の人にはそれが読めているようではあったが)
 苺炎と塵は深刻そうな表情で見合う。
 何もかもが不可思議、理解不能であるが、塵の中でひとつの答えが思い浮かぶ。
「……本当にここは実在する街なのか?」
 苺炎は肯定も否定も出来なかった。
 とはいえ、今できることはこのループに変化を起こしてみることくらいだ。

「ねえ、エリカちゃん。いつもデモニス達はどこをおそってくるの?」
 デモニス達が襲いかかるのは、門、そして大樹だった。
 しかも、デモニス達は気がつかぬうちに、兵士達を抜け出し大樹へとたどり着くと言う。
 苺炎はエリカの話と【悪企み】を使い、できる限りの予測を立てる。

「……門の大きさが鬼門ね……」
 苺炎はぽつりとつぶやくと、街を見渡す。
 エリカの話を元にデモニス達が大樹に襲ってくるルートを考えるのだった。

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