三千界のアバター

嘆きの果て

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嘆きの果て
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【プロローグ】


 既に陽は沈み、街には夜の静けさが訪れている。

 ――――第一層、職人街の一角にある武器屋。店を出る客に白髪頭の店主が見送りの言葉をかける。そろそろ閉店時間という事もあってか、店主は疲れた顔であくびをかみ殺している。

 ――――第二層、共同墓地。人の姿はなく、それは件のウィザードの妻と娘の墓の前も同様だ。

 ――――第二層、かつてウィザード共に研究に励んでいた友人宅では、食事を終えた友人が後片付けをしている。

 ――――暴走汽人が占拠するスラム街の廃工場。
 汚れつつあるメイド服に身を包んだ汽人達が廃工場の周囲を徘徊し、その手には工具や包丁といった、武器ではないが凶器になり得る物を携えている。
 決まったペースで歩く彼女達は見回り役であり、廃工場内にはさらなる暴走メイド汽人がひしめいているのだろう。

 ――――ウィザードの自室兼研究室。まるで家の中を警戒するように獅子の如き黒い魔物が歩き回っている。一歩ごとに大きく床が軋む事からも、魔物に組み込まれた外骨格の重量と堅牢さが伺えるだろう。
 赤く光る双眸が夜の闇に浮かび、魔物は油断なく周囲に視線を走らせていた。

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