三千界のアバター

メック開発主任令嬢誘拐事件

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メック開発主任令嬢誘拐事件
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1話

 ゲン博士は大きく息を吐いた。
 娘が誘拐され、引き換えとして極秘裏に行われているメック開発への協力を打診してきたのだ。
「いくんですか、博士」
 連合所属のトルーパー、ユーリ・ラディウスは博士に向けて口にした。
「ああ」
 博士は口にする。
「娘の命には代えられん。すまないな、ユーリ君」
「ま、そうだよねー」
 紫月 幸人は軽い口調で口にする。
「とりあえず博士、これ、普通の丈夫なアタッシュケースなので、資料とかを入れるのに使ってください」
 そして、博士にアタッシュケースを渡す。博士は少し疑問を感じつつも頷き、いくつかの資料を渡されたアタッシュケースに入れる。
「娘さんの救出作戦も進んでおります。どうか安心してください」
 ロイド・ベンサムは荷物をまとめている博士に向かい、口にする。
「娘さんの無事が確認でき次第、助けに行くでヤンス!」
 川獺 信三郎はぐっと拳を握り締めて言う。
「ありがとう。だが、ミサキの身の安全を最優先にしていただきたい」
 博士はそのように口にすると、
「もちろんだよ。でも、ボクたちは博士のことも見捨てるつもりはない」
 ローレンス・ゴドウィンが前に出て口にした。
「その通りです。せっかく休戦し、平和も訪れつつあるのです。このような卑劣な行為、私たちは決して屈しません」
 ロイドは言う。
「必ず、ふたりとも助けます。申し訳ないが、少しのあいだ待っていてください」
 続けて口にした言葉に、博士は笑みを浮かべ、そして頷く。
「気をつけてな、博士」
「ああ」
 そして、最後にユーリと頷きあって、用意してあった車両に彼は乗り込む。
 そのまま、彼は南へ向かっていった。
「……よし、順調順調」
 幸人が【ヘッドセット】を耳にしてなにかを口にする。
「……幸人さん、あのアタッシュケースはなんなんでヤンス?」
 信三郎が聞くが、
「それはまあ、のちのお楽しみってことで」
 幸人は軽く舌を出して口にした。信三郎が怪訝な顔をする。
「……いいですか、時が来ればすぐ出撃します。整備は任せましたよ」
 ロイドがローレンスに向かって言う。
「わかってるよ。さて、忙しくなりそうだね」
 ローレンスは軽く肩をすくめ、ボサボサの頭を手で整えた。
 そして、ロイドたちは【スカパ・フロー】に乗り込む。幸人、そして、ユーリも彼らと一緒に乗り込んできた。
「ローレンスさん、俺の機体まで見てもらってすまない」
 ユーリが言う。「いいよいいよ」とローレンスは口にし、それぞれの機体の整備にあたる。
「ロイちーん、他の連中から通信だ。みんな、いつでも出撃可能だよ」
 幸人がロイドに言う。ロイドは頷いて、
「これ以上、休戦反対派の暗躍は許されません」
 そう口にし、軽く息を吸う。
「機関始動、進路、ヴィッカーズ南方面、博士の位置を常に把握し、目を離さないように!」
 そして、吐く息と共に、大きな声を上げる。
「了解でヤンス!」
 信三郎が大きく返事をし、【スカパ・フロー】のその他スタッフも声を上げた。幸人も指を立てる。
 そして、【スカパ・フロー】は動き出す。
 博士の娘も、そして、博士も。
 敵に渡したりはしない。その強い意志を持って、船は動き出した。

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