三千界のアバター

ワンダーランド

マッチョハッター

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マッチョハッター
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【一 多分クールでファヴュラスな強敵達】

 一体いつから彼は、マッチョハッターと呼ばれるようになったのか。
 実をいうと、当の本人も覚えていない。少なくとも、マッチョになる前はそのように呼ばれたことは無かった筈だから、彼が筋肉モリモリマッチョマンになってからの話だろう。
 そんなマッチョハッターが、今回は特異者達と共に宿敵アリアスを攻略する。
 弾ける筋肉。
 飛び散る汗。
 これが肉体派アクション特異者達の神髄だ。
 車にひかれても、飛行機から落ちてもビクともしない。
 鉄骨特異者達のタフネス設計。
 全員まとめてかかって来い。これぞ豪快。スーパーバトルアクション。
 戦う帽子屋は、格好良い。


     * * *


 不思議の国のアリアス城の広いリビング内で、訳も分からずベネトン君と命名された柊 恭也は、傍らでやけに高級そうなスーツ一式を着込んでいるブラクックことブラック・ライトニングに不安げな視線を向けた。
「なぁ。俺の役回り、ちょっと想定してたのと違うみたいなんだが……お前さん、どんな感じだ?」
「一番気に入っているのは、値段だ」
 答えながら、ブラクックは何故かリビング内に展示してある大型セダンに乗り込んだ。
 するとそこへ、アリアスから命じられたごみ捨てにと走り回っていた池田 蘭の小さな体躯が姿を現した。ブラクックのセダンに便乗しようという思惑らしい。
 実をいうと、蘭はマッ茶を味見するという自身の目的を既に達成してしまっていた。
 アリアスは正直なところマッ茶なんてどうでも良いと思っていたらしく、蘭の求めに応じて、幾らでも試食するが良いとすんなり許可を出してくれていたのだ。
 やることやって暇になった蘭は、何故かマリーなどという妙なコードネームを付与され、アリアスの為に働く破目となっていた。
「女装の似合うアリアスさんの、お手伝いです……乗せていって、下さいー……」
 もう既に車が発進したと思ったのか、蘭は少しばかり慌てた様子だったが、ブラクックは不敵な笑みを浮かべてひと言。
「とんでもねぇ。待ってたんだ」
 そのままいきなりアクセルを踏み込み、蘭を跳ね上げてボンネットに乗せたまま、どこかへと走り去っていってしまった。
 その様子を、ルキナ・クレマティスは腕を組んで傲岸不遜な眼差しで見つめていた。
「マッ茶を取り戻しに来るのですね……良いでしょう。狩りノ時間デス」
 いいながらルキナは、壁に掛けてあった金属製の大きなマスクを取って自身の顔を覆い、三点式のレーザー照準の精度を確かめ、ツインリストブレードやらショルダーフォトンブラスターやらの装備を次々と身に着け始めた。
 いずれもルキナがブラックスミスで創造したものに、アリアスが特殊な加工法を施して改造したものばかりである。。
 マスク越しに見えるのは、温度変化を分析するサーモグラフィーのような光景だ。ルキナは同じくアリアスが用意したボイスチェンジャーを喉元に巻き付け、ファンタジアを発動。
 するとルキナの姿は周囲に同化したかのように、消えて見えなくなった。
 マッチョハッター迎撃態勢は、どうやらこれで整ったようだ。

 一方、恭也は恭也で中庭にずらりと並んで待機しているドナルド兵の一個中隊を率いて、アリアス城内と周辺区域の警備態勢を構築した。
(まるで案山子だな。マッチョハッターが見たら笑うだろう……いや、会ったことはないんだが)
 その時、不意に背後からベ猫が接近してきた。
 気配を感じて恭也が振り向いた瞬間、ベ猫は半透明の幽体状に変化し、ベネトン君こと恭也と融合してしまった。
 ベ猫は実は、見た目こそ猫耳のいかついおっさんだが、実体を持っていなかったのだ。そこでベ猫は本来の実力を発揮出来るようにということで、恭也との融合を選択したらしい。
 この瞬間、恭也とベ猫は記憶や経験を共有すると同時に、性格とか人格とか、ちょっと色々ややこしいことになった。
 尤も、そういうことはあまり気にしない恭也だからこそ、ベ猫は融合相手として選んだのだろうが。
「さぁ来やがれ大佐。お前をぶち殺せといわれたら、タダでも喜んでやるぜ」
 この時、何故か恭也の鼻の下にはちょび髭が生えていた。
 というかそもそも、マッチョハッターは大佐でも何でもないのだが、何故かそんな風に呼んでしまっている自分が居た。
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