三千界のアバター

憎しみを抱いて 完結編

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憎しみを抱いて 完結編
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 水守村の村長は、空に浮かぶ月を見上げ、数日前に尋ねて来た特異者達の事を思い出していた。
 今は無き“火ノ出村”への行き方を訪ねて来た彼らの、決して譲らぬ強い意思に、村長は危険だからと止める事が出来なかった。
 
「おぬしらにそっくりじゃ……。静真、月子」
 
 最期まで村を思い、村人を守ろうとした若き友人達を思い、村長は悲し気にほほ笑む。
 宮司や村人達の言う通り忌払ノ神を信仰し、余計な事をしなければ、二人は命を落とす事はなかったかもしれない。
 たとえそれが偽りの信仰心だったとしても。
 しかし、彼らは自らの意思を信じ、最期まで正しくあろうとした。

「おぬしらのその正しさが、彼らをこの村に呼び寄せたのかもしれぬな……」

 二年前から続く、憎しみの連鎖を断ち切るために。
 特異者達の無事を願う村長を、月の光だけが照らしていた―――。

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