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飼育小屋のグリフォン騒動!

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飼育小屋のグリフォン騒動!
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コルヌ救出劇が行われている同時刻、1機のメタルキャバルリィが薄れてきた煙幕を突き抜けて出てくる。
「くそっ、なんなんだよ! ……ん?」
 悪態をついたパイロットが前方を見てあるものに気づく。
「お待ちしておりました。さぁ、皆さん戦闘です! すぐに船の前方に簡易防壁を張って船を守りましょう。あとはマジックトーピドーで攻撃もできればお願いしますね」
 砂月がアシスタントコマンダーに指示をする。
「秋良、準備ができたら手伝いますね。それまで頑張ってください」
 天音がそう言って船から砂月を降ろす。
 降りた砂月はバリアアップデートで機体と黒撃砲と僚機の強度を高めて空を見上げる。
「まずは邪魔なあれを片付けるとしますか。これを落とせば他の皆さんも動きやすくなるでしょうからね」
 そう言う横を松永がすり抜けていく。
「そちらはお任せ致しますわ。私は敵の破壊と、グリフォンを奪還に向かいますわ」
 前方に死の波動を放ちながらムスタングRVerとペガサスリッターを引き連れ、ミラージュシフトしながら接近する。
「く、くるんじゃねぇぇ!!!!!」
 怯えたのかそう叫びながら散弾を撃ってくるメタルキャバルリィ。それをものともせず、分身するような動きで回避しながら松永は突進していく。
 それを阻止するため敵の僚機スカイシップが松永に狙いを定める。
「させませんよ!」
 砂月がすかさず黒撃砲のエイムショットで狙い撃ちをする。
「援護します! さて、狙いどころはどこでしょうね……」
 それに合わせ天音はもう1機を狙い小口径連装高角魔力砲での砲撃をする。
 スカイシップはまず、二人を退けるべきだと判断したのか反転し、追尾弾を打ち始める。
「効きません!」
 砂月はすかさず小隊陣形ディフェンスシフトと強化した武器でのアームディフェンスで対応。
「そのくらいじゃ落ちませんよ、全速回避です!!!」
 天音も直撃を避けるため回避を試みる。
 松永はその戦闘を振り返ることなく、ビューティフルドリーマーを発動させる。
「くっ……、なんだ……すごい、ねむ、け、が……」
 フラフラとし始めるメタルキャバルリィ。
「返していただきますわよ!」
 間合いを完全に詰めた松永はヘヴィスラッシュを左腕の関節に叩き込み、重い一撃で敵機の腕を両断すると共に衝撃でグリフォンを起こして解放する。グリフォンはまだ眠たいのかふらふらと近くの地面に着地しておとなしくしている。
「くっそっ!!」
 同じく衝撃で正気に戻ったのか片腕のメタルキャバルリィがグリフォンなど見向きもせず踵を返して逃げ出した。
「お待ちなさいな!!」 
 それを松永が追っていく。
「どうやら、グリフォンの解放はできたみたいですね」
 それを横目に見た砂月が安堵する。その直後、通信宝珠を使った連絡が天音から入る。
「秋良、弱点察知完了しました。あの小さなプロペラのようなもの、狙えますか?」
 それをスロートワイヤレスで聞いて、砂月は返事をする。
「わかりました、あそこですね」
 すぐさま狙いを定めて砲撃する。同じように天音も魔力充填で威力を上げて撃ちぬく。
「溜めて溜めて……撃つ!」
 大きな音がして2機の僚機が墜落したのだった。



 同じ時刻、それより少し離れたところでも煙から這い出してきたメタルキャバルリィが居た。
「くっそ、何が研究用にグリフォン持ってかえりゃミス帳消し、だよ! 状況悪化じゃねぇか!」
 言い出しっぺの先輩にひっそりと悪態をつく。
「研究、とは聞いたけど……正式な研究ではなさそうね。私の歌で邪道が罷り通る事がない事を知りなさい!」
 メタルキャバルリィの進行方向にジャンヌが姿を現した。
「チッ!! ここにも面倒な奴が……!」
 再度薄くなった煙に姿を隠さんと踵を返すメタルキャバルリィ。しかし、足を止める。
「逃げ場なんてないわよ」
 すでにジャンヌがトリカゴでグリフォンリッターとファントムと共に包囲をしていた。
「ハッ、忘れてねぇか? 俺にだって僚機があんだよ!」
 有無言わず、砲撃を撃ち出す僚機にすかさずユキノがディフェンスウェーブで波涛に沈める。
「ウチの歌姫の邪魔はさせません。それと、どうですか? 腐蝕の凶刃入りの水弾の味は」 
 同時に藍銅のオカリナの弾幕で支援砲火をし、エアシップだけではなくジャンヌの周りにもばらまく。
 僚機はさらに弾幕の量を増やすが、ユキノは追加バルジ壱式を重ねた豪雪の装甲で耐えつつ、更に敵艦に弾幕を降らせる。
「水弾に隠れるようにブラックアウトを織り交ぜてますよ? 下手すると視界を見失ってしまいますよ」
 敵を翻弄するように水弾で性能を削りとり、無力化を仕掛けていく。
 またジャンヌも相対するメタルキャバルリィに前衛兼撹乱役のグリフォンリッターで仕掛け、中衛のファントムは死角に回り攻撃して消耗をさせていく。そして自分はカドゥケウスに乗りギガントマキアでの捕獲してる腕の関節を狙っていく。
「くそっ、何か打開策は……」
 防御に徹しながらメタルキャバルリィも突破口を探しているようだった。
 ジャンヌは狙いを付ける間も敵の攻撃にあわせて静かなる輪舞をし、踊りに合わせた静かな歌を奏で、捕まったグリフォンを落ち着かせるように気を遣う。
(前衛のグリフォンリッターも戦ってくれている分、安心すると良いわね。……さて、そろそろかしら?)
 敵がそろそろ痺れを切らし始めたころ、、自身に向け包囲の隙間をわざと作る。但し射線を通さずに、強引な突破を誘う感じで。
「!! くらぇぇぇぇぇ!!!!!」
 それを好機と取ったのか、メタルキャバルリィが勢いよく向かってくる。
 ジャンヌは敵の突出に合わせて歌の調子を変化させ、鋭いビートでシャウトアウトする。衝撃で怯んだ所を、動力部へギガントマキアのキャバルリィストライクを放とうとする。
「そう簡単にはいかすかよぉ!!」
 すかさずグリフォンをつかんでいる腕を盾にするメタルキャバルリィ。
「っ!!」
 ジャンヌは咄嗟に方向転換する。狙いは腕から何もない空になり無駄撃ちになる。
「残念だったな」
 優越感の混じった相手の声が聞こえる。
「ジャンヌさん!!」
 それに気づいたユキノも方向転換するが、どう考えても間に合わない。
 そしてメタルキャバルリィが反撃しようとした瞬間――
「なんだこりゃ!? まぶしっ!?」
 眩い光と轟音が広がる。
「何!?」
 ジャンヌも予定外なのか同じように叫ぶ。
「心配することはない、ただの栄光の小瓶だ」
 収まりゆく光に声の主を探したジャンヌは声を上げる。
「あなた! マカラシャさん!?」
 視線の先には、いつ開いたのかメタルキャバルリィのコクピットでマカラシャがパイロットにライフルを突き付けていた。
 相手の男は驚きで声も出ないらしい。
「目くらまししている間に、コクピットのハッチの配線部分をタスクガントレットとブレードで重点的に狙い、破壊させてもらったよ」
 マカラシャはジャンヌ達にもわかるように説明口調で話してくれる。そして、さて……、と前置きを置いて 
「……さっさと人質置いて去ね。でなきゃ殺す」
 重たいドスの聞いた声でそうパイロットに告げた。すぐにパイロットはグリフォンをつかんでいる腕を開く。
「一体どこから……」
 驚いたジャンヌの声に、マカラシャは答える。
「すまない、ジャンヌ殿。ここに来るまでは機体に触手で張り付かせてもらっていた。戦闘中だとさすがに振り落とされるだろうから、敵の注意が一点に向くまで身を潜めさせてもらってたんだ。もとより俺は手加減ができんから、敢えて生身で動く予定だったし」
「そんなの一言、言っておいてくれたら無茶な運転しなかったのに……」
 言外にここまで張り付いてるのも大変だったでしょ? とジャンヌは言う。
「味方にも知られずにいれば奇襲の成功確率は上がる筈だとおもってな」
 マカラシャはそう答える。
「何はともあれ、パイロットを抑えられたら、こっちの任務は完了、です……」
 ホッとした様子のユキノがそう言いかけたとき少し離れたところから声が飛んでくる。
「お~っと、やっと見つけた。家出した下級兵士の役立たたずちゃ~ん。そんなところ襲撃しちゃって~どういうつもりだぁ……?聞いてないぞぉ僕たち。数数の作戦失敗と~、勝手な襲撃~、そしてラディアの特異者釣っちゃって~。もう戦犯だよ。戦犯」
 演説の様に響き渡る声、その主はサジーだった。少し高い岩場から戦場に響き渡るように声を発している。
「だからさ……。この場所に特別ゲストを用意しました。は~い、みんなシステム起動! 処刑隊の皆さんです! 君たちの為に特別に用意しました! 俺達のグランディレクタ軍もき~~~っとお前たちのこと狙ってくれるよ」
 それと同時にユキノがほぼ無効化してしまったスカイシップ2機が大きな音を立てて墜落する。
 サジーの合図でファイアヘッズが僚機とエイムショットで、撃ち落としたのだ。
「!? お前、俺達の味方じゃねぇのかよ!?」
 コルヌを捕まえていたパイロットがサジーに向かって声を荒げる。
「お前たちはもう、味方なんていないんだよ。獣同然……。本当の獣ならましなのにね?……怒った? 怒った? おっと、危ない危ない。口を閉め忘れてしまったかな? ぬるい攻撃はプロテクションでしっかり守ってあるから問題ないよ」
 サジーは尚も楽しそうに語り掛ける。
「……味方なのか……?」
 左腕の無いメタルキャバルリィと対峙しているブラックが首を傾げる。
「……どう、だろうな。俺達のグランディレクタ軍と言っていたし、味方でもないのかも?」
 隣に居る天峰が言う。
「さ~て、そろそろ時間かな。お前らやっちまってちょうだい。それと、ごめんね、民間人さん。これは俺達の問題だからさぁ、どっかいってもらってい~い?」
 サジーの言葉にアッシュムーンとファイアヘッズが無差別攻撃を開始しする。そしてコルヌを一睨みして脅しをかけ、ブラックと天峰が相手をしている片腕のメタルキャバルリィにすごいスピードで迫って行く。
「さて、壊されたメタルキャヴァルリィか……いろいろ使い道はあるわな。ちょうどいい、見せしめに頭も腕も足も全部マシンガンで撃っちまえ。穴だらけにして、もう1匹か2匹の子犬ちゃんのしつけに使うのさ」
 そんな事を言いながら迫ってくるサジーを見て、パイロットは一目散に逃げだす。
「ぅわぁぁぁ、くるんじゃねぇぇ!!」
「な!? ちょ、待て!!」
 天峰が後を追う。
「おっと、逃げちゃったかな。いいぞ~逃げてくれないと楽しみがいもないからねん」
 同じようにサジーも方向転換する。
「お前の相手は俺がしてやるよ。自称グランディレタ軍とやら」
 ブラックは挑発するかの様にメックマシンガンと僚機の射撃をサジーに向けて放つ。
「ハッ、おもしれぇ。おい! お前ら!! 俺の周りで陣形を組めぇ、シュトゥルムアタックとディフェンスシフトだ。アッシュムーンは上から掃射してやれ、森ごとな。僚機たちも手加減するな、全部口を封じて差し上げろ!」
 サジーは追うのを後回しにしたのか指示を飛ばしてブラックと向かい合う。
「そうはさせないわ」
 アッシュムーンとコミュニの前にジャンヌとユキノが躍り出て威嚇発砲する。
「こいつら倒したらすぐいくから待っててぇ~」
 とコミュニが返事をする。
「ちょっとピンチなんじゃないのか? さぁ、お前の機体をズタズタにしてやろう。ついでに生き証人になってもらうとするかな」
 ブラックはトリカゴで包囲しつつ、背後を陣取ってビームソードを構える。
「さぁ、どうだろうねぇ? 邪魔するならコクピットに乗ったまま。でっかい穴を作ってあげるからね。そのまま、大人しくしてなよ~?」
 ムスペル小隊の特大剣を構えて振り向くサジー。
 二人はどちらからともなく剣を交えに前に進むのだった。



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