「諸君、この度は俺の私用のために集まってもらってすまない。」
ミウシが自宅の庭に集まった人々に頭を下げる。
「頭を上げてください、ミウシさんの助けになればと思っただけですので」
にこやかに
エレナ・ヴァレンタインがミウシに言葉をかける。
「あぁ、エレナの言うと通りだ。気にする必要はない」
隣の
ジョン・ハイゼルが続けて言う。
「瓦版で大体の事情は把握しました。ミウシさんのご結婚が上手くいくよう、巨大火ネズミの討伐に協力させていただきます」
邑垣 舞花が進み出て上品に微笑む。
「別ノ世界デオ仕事中ノノーン様ノ代役デ、今回ハ私ガ舞花様ノサポートヲ務メサセテイタダキマス」
DDM- 23がお辞儀をする。
「よろしくお願いしますね、DDM-23さん。皆を守ってあげてくださいね」
邑垣が言い、DDM-23がそれに答える。
「了解シマシタ、舞花様。皆様ノ防御ヲ担当シマス」
あたりを見渡していた
ウォークス・マーグヌムが
「ふむ、今回は少人数だからな、最低限火ネズミの衣の入手だけは成功させなくては……!」
と意気込み、それを見たミウシも気合を入れなおした。
「あぁ、命に代えても必ず入手してみせる!」
が、ウォークスがすぐさま
「新郎が大怪我したら結婚式が台無しになってしまう、それは駄目だ!」
と否定をする。
「しかし、俺が戦わねばカグヤと胸を張って結婚できぬ」
絶対に戦闘に参加したいようでミウシが抗議する。
「まぁ、いいんじゃねぇか?俺たちがミウシのバックアップもしてやればよ?」
ジョンが言う。
「私もDDM- 23さんもアシストさせていただきますので、さして問題はないかと思います」
邑垣が言い、DDM- 23も頷く。
「そういうことならば、大丈夫だろう。俺も子火ネズミを倒して巨大火ネズミの討伐をする人を守ろう。こっちは任せてくれ」
ウォークスが言った。
「すまない、手間をかけるが皆よろしく頼む。それと染料のことなのだが誰が行ってくれるのだろうか?」
ミウシが首を傾げながら聞く。
「それはわらわ達に任せて! その日の彼女が輝けるように、ケチの付け所のない完璧な白無垢を作ってみせるよ」
鉈を手に
九鬼 苺炎が宣言する。
「はい! ボク達に任せて下さい! このバーバ・ヤーガの小屋に詰めてたくさん持って帰ってきます」
ゴルデン マリーが小屋を示しながら言った。
それを聞いてた
ティアラ・ティンクルが傍まで来て、ずいっとメモを九鬼の前に差し出す。
「染料集めは貴方に任せるぜ?これは妾が行商人の交渉術で集めた情報だ。よかったら使ってやってくれ」
「ありがとう。喜んで使わせてもらうね!」
九鬼はメモを受け取ってティアラにお礼を言った。
「これなら心配いらなそうだな。時間いっぱい染料を集めてくれ。竹林はその道の先にある」
ミウシが庭から見える道を示しながら九鬼に言う。
「うん! 行ってくるね! 行こう、マリー」
九鬼が歩き出す。
「苺炎にゃん、あまり遠くへ行って、迷子にならないようにして下さい? あと、入り組んだ場所で倒れられても困りますからね」
ゴルデンが九鬼に注意しながら後ろをついていく。
「お気をつけてくださいね」
エレナが手を振って見送る。遠くに見える九鬼も気づいたようで手を振って竹林へと消えていったのだった。