■アルテラで夏祭り
アルテラ、【湖の街】ラクス。
「……お祭り、か……賑やかだ……」
ルナ・セルディアは蝋燭の優しい光が満ちた通りをのんびりと歩いていた。
「やっと一段落ついたし……ゆっくりするのも……あり、なのかな……とはいえ……唄って踊る柄でもないし……のんびりお店でも回ったりでも……するかな……」
ほぅと息を吐くルナは祭りに参加する客として見て楽しむ事にした。ルナにはそれで十分癒しになるから。
まったりゆったりと歩くルナは途中で地元民に訊ねて知った美味しい店のオススメを買ってから
「……折角の祭り、ラクスを、一望出来る場所で……夜景を楽しみつつ、月見としゃれ込もうか」
のんびりとした足取りでルナはラクスの街を見渡せる場所を探して歩き回り始めた。
その道程で御馳走並ぶ広場に立ち寄り舞い唄う空を飛ぶのが好きな者に出会い唄声と舞を見て楽しい気持ちで目的の場所に行った。
街が一望出来る場所。
「……空も街も、光に溢れて綺麗だな」
ルナは到着するなり星空を輝き飛ぶランタンに蝋燭の光に溢れる眼下をぼやぁと眺め始めた。
「……これでも……食べながら」
ルナはもそもそと店で買った食べ物を取り出して頬張った。
食べて夜景を眺めている内に
「……(今日まで色々あったな……メリッサさん、もとい魔導騎士を追いかけてみて長かったような、短かったような)」
ルナはこれまでの足跡を振り返る。特に白の魔導騎士たるメリッサいやメリシアーナの事を。
「……(公開魔導騎士登用試験を受けて……合格して、白の魔導騎士になった……だけど、それは……まだ、メリッサさんの背中が見えただけに過ぎないんだよなぁ)」
公開魔導騎士登用試験の事をぼんやりと思い返す。そしてまだまだ先が長い事も知る。
それでも今だけは
「……素敵な唄がここまで聞こえてくる」
この平和で癒しの空気を味わう。この先、やって来るだろう戦いなど大変な事に頑張れるように。
しばらくぼんやりと祭りを楽しんでから
「来年は……誰かと来よう……それまで守らないと、ね……」
ルナはラクスの美しい街をしっかりと目に焼き付けてから背を向けて明日への一歩を踏み出した。