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暴れ狂う獅子・エクゥ

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暴れ狂う獅子・エクゥ
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第1章 エクゥ専門家

「いったい何のご用ですか?」
「ここ……牧場のエクゥもシシエクゥに連れられて暴れるって聞いたから。暴れる時の事を詳しく教えて欲しいです」
 エクゥを30頭は飼っているというエクゥ牧場。その客室で丸形テーブルを囲むよう、ロッカ・ブランシェは椅子に腰を掛けている。
 その隣には同じように話を聞きに来た、アレンダー・アルモードも座っていた。
「……」
「突然ごめんなさい……。でも、あなたを責めに来たわけではないの。そんなに緊張しないで、リラックスリラックス」
「ああ、この村を助けるためにも情報が欲しいんだよ。たとえばここのエクゥの生態とかね」
 牧場主は一瞬困惑の表情を浮かべるが、”行商人の交渉術”を使ったロッカとアレンダーの言葉に2人が村を暴れるエクゥに対して苦情を言いに来たわけでは無いことを知ると語り始めた。

「生態、少なくともここのエクゥは空が明るい内は走り回り、夜は眠っていますね。ただ……シシエクゥが南から現れると目の色を変えて飛び回ります」
「そのさ、暴れるときの状況をもっと教えてもらえるかな。大雑把でもいいからさ」
「あまり私もまじかで見てるわけではないのですが、温厚なエクゥとはまるで正反対のように人間を見るなり襲い掛かってきますね。まるで動物を狩る獣のように……」
 それを逐一漏らさないようにロッカは”聞き耳”を立てながら、商人のペンでメモをとっていく。
「ああ、そうだ。なぜだか分からないのですが、暴れたエクゥは足下が見えません。また、臑のあたりを狙えばしばらくは動けなくなるはずですよ……普通のエクゥには効果はないのですが」
「じゃあ、ロープを足下に張れば動けなく出来るかも知れないって事か」
 ようやく聞けた弱点にアレンダーは頭の中で作戦を練り始める。
 足元にロープを張るという作戦は、エクゥをおとなしくさせるにはうってつけのようだった。
「そういえば、シシエクゥはこれまで他の場所で出現したことはありますか?」
 ロッカの投げかける質問に牧場主は後ろ髪をかいた。
「よわったなあ……私はエクゥしか分からないからなあ」
 どうやら、牧場主はエクゥについて詳しいのであってシシエクゥについてはさっぱりのようだった。
 その時だった、突然客室のドアが大きな音を立てて開かれた。

「シシエクゥの事なら私にお任せ! エクゥ研究家、羽衣 結(はごろも ゆい)参上!!」
 現れたのはちびっ子少女という言葉がまさに合う、白衣を纏った女の子だった。
 牧場主はああと感嘆の声をあげると、現れた少女を紹介した。
「この子は――この人は、シシエクゥについて研究をしてる結さん。この方ならシシエクゥについて詳しいですよ」
「ふっふー、シシエクゥのことならこの結様になんでもお任せだよっ!」
 まな板とも言える胸を大きく張る結。その後ろから三雲 封真、と邪神 水希が入ってきた。
 封真は部屋に入るとすかさず、ロッカの隣へと腰を下ろした。
「で、シシエクゥの出現場所だっけ、知りたい? ふふ、教えてあげな――」
「シシエクゥはこの村の付近にしか存在しません。現状で確認されてるのは1匹だけです」
 目を瞑りながら説明し始める封真を、結はじろりと涙目で睨み付けた。
 それは結が、エクゥのためにマルムの果実を持ってきてくれた封真に、そのお礼にと教えたことだった。
「シシエクゥはエクゥのボスのような存在。といっても、暴れ馬ではなく気品のある馬だったようです。暴れるなんて言うのはあり得ないそうです」
「そうそうっ、シシエクゥはひっそりと過ごす、レアな存在だったんだよ! なのに、あんなに目立つように暴れるなんて」
 結は少し声を落としながら言う。おそらく、この少女はシシエクゥの事が好きなのだろう。

「おそらくシシエクゥが暴れる原因が、人間を襲うような原因があるんじゃないかなあ」
 その水希の言葉に、ロッカやアレンダーは悩み始める。
 水希は先ほどまで聞き回った情報を思い出す。 
 ここまで分かったことは、シシエクゥが人間しか襲わないこと。そして、怒り狂って暴れてることくらいだった。
 つまり、人間への憾み、悪意がある可能性が高い。
(でも、話を聞いた限りみんなエクゥを大事にしてるし、村の中に原因があるとも思えないんだけどなあ……)

「そういえば、この近くでは不審者が出てるらしいですよ?」
 封真は小さく笑みを浮かべながら言った。
「え、不審者……?」
「あ、それなら、私も聞いたよー。なんでも真夜中にたき火があがってるのを見たって人がいるんだって?」
 村人から聞き回っていた、水希がすかさず答える。
「そういえば、南って言ってたっけ……あれ?」
 言った後に水希は思わず目を丸くして「南?」とつぶやきながら、何かを思い出そうとしていた。
 それより早かったのはロッカのだった。ロッカは”商人のペン”で書き留めていたメモを見直して叫んだ。
「シシエクゥが現れる方角です!!」
「不審者か……部外者の可能性があるかな。さてどうする?」
「それなら私はひとまず、みんなにこの事を教えてこようかなあ」
「私はもう暫く、この牧場周辺を調べてみるよ」
 アレンダーの言葉に、ロッカと水希はそれぞれ答える。
 すぐさま、ロッカ、それに封真とアレンダーは他の特異者達を探しに散らばるのだった。

「さて……と?」
 水希はすぐに動こうとはせず、横目でうずくまる少女を見た。
「シクシク……私の見せ場がシクシク」
「まあ、その……まだシシエクゥについて分からないことが多いから、もうちょっと教えて貰ってもよいかなあ?」
「えっ!」
 突然は立ち上がった結の顔にはと盛大な笑顔が広がっていた。
(面倒な子よねぇ……)
 しばし、水希は結を連れて情報収集を続けるのだった。
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