三千界のアバター

形見の武器を取り戻せ!

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【序章 眉間の古傷】

「……驚いた。言うだけあって、本当に大した人脈だね。こりゃ、想像以上だ」
 アルベルタは、棗 蕾奈の救援要請に応じて集まった30人にも届くかという特異者の集団を見て心底嬉しそうにそう呟いた。
「ふっふーん。みんなね、困った人をほっとけない良い人たちばかりなんだよ。みんな、ありがとう!」
 棗の言葉に素直に手を振って返す者、照れる者、露骨に自分はそんなんじゃないと顔を背ける者など、反応はそれぞれだったが、少なくとも皆、利害は一致しているようだった。
 それから、全員で、自警団が聞き出したアジトの情報や組織の構成、侵入に適した経路などのブリーフィングが始まる。しばらくしてから、棗はそれを中座してアルベルタのところに戻ってきた。
 彼女が眉間を強く抑えながら、小刻みに震えているのが遠めに見えたのだろう。
「大丈夫? 額、痛むの?」
「古傷さ。――震えてるのは武者震いってことにしておいておくれ」
「大丈夫。皆が居るし、私も傍にいるから」
「助かるよ。きっと、あいつを見たら私は冷静じゃいられなくなる。そのときは悪を挫くことを最優先にして欲しいんだ。何よりも――」
 私情を挟んで、再び悪を捕らえる機会を逸することは、アルベルタにとってなによりも耐え難い屈辱だった。
「うん。わかったよ。でも――アルベルタさんの望みも叶うように、私、がんばるから」
 棗のひたむきな優しさに、アルベルタは気恥ずかしそうに微笑んで返事をした。

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