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いたずら狐にご用心?

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いたずら狐にご用心?
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 プロローグ

 どぉん、という太鼓の音がして、眠る妖狐の耳がぴくりと動く。気のせいと思ったのか、或いは未だ夢の中なのか、ぼろのような衣服に身を包んだ妖狐は藁と余り布で作った寝床ですうすうと寝息を立てている。
 ど、どぉん、と続けて太鼓の音。むにゃ、と寝言交じりの声を上げながら狐が身を起こし、そして飛びあがった。里の方角に無数の灯。提灯が下げられた出店が立ち並び、普段の里の様子から一変して、にぎやかで騒がしい祭りの気配で溢れていた。
「お、おぉ!? あいつら、とうとうおいらを思い出して……あぁ、違うな」
 ぴくぴくと耳を澄まし、妖狐が喜びかけた表情を暗くした。張りつめた緊張感を持った気配がいくつも里の中に紛れていることを察知したのだ。明らかな罠である。だが、今度は鼻をひくつかせる。嗅いだこともない、何かうまそうなものの臭いがする。
「んん、ん~……。善し! 偵察だ! そうだ偵察に行こう! あいつらが何やってるのか、知っておかないといけないしな!」
 そういいながら手をぺろぺろと舐め、耳をぺたぺたと髪に押し付ける。するとどうしたことか、こがねいろの髪は黒く染まり、耳はあっというまにくせ毛と見分けがつかないようになった。飛び出した尻尾はぐるりと腰に巻き、それもぽんぽんと叩くと、服の帯に変化する。しかし、服だけはどうしようもなかったようで、ぼろのような衣服のまま、妖狐は腕を組んでふふん、と不敵に笑った。
「さってっと、いっちょ行きますか!」
 そういって揚々と歩き出そうとした妖狐の背後で、がさり、と音がする。ゆっくりと出てきた影に、妖狐は気さくに声をかけた。
「よっ、あんたも行くかい?」
 影と二言三言会話した妖狐は、くすくすと笑うと、手を振って影と別れ、それぞれ別の方向から里を目指した。
 日が落ちた里で、長い長い夜が始まろうとしていた。

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