クリエイティブRPG

ゴダム・ロックフェス

リアクション公開中!

 0

ゴダム・ロックフェス
リアクション
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last


【プロローグ】

 普段は乾いた風が荒々しく、時には寂しげに吹くばかりのこの土地に、ヴィンランドの各地方からやって来た乗り合い馬車が次々と到着した。
 馬車からは手にコークやジュース、ミネラルウォーターを持ったり、バックパックを背負ったりした人々が続々と降りてくる。
 楽しげな話し声や、足音。乗合馬車の車輪がきしむ音。人々が一歩踏み出すごとに舞い上がる砂塵。
 荒涼とした地は、いつもであれば信じられないほどの喧騒に包まれていた。

 ……暑い。
 それは乗合馬車から降りて誰もが最初に感じたことだった。
 馬車は都市部から来たものが多かったが、そういった場所と比べて、明らかにそこは暑かった。湿度は低いものの、照りつける日光を遮るものが何もないのだ。歩き始めて数分もしないうちに、ポケットやリュックからハンカチやタオルを取り出して、噴き出した汗を拭う姿もあった。
 それでも人々は歩みを止めない。行く先にもまた、灼熱の陽光が照りつけているというのに。

 目指す先にあったのは、彼らの身長以上もある大きなステージだった。その後方には、

 GODAM ROCKFES

 体温をさらに上昇させそうな、鮮烈な赤でそう書かれた巨大なボードが提げられている。

 ステージの周囲には点々と屋台が並んでいた。まだ開店前だが、ほとんどが食べ物の屋台のようだ。カレーライス、タコライス、フランクフルト、ハンバーガー、各種飲料……珍しいところでは、練り飴などという看板も見られた。
 開店前とはいっても、中にいる店員の準備はほぼ整っているようだ。何か打ち合わせをしている者もいれば、これから襲われるであろう忙しさに備えて体力を温存しようとするようにじっと座っている者もいた。

「お前、さすがだな」
 音響や警備担当のスタッフが行き交うステージの脇に立ったレヴァロは、隣にいた高杉 大介に声を掛けた。
 レヴァロの視線は、乗合馬車の当着地点からこちらに向かって歩いてくる人々に注がれている。

「俺たちだけじゃ絶対にここまで集められなかった。一体どういうダチ関係してるんだよ」
「どういうって……それは……」
 大介は言い淀んだが、レヴァロはそれを自分と同じように何かしら触れられたくない過去があって、そこに関係したものと勝手に解釈したらしい。
「ま、細けぇことはいいんだけどよ」
 大介の背中をバン、と叩くとレヴァロは楽屋に入ろうと促した。
「今日も明日もとにかく暴れて、楽しもうぜ」

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last