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弟を捜して三千界inコルリス王国

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第一章 誕生日プレゼントの用意を

 通り。

「……たくさん人のを集めないと」
 偶然『聞き耳』で奈川 都夜乃(ながわ・とよの)達の話を聞いていた月音 詩歌は密かに参加者集めに奔走していた。
「楽しくて思い出に残るものにしてあげたいな」
 詩歌が頑張るのは情報屋として多くの人に自分を覚えて貰い、何かあった時に頼って貰えればという思いとネグに楽しい思い出を作ってあげたいというお節介からである。しかし、そんな優しい心情など表に出さずいつもの気まぐれな態度。

 人集めの合間。
「……自分もプレゼントを用意しないと」
 詩歌はプレゼント探しも始めた。ちなみにこれまでに参加を呼びかけた人には出来るだけプレゼント持参でと言ってある。
 詩歌が『目利き』と『超感覚』を使いプレゼントとして選んだのは
「……これにしよう」
 花を持ったさんぜんねこをかたどった木彫りの小さなお守り。
「会場の様子を見に行こうかな」
 詩歌はプレゼント片手に会場の様子を見に行った。
 そこで飾り付け担当から面白い提案を耳にして手を貸す事にした。
 その準備を終えるとまた人集めに戻った。

 通り。

「誕生日会かぁ。ネグくんは誕生日をお祝いしてくれる人がいないのかな。それとも他に何かあるのかな」
 都夜乃から依頼を受けた酒杜 陽一は小首を傾げた。
「……誕生日と言えば」
 陽一はふと事故で亡くした妹に祝って貰った誕生日を思い出した。
「あの時、大量のテロノレチョコをチロノレチョコと騙されて食べて半分逝きかけたっけ」
 陽一は懐かしそうに危険な出来事を思い出し、少し寂しくなった。
「……それより誕生日会に行こう」
 辛い思い出から現実に戻った陽一は誕生日会に参加するべく酒場に向かった。

 通り。

「誕生日会のメインイベントと言えば、プレゼントよね」
 八上 ひかりは幼少時に家族や友人と一緒に楽しんだ誕生日パーティーを思い出しながらネグのためのプレゼントを考えていた。
「そうね。それに危なっかしい感じがしたから後で彼女と話したいわ」
 神崎 きよみは自分達を誘いに来た都夜乃を心配していた。
「話して心配だったら都夜乃が一人でアルテラを歩き回れるまで同行してもいいかもね」
 ひかりがちょっとした提案を口にした。
「そうね。それで何を贈るか決まった?」
 きよみは、ひかりの提案に賛成した後、プレゼントについて訊ねた。
「考え中かな。貰って一番嬉しいものと言えば、あたしなら可愛いぬいぐるみだけど、ネグは男の子だし……そうだ」
 ひかりは頭を悩ませていたが、すぐに閃いた。
「決まったのね」
「えぇ、ネグでも乗れるような小柄な体格のエクゥにするわ」
 訊ねるきよみにひかりは答えた。ほとんど自転車を贈る感覚である。
 この後、準備を整えてから酒場へ向かった。
 そこでショーの準備をする者達に会い、ひかりは素敵な渡し方を閃いたのだった。

「迷惑かもしれないけど……」
 都夜乃は一通り事情を話してから改めて依頼しようとすると
「迷惑なんかじゃないですよ! わたしで良ければ、協力します!」
 話し相手の神白 風花は力強い言葉で遮った。
「ありがとう」
 都夜乃は嬉しそうに礼を言った。
「早く弟さんと再会出来るといいですね。やっぱり家族は一緒が一番ですから」
 風花は都夜乃が弟と再会出来る事を心底願っていた。
「えぇ。本当にありがとう」
 都夜乃はもう一度風花に礼を言ってから人集めに戻った。
 都夜乃を見送った後。
「……家族……地球にいるお父さんとお母さん皆元気にしてるでしょうか」
 都夜乃の事情を聞いたためか風花はふと家族の事を思い出し、少しだけ切なくなった。
「……誕生日会に行きましょうか」
 すぐに風花はやるべき事を思い出し、酒場へ急いだ。

 通り。

「……誕生日会となると誕生日プレゼントが必要ですね……さて何にしましょうか」
 都夜乃から依頼を受けた藤堂 レオンは誕生日プレゼントについてあれこれ考えながら歩いていた。
「確か、主役の彼はセリアンだったはずですね。それなら……」
 レオンは、ネグがセリアンである事からふと思いつき、装飾品を販売する店に入った。
 そして、すぐに目的の物を見つけ、購入した。

 プレゼントを購入し店を出た後。
「プレゼントの用意が出来ましたし、会場に行きましょうか」
 レオンが購入したのは、ワイバーンの牙を模したネックレスだ。知人のセリアン達がワイバーンの牙から作製した短剣を使用していたのを思い出しての選択だ。
「これにどのような意味があるのか知りませんが、大人になったとか一人前になったとかセリアンなりの理由があるでしょうから喜んでくれるでしょう」
 そう呟いた後、レオンは急いで会場に向かった。

 通り。

「ふ~ん、子供の誕生日ねぇ……別にあたしは興味ない」
 都夜乃から事情を聞いたアニエス・オリオールは本当に興味が無さそうな感じであった。
「そう言えば場所はどこだっけ?」
 興味が無いために聞き流した開催場所を訊ねた。
「……酒場です」
 と都夜乃。
「え? 酒場でやるの? それを早く言ってくれなきゃ! 主役の子は、ネグくんだっけ? いやー誕生日っていうのは盛大にお祝いしないとね! こういうのは騒げば騒ぐほど楽しいってもんだよ!」
 都夜乃の言葉を聞いた途端、アニエスの様子が変わった。
「あ、ありがとうございます」
 都夜乃はアニエスの変貌ぶりに戸惑いながらも参加への礼を言った。
「お酒とおつまみは出せるわよね! 子供の誕生日って言っても酒場なんだから」
 アニエスは酒飲みにとって大切な事を問いただした。
「たぶん、大丈夫だと」
 都夜乃はアニエスの気迫に押されながらも答えた。
「そう、それなら安心ね。すぐに行くわ」
 アニエスは嬉々として酒場に急いだ。
 都夜乃はそれを見送った後、人集めに戻った。

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