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真夏の野外映画上映会

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真夏の野外映画上映会
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【食べ物、飲み物いかがですか?】

 売り子の仕事は、映画が上映中では行うことが出来ない。せっかく静かに映画を鑑賞しているときに大声で「いかがですか」とは言えないからだ。
 スクリーンには休憩時間中の映像が流れ始めたのを見計らって、ルーナ・アルスターは映画を見ているお客さんたちに声をかけはじめた。今日は売り子ということで、お客さんに目立つような洋服を着てきていた。
「この度は上映会に来場いただき、ありがとうございます。恋人とのムードをより良くする、甘い香りのローズコーク。熱い日差しにクールな一杯、フローズンシェイク。映画の定番、ポップコーンはありませんが熱々ホクホクのポテトフライ。更に今回はさんぜんねこ特製のキャットコークもご用意しておりまーす。ご用の際は一声お掛けください、すぐに伺います」
 遠くの人にも聞こえるように、ある程度声を張る。映画が上映されている広場は流石に広く、ルーナ以外にも売り子をしている特異者も数人いる。
「お姉さん、ローズコーク2つとポテトフライ1つください」
「はい、かしこまりました」
 ルーナは声を掛けられたお客さんに近寄り、てきぱきと用意をする。飲み物や食べ物を必要としているお客さんはたくさんいるため、てきぱきと早く用意をしないと休憩時間が終わってしまい、他のお客さんのところへ行けない。
「ありがとうございました」
 ルーナはお客さんにぺこりと頭を下げると、必要としているお客さんがいないかと再び声を出す。
「飲み物、食べ物色々あります。いかがですかー」
 思っているよりも大分、飲み物や食べ物を買ってくれる人がいた。夕方とは言え、まだ日差しによって暑いためだろう。それに長時間映画を見に来ている人もいるようだ。
「ふう……映画を見ている人も暑いでしょうけど、売り子で動きながらというのも流石に暑いですね……」
 額から流れる汗をぬぐいながら、ルーナは呟く。真夏であるため、売り子で食べ物を持ちながら動くというのも一苦労だ。
「あ、そろそろ休憩時間が終わるころですね」
 休憩中に流れている映像を確認する。休憩時間にはヴォーパルがワールド・ホライゾンを散歩している映像が流れている。幾度かその映像を見たため、どのシーンでそろそろ終わるかというのは分かり始めてきていた。
「さて、休憩中に飲み物と食べ物を補充しておかないとですね」
 広場を見ながらルーナは言う。多くの人が楽しそうにしている。これほど来てくれて、映画を見てくれている。おじいさんも嬉しがっているだろう、とルーナは思いつつ食べ物と飲み物の補充へ向かった。
 日が傾き、徐々に暗くなってきた頃の休憩時間、そこには元気よく声を出して売り子をしている女の子がいた。
「映画のお供に、よく冷えたコーク、アイネコフィアはいかがですかー?」
 売り子は明るく可愛く元気良く、を心がけながら蓮水 真姫は売り子を行っていた。
「そこのメイドさん、ちょっといいかい?」
 真姫の服装を見て言ったのか、お客さんから声がかかった。
「はい、何でしょう?」
「食べ物の中にポップコーンとかもあるかい?」
「はい、ポップコーンなどもご用意してますよー」
 お客さんの質問にも、明るく可愛く返答をする。
「じゃあ、ポップコーンを2つと、コークも2つね」
「かしこまりましたー」
 言われたものを用意すると、笑顔でお客さんに手渡す。
「お気をつけてお持ちくださいね。ありがとうございましたー」
 お客さんにお礼を言うと、また真姫は売り子の続きを始める。
「映画のお供に、よく冷えたコーク、アイネコフィアはいかがですかー。ポップコーンなどもありますよー」
 今度はお客さんにも分かりやすいように、場内に元気な声が響き渡る。
 映画の休憩時間が終わりに近づいたときに、手元の飲み物や食べ物を見てみる。
「持ち歩いてたものが、大分なくなりました。思ったより結構売れたましたね。この調子ならお客さんも楽しんでくれているでしょうね」
 笑顔で場内を見渡す。今度はファンタジー映画が始まったようで、お客さんたちのワクワクしている様子が真姫にも伝わってきた。
「さあ、次の休憩時間も明るく可愛く元気よく、ですっ」
 ちょっとだけ気合を入れると、なくなりかけている売っていたものを補充に向かうのだった。
 そして日が完全に傾き、夜になる。やはり誰もが思っていたが、今日は暑く熱帯夜のようだ。そんな時の映画と映画の間にある休憩時間に涼しい風が入り込んできた。
「お菓子はいかがですかー。アカデミーのお菓子ですよー」
 その風の正体は、「ヴェンダ」の威力を調整しながら売り子をする甘味 流威だった。いつもは口調が違うのだが、売り子として歩いているため、丁寧語にしている。
「あ、そこの売り子のお姉さん! お菓子くれないかな?」
 と、近くで声が聞こえた。
「暗いから余計に男の子に間違えられるのかな……はい、今うかがいます!」
 暗いから分からないのか、それとも流威が中性的な姿をしているからなのか、気にしている事を言われ少しだけ流威は呟くが素直に声をかけられたお客さんのところへいく。
「えっと、そのお菓子三つください」
「はい、分かりました。はい、どうぞ」
「ありがとう!」
 お客さんに元気良くお礼を言われて流威は嬉しくなった。代金をもらうと、そろそろ映画が上映される時間になったようだ。
「旦那様、売り子の方はどうかな」
 声が聞こえたほうを見るとメソスケール・スローテンポがそこにはいた。確かメソスケールは休憩時間に雑務をしていたはずだ。映画が始まるということで、流威と合流した様子だった。
「せっかくですし、映画も楽しんだらどうかなぁ」
 流威は少し悩むと、顔をあげる。
「うん、そうだね。ケールもそう行ってるし、せっかくこういう場所にいるんだもん」
 とメソスケールと一緒に映画を鑑賞することにした流威。しかし、次の休憩時間にはまた売り子をしなければいけないので、補充が出来る場所で見ることにした。
「この映画はファンタジーだねぇ」
「うんうん、楽しみ」
 映画が始まると、流威は頭に何かが乗っている感覚がする。横を見るとメソスケールが流威の頭を撫でていた。
「うふふ、最近は忙しかったし、こういう時間も久しぶりだねぇ」
 暗いがメソスケールの笑顔になっている表情はよく見えた。
「そうだね。でも、あんまり大胆なのはダメだよ? 周りに人が多いもん」
 と、メソスケールの魂胆を見透かすように言う。しかし、今度は流威にメソスケールは抱きついてくる。
「大丈夫。暗いし、ここは売るものを補充するところだからねぇ」
 流威のことをぎゅーっとしながら笑いながらメソスケールは言う。
「まったく……少しだけだからね」
 まったくとは良いつつ、流威は少し照れながらいう。それを見て可愛いと思ったメソスケールは顔を近づける。
「だーめ。流石にキスはバレちゃうもん。それに映画にもちゃんと見ないとね」
 メソスケールは少しだけしゅんとした表情をするが、抱きついているのだからバレないだろうと、流威の頬に軽くキスをする。
「もう、今はこれだけだからね」
 照れながら流威は言う。
 こうして映画上映は売り子たちのお陰で、お客さんは快適に過ごすことが出来るのだった。
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