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真夏の野外映画上映会

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真夏の野外映画上映会
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【大事なのは上映だけではない】

 すでに日は傾き暗くなってきた時。上映会が行われる広場の周りには、邪神群が入り込んでこないよう警備をするもの、危険なお客さんがいた場合に退場させるための特異者たちがいた。
「ふう……とりあえずは、邪神群はいないようだねぇ」
 邪神 水希が周りを見渡しながら言う。「聞き耳」と「超直感」を使っても気配は感じない。
 もう映画が始まってしばらく経つ。その間邪神群が寄ってきたこともあったが、水希や神楽 春夜が対応していた。
「こっちも大丈夫だ。マナーの悪い人間も帰ってもらった。この調子ならしばらくは特に何もないだろう」
 春夜も一通り警備をして入り口で水希と上映している広場の入り口で合流をした。春夜も「目星をつける」を使って危険な場所がないかを探索したが今現在では安全なようだ。
「まあ、一番どうかと思うのはこの二人だけどねぇ……今は特に何も起こらなそうだからいいんだけど」
 と、広場の入り口では警備もせずに酒盛りをしながら映画を見ている人間がいた。氷魚 凍夜フライヤー・フィルクレイである。そしてアイアンバニーは凍夜とフライヤーの2人のために酒を造ったり、運んだりしていた。
「思いのほかマナーの悪い客もいないようだし、邪神群も頻繁に襲ってくるわけでもないし、いいんじゃないか? とは言っても俺たちまで飲み始めたらいけないと思うがな」
 と、春夜は言うが、水希はため息をこぼす。やっぱり警備として一応いるのだから、入り口で酒盛りをしながら映画を鑑賞しているのはどうかと思うのだ。
「はぁ……まあ、言うとおり邪神群も数が多いわけでもないしいいのかなぁ。今現在安全におじいさんの野外上映の願いは叶ってるんだしねぇ」
 と、凍夜とフライヤーの2人と上映されている広場を見ながら言う。しかし、広場の安全は確保されているし、おじいさんがやりたかったことはちゃんと行われている。
「ちょっと、水希君きてくれんかのぉ」
 フライヤーが少しだけ出来上がった感じで水希を呼ぶ。一体何があったのかと、水希はフライヤーに近寄る。
「儂があと40若ければ水希君を口説いとるんじゃがのう……婆さんに張り倒されとるじゃろうが……」
 フライヤーは水希にそんなことを言い始める。警備のことを少しでも気にしてくれているのかと思っていたが、大した理由でもなく水希はがっくりする。
「昔は、婆さんと車に乗りながら野外上映を楽しんだもんじゃ……儂は映画を見る気なんぞ無かったんじゃが、手ぇ出すたびに婆さんに怒られてのう? 仕方なしに映画を見ておったんじゃが……ラブロマンスの何処が良いのかさっぱりじゃった」
 そしてフライヤーは昔話を始めだした。
「まったく……年を取ってる酔っ払いっていうのは、何でこうして昔話をしたがるのかねぇ」
 再びため息が出てしまう水希。しかし、安全なのはいいことなのかと、納得してしまいそうな水希がいた。
「ほら、フライヤーコップが空になっていますよ。さあ、飲んで飲んで。それに映画もなかなか面白いですよ」
 凍夜がフライヤーの酒がなくなったコップに注ぎながら言う。凍夜のほうはフライヤーほど出来上がっていないようで、のんびりと映画を鑑賞しつつ酒を飲んでいた。
「おっとっと、悪いのぉ。凍夜君、カミさんが出来たら精一杯優しくしてやるんじゃぞ? 苛立たしい事もあるじゃろうがケンカはイカンぞ?」
 と、フライヤーは凍夜を諭し始めた。いったいフライヤーにはどんな過去があったのだろうか。だが、フライヤーに昔何があったのかはこの場にいる人間たちには興味がなさそうだった。
「はい、分かりました。っと、春夜も一杯どうですか? こういう映画鑑賞をしながらお酒を飲むというのも良い物ですよ」
 しかし、軽くフライヤーの言葉に答えた後、凍夜は酒のビンを持ちながら春夜に酒を勧める。酒の場では飲んでいる人数が多いほうが楽しいと思ったからだ。
「確かに成人はしてるから飲めるが……今は警備をするのが優先だから、遠慮しておこう」
 首を横に振りながら春夜は凍夜の勧めてきた酒を断った。春夜のいうことはもっともで、さきほど自分たちが飲み始めたら警備をちゃんとする人間がいなくなってしまう。そして、凍夜は勧める先を別へと変えた。
「じゃあ、水希はどう? こういう時には華というものがあるといいですし」
 と、次に水希に凍夜は酒を勧める。水希は凍夜のほうを見るが、思うような表情はしていなかった。
「私も成人してるけど、遠慮しておこうかねぇ。いざとなって動けなかったら困るし」
 水希も勧められた酒を断った。春夜が言っていたもっともな事は事実だったからだ。
「それじゃ、仕方ないですね。2人で続けましょうか」
しかし、凍夜は特に断られた事を気にしてはいなかった。フライヤーに一言いうと、また映画を見始めながら酒を飲み始めた。
「さて、そろそろまた警備に行こうか?」
 と、水希は春夜に声をかける。それに春夜はうなずくと、2人は二手に別れて警備を再開する。そして、酒盛りをしている2人は映画鑑賞をしながら酒盛りを続ける。
 まともに警備をしていたのは水希と春夜だけであったが、映画の上映は邪神群に襲われることもなく、危険なお客さんも穏便に広場から出すことも出来た。そして、無事に映画上映が終わるのだった。
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