■プロローグ■
――アーケディア王国、王都レンスター
普段であれば道行く人々で賑わいを見せている王都も、今は閑散としている。
何度目になるであろう、移民用浮遊大陸ベーダシュトロルガルへの全国民の避難が行われているからだ。
『避難の進捗は75%くらいです。全国民の避難が完了次第、こちらは出港します』
「よろしく頼みます」
王族専属のオペレーションAI・
ミレナスのスクリーンに映し出された
ゼピュロス・マンスターの報告に、
ロミア・レンスター王女――今は
フェリシアに扮している――は答えた。
「何度も国民を避難させるとは……わたくしは王族失格ですわね」
「そんなことはありません。あなたはよくやっておられます」
バルバロイの浮遊大陸へ攻撃を仕掛ける準備が整った報告をしに来た
クローヴィス・キルデアは、微苦笑気味に自嘲を浮かべるフェリシアの呟きにそう応えていた。
「オレもそう思います。ロミア王女がいなければ、アークが楽園(シャングリラ)へ辿り着くことはなかったと思います」
「そうそう。感謝こそすれ、失格なんて誰も思ってないよ」
カラドボルグの出撃準備を整えた
ウォルフ・ランバージャックと、イダテンに乗る
クロト・アーマースミスも彼女に口々にそう告げた。
地の浮遊大陸サートゥルヌスでは、経験不足からの駆け引きの弱さが出てしまったものの、それ以外の浮遊大陸に関しては、“外法の者”や各騎士団の力を借りつつ、異種族たちを助けてアークへと招き、こうしてシャングリラへと辿り着いたのだ。
「ありがとうございます……弱音を吐くのは全てが終わったからにしますわ。バルバロイ・コマンダーを倒してバルバロイの浮遊大陸を手に入れ、リューンからジェニーさんを取り戻しますわ!」
「「「はい!!」」」
ウォルフとクロト、クローヴィスは声を高らかに応えると、それぞれの持ち場へと散っていった。
(ここシャングリラを新たな故郷とし、国民や“外法の者”たちに苦労を掛けてしまった分を返さなければ)
ロミア王女は両手で頬を叩いて気合を入れ直すと、各騎士団と“外法の者”たちに号令を下すのだった。
■目次■
プロローグ・目次
ベーダシュトロルガルで一時避難する
ベーダシュトロルガルへ1
ベーダシュトロルガルへ2
ベーダシュトロルガルへ3
【1】バルバロイ・パイオニアを倒す
・戦域疾駆
・雷撃の進軍
・戦場に咲くプライド
【2】バルバロイ・コマンダーを倒す
・楽園を取り戻すために
・最終戦開始
・ベイグラント騎士団の死闘1
・ベイグラント騎士団の死闘2
・鶏肉騎士団の死闘1
・鶏肉騎士団の死闘2
・キルデア外法集会の死闘
【3】リューン/バルバロイ・アマゾナスを倒す
1.狙われた王都(1)
2.狙われた王都(2)
3.狙われた王都(3)
4.狙われた王都(4)
5.魂の奪還(1)
6.魂の奪還(2)
7.魂の奪還(3)
8.歪なる導者(1)
9.歪なる導者(2)
10.ウォルフとジェニー
エピローグ1
エピローグ2