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建国の絆 第6回

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建国の絆 第6回
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【奥へ】

 久遠路 彼方に見送られて闇航船へと乗り込んだシノン・アルフィーネカノン・オルフィーナは、瀬蓮とアイリスと共に闇の奥を目指している。
 シノンが百合園女学院に通い始めてから、色々なことがあった。
(けれど最初からずっと。最後までずっと。私が瀬蓮ちゃんに救われたことは変わらないと思う)
 瀬蓮の護衛として付き添っているシノンは、一歩前でギュッと掌を握りしめて闇の奥の大太を見据える瀬蓮を見る。
(あの子が少しでも報われる様に。あの子の隣に立てる様に。ちゃんと、友達だと言えるように)
 闇航船の上では、絶え間なく八鬼衆との戦闘が続いている。
(2人だと不安で恋人さんにも付いてきて貰ってしまったけれど、今日私は、きちんと覚悟を持って戦おう。そう思う)
 シノンは心の中で、覚悟を決める。
 エル・スワンが、真剣な表情のシノンに頷いて見せた。
「瀬蓮ちゃんはお友達で、校長先生でもあって、百合園学院生として、私自身として、あの子が何かを成し遂げたって言える様にしてあげたい。だから、戦います」
「シノンさんの想い、確かに聞き届けたよ」
 エルは頷いて、瀬蓮の元に歩み寄った。
(君が瀬蓮さんの道を拓くというなら、オレはそれに憚る刃を折り、追い風となって背中を押そう)
 いつも傍で支えてくれる、シノンへの恩返しの意味も込めて。
「貴方が瀬蓮さんだね。シノンさんから話は聞いてる。シノンさんに手を添える形になるけれど、オレからも細やかながら応援を。頑張って」
「ありがとう……!」
 瀬蓮は満面の笑顔で応えると、キリッとした表情になる。
「必ず、必ずーーこの大きな闇を消し去りましょう……!!」
 傍らで瀬蓮の言葉を聞いていたアイリスが、黙ったまま小さく頷いた。
 そんな瀬蓮を嘲笑うかのように、幽巫が笑いながら飛びかかってきた。
 その攻撃を、シノンとカノンは顔を見合わせ、護国の聖域でガードする。
 2人の生み出した翼のような形の聖域が、瀬蓮を闇から守る。
 だが、その瞬間に巨木の怪物が船を揺らし、その衝撃で瀬蓮の体が船外へと吹き飛ばされそうになる。
「ごめんねエル君。抑え、お願いっ!」
 シノンは船から落ちそうになった瀬蓮目掛けて一直線に飛んだ。
 間一髪、瀬蓮の腕を掴むと、そのままシノンは甲板へと引き上げる。
「闇龍の下着まで、必ず無事に送り届けるんだから!」
(……今回の戦いは、闇龍討伐が鍵。そして、アイリスは多分何か切り札を隠してる。瀬蓮と、アイリス。二人一緒でないと意味がない)
 カノンはちらりとアイリスを見た。
(貧乏籤だとは……思うけど、仕方ない。……戦友だし、ね)
 カノンは闇女王の加護で闇への耐性を上げ、名状しがたき獣に乗った。
 機晶の金糸雀を飛ばすと、索敵する。
 途端、金糸雀がバラと崩れ落ちた。何かがいるーー!
「そこ……!」
 崩落する空から何かが雪崩れ落ちてくる。
 アイリスの死角をフォローするように立つと、実体化した幽巫が飛びかかってくる。
 金剛力で身体の強化をしたエルは、屍飛竜に乗って皆の前に立った。
 覇者の剣の効果で気配の増したエルに、幽巫の意識が向けられる。
 シノンは瀬蓮を庇いながら、実体化した幽巫を飛翔剣で墜とそうとする。
 エルはアラウンドガードとバッシュガードを交互に挟み、攻撃を寄せ付けない。
 すかさず覇者の剣で反撃の一撃を打ち込んだ。
 その光属性の剣の力で、幽巫を近寄らせまいとする。
「……シノンさんは、傷つけさせない。守り切って、送り届かせてみせる」
 その時、背後から巨木の怪物が枝の腕を薙ぎ、シノンたちをを吹き飛ばさんと再び攻撃を仕掛けてきた。
 カノンは巨木の怪物の一撃から、瀬蓮をミラージュパペットで庇う。
「行きなさい。此処は、私に任せて」
 怪物の囮になろうとしたカノンを、アイリスが制する。
皆で行こうーー闇の先へ!」
 アイリスの目にも止まらぬ剣撃の前に、巨木の怪物は倒れ込んだ。
 闇航船は一層速度を上げて、闇の奥へと進んでいく。

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