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建国の絆 第6回

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建国の絆 第6回
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■ダークヴァルキリーを『解放』するため『討伐』せよ!(3)

「女王様を認められないのなら、ネフェルティティさん自身が皆に認められて女王様になればいいです。でも、そんな当たり構わず八つ当たりで破壊する人を女王様に推挙する人はいないのですよ?
 ネフェルティティさんがどうしたいのか教えてくださいなのです」
 土方 伊織のこの説得に対しても、先程同様過剰なまでの暴力が降ってきた。
「お嬢様のそれは説得というより、疑問を聞いているだけのようですが」
「はわわ、そーなのですか?」
 伊織を抱えて後退しつつ、サー ベディヴィエールが続ける。
「ですが話を聞くことは良い事かと。無知こそが罪ですから。
 本来、説得というのはとても難しいものです。説得とはわからせること、しかし人はよく言うでしょう、「なぜわからない」と」
「……、ネフェルティティさんをわからせるのが無理なのはうん、そうかもしれないですけど……でも、理子さん一人に罪を押し付けるのもなんか違うと思うのです。本当にネフェルティティさんを斬らないといけない状況になったのならば、この件に関わった全ての人がその罪を背負う覚悟でやるべきなのです」
 沈んだ顔を見せる伊織に、やはり主は優しい方だ、と納得の頷きをして、ベディヴィエールは伊織を安全な場所で降ろした。

「ティセラ。我が姉に楯突いた私を憎んでいるだろう? おまえは我が姉を信奉していたからな」
 ティセラへダークヴァルキリーが、挑発するような言葉を投げかける。脇に控えるセイニィとパッフェルがそれぞれ武器を構えるのを、ティセラは手をかざして制し、口を開いた。
「わたくしはアムリアナ様をお守りできなかったことだけを悔いていましたわ。あなた様のことはアムリアナ様の妹様として、それ以外に思うところはなかったのですが――」
 ティセラの手に星剣ビッグディッパーが握られる。
「今、アムリアナ様が再びお目覚めになられる中、それを邪魔しようとするのであれば止めさせていただきます」
「ハッ! 我が姉の親衛隊に過ぎぬおまえが私を止めるなど、大きく出たものだな!」
 直後、ティセラのビッグディッパーとダークヴァルキリーの爪が交錯する。ダークヴァルキリーが闇の力を噴出してティセラの体勢を崩そうとするもパッフェルの射撃に妨害され、セイニィの斬り込みに後退を余儀なくされた。
「わたくしには2500年前からの親友がいますもの」
「ま、ほとんど寝てたけどね。でも連携はバッチリよ?」
「……まかせて」
 気圧されることなく立ち向かってくる彼女らに、ダークヴァルキリーがクッ、と歯を噛んだ――。


「ま、本当のお前は警告してんだなってのは理解してやる。
 けどよ、お前がその呪いとやらで今ある世界、今を生きる連中を否定するってんなら許さんぜ」
「人は時に憎み、疑い、争う。これを否定していいものではありません。ですがそこから学び、反省し、変わることだってできるのです。
 新たな可能性を紡ぎ、示していくために!」
 ディード・グランナが【牡羊座】を司る星杖エウロパを展開し、杖のもたらす輝きはダークヴァルキリーの闇の侵食を浄化するように広がっていった。
「んじゃ、始めるか!」
 開戦の合図とばかり、キョウ・イアハートが星の力を撃ち出す光線銃で弾幕を張る。弾は直線だけでなく曲線を描くものもあり、単純な回避だけでは直撃を受けるような軌道とすることで、ダークヴァルキリーの消耗を図る狙いであった。
「小賢しいマネをっ!」
 弾が掠め、激昂と共にダークヴァルキリーの無数の闇弾が迫る。もし直撃すれば戦闘不能も免れない威力を持つそれらを前に、キョウは慌てずディードのやや前まで下がり、そしてディードと連携することで強固な結界を展開、向けられた攻撃を防ぎ切ることに成功した。

(ティセラ様が気圧されること立ち向かっている、私も【蟹座】として立ち向かわなければ!)
 松永 焔子の両手に【蟹座】を司る星鋏アンナトラが握られる。ダークヴァルキリーが発している闇の力の流れを肌で感じ取り、ダークヴァルキリーが仕掛ける挙動を察知すると即座に飛び出し、片方の星鋏を投擲することで先んじて攻撃の機会を潰した。体勢を立て直すべく退いたダークヴァルキリーを追いかけ、戻ってきた星鋏をキャッチして斬り込む。

「まったく、おぬしらには十分な時間をかけた話し合いが必要じゃな! いいか、互いを説得するのではなく、互いをわかり合うための話し合いじゃぞ?
 そして今後一切、盛大な姉妹喧嘩に巻き込まないで欲しいのじゃ!」
 セシリア・ファフレータの求めに応じて、炎と氷の聖霊が聖なる炎と氷雪をダークヴァルキリーとその周囲に発生させる。これで再び集結しつつあった水晶の兵隊、鏖殺寺院の古参兵は多くが炎に巻かれるか氷と雪に閉じ込められるかして戦闘力を失い、標的はダークヴァルキリーただ一人となった。
「――今です!」
 ファルチェ・レクレラージュの手にした書物が魔力を受け巨大化し、それを地面に叩き付けることで先に空中へ逃れようとしていたダークヴァルキリーより速く影響が及び、ダークヴァルキリーは飛行を強制的に停止させられた。
「念願のシャンバラ建国まで後少し……ここまでこぎ着けて頂いた主や仲間達に、感謝を。
 そして……邪魔はさせません。ダークヴァルキリー……!」
 聖なる光輪がファルチェからダークヴァルキリーへ放たれ、ダークヴァルキリーを拘束する。これはただ拘束するだけで本来はこの後追撃が必要ではあるが、ファルチェは拘束に集中することを選択した。その甲斐あってダークヴァルキリーほどの力を持つ相手にも、次の者が攻撃を行うだけの時間を作ることができた。
「皆さんが作ってくださった機会……無駄にはしません!」
 ディードが星杖エウロパを丸い盾の形の光条兵器の中心に挿し、剣の形にまとめあげた上で先端から光線を溜め撃つ。
「ネフェルティティ! 貴女を蝕む『闇』に負けないで!」
 さらに焔子が自身を光条兵器の光としてダークヴァルキリーの元へ瞬間移動し、高めた集中力でダークヴァルキリーの心を蝕む『狂気』、呪いの力を『病』として切り裂く。

「ガアアァァァ!」

 二方向からの星の名を冠する武器による攻撃を浴びたダークヴァルキリーが大きく身を仰け反らせた――。
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