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建国の絆 第6回

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建国の絆 第6回
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■ダークヴァルキリーを『解放』するため『討伐』せよ!(1)

「おまえが我が姉の契約者か」
「ええ。高根沢理子、リコ、でいいわよ」
 スレイブオブフォーチュンを仕舞い、歩を進める理子に対しダークヴァルキリーは破壊行動を止め、理子の向かい側に降り立ち声を発する。
「その刀で私を『斬る』つもりか?」
「あなたの呪いを断つために、ね。……でも今はあなたをどう『斬って』いいのかわからない。
 それがわかるまでは……私はこの刀を抜くつもりはないわ」
 告げた理子にダークヴァルキリーが、フン、と嘲るように笑って言う。
「そうか、ならば――」
 直後、闇の力が急激に膨れ上がる。身構えた理子の前で力を解放させたダークヴァルキリーが叫んだ。
「おまえが気づく前にその首、断ってくれるワアアァァァ!!」


「いやっほ~♪ ほらほら、こっちこっち!」
 軍用バイクに乗り込み、水の盾を周囲に生成し魔法剣を片手に羽村 空がダークヴァルキリーの気を引くように走り回る。半ばなし崩し的に始まったダークヴァルキリーとの戦いで囮を務めるが故の行動だったが、力を解放したダークヴァルキリーの次々と放たれる闇弾を段々と回避できなくなり、ついに直撃を受けてしまう。
「あってよかった緊急脱出装置! って、動作不良!? 期限切れなんて聞いてないよ!」
 爆発が生じ、粉々になったバイクの向こうで空がきゅう、と目を回していた。

「ネフェルティティ! 目を覚まして! パートナーの赤ちゃんが泣くよ!」
 ダークヴァルキリーの攻撃を懸命にかいくぐり、クローディア・ウィンターが今はシャンバラ刑務所に保育という形で収容されている朝陽の写真を見せる。
「パラミタではパートナーとの結びつきは密接だから……もしネフェルティティが目を覚まさないまま契約者に討伐されたりしたら、朝陽くんも無事じゃすまないよ!」
「今はその者とは隔絶状態にある、たとえ私が死んだところでほぼ影響はないだろう」
「えっ、そうなの?」
 直後、闇弾がクローディアを襲った。

「ネフェルティティ様! あんたのパートナーは未来を掴もうとしてる!
 あんたがシャンバラを壊しちゃいけないんだ。ジークリンデ様も協力してくれる、呪いはきっと解ける!」
 御夜 駆の説得の言葉を、しかしダークヴァルキリーは受け付けず闇弾で退けようとする。駆はすべてを避けきれず被害を受けるも耐え、空に流れ星を出現させながら説得を続けた。
「パートナーを喪うのは怖いことだ。赤ん坊には大事な母親を喪うよりつらいことだろう。そんな思いをさせちゃいけない!」
「く……もう影響はないと言っただろう!」
 二度目の闇弾を駆は耐えきれず、意識を失う。

「ちょっとまずいね、被害が続出してるよっ」
「詩月、動けなくなっている者を助けられるか? 颯真の援護は自分が請け負おう」
「わかった! 行ってくるよっ」
 有間 時雨の提案を受けた深山 詩月が頷き、フライトユニットを展開して戦闘不能に陥った契約者の救助に向かう。時雨は鳩の群れを詩月に追随させ、治療の助けとした。
「さあ、行ってこい颯真。斬姫刀を引き抜いた者が高根沢理子の力になれる、お前の持つスレイブオブフォーチュンもこの場であれば力を発揮できるはずだ」
「ああ! さっきから力を感じるぜ、これならダークヴァルキリーに一太刀浴びせられる!」
 大きな翼に包まれたような結界を得た日坂 颯真が頷き、ブーツの力で空中を駆け、追い込まれつつある理子の元へ向かう。
「邪魔はさせない」
 ダークヴァルキリーが颯真ごと理子を闇弾の雨に巻き込もうとするも、時雨の放った光の矢がその大半を打ち消した。悔しげに舌打ちをしたように見えたダークヴァルキリーの視界の先で、颯真が理子に合流を果たす。
「手を貸すぜ、理子。ダークヴァルキリーに止めを刺すか別の道を選ぶかは、勝ってから決めればいい」
 そう告げてから、ダークヴァルキリーを真っ直ぐに見据え、理子の持つスレイブオブフォーチュンとほぼ見た目が同じ剣を構える。
「……行くぞ!」
 空中に飛び出した颯真を、ダークヴァルキリーは正面から迎え撃つ。自由に空を飛び回れるダークヴァルキリーに颯真はアクロバティックな動きで追随し、振るった剣とダークヴァルキリーの繰り出す爪が何度も交錯する。それはここまでほぼ圧倒されていた契約者サイドが初めて拮抗に持ち込んだ戦闘であり、颯真もダークヴァルキリーも互いに消耗しながらも攻撃を繰り出し続けた。
「く……まだだ!」
 反動を覚悟で、颯真が普段抑制している力を振り絞り、スレイブオブフォーチュンのレプリカに長大な光をまとわせ薙ぎ払う。
「ッ!?」
 この攻撃をダークヴァルキリーは完全には受け切れず、地面に落とされる形で足を着けた。

「……やるな、契約者」
 反動が来たのだろう、地面に落ちて仲間に助けられる契約者を見つめ、ダークヴァルキリーが立ち上がる。
「だが、これで終いだ――」
 闇弾を発射してトドメを刺そうとしたダークヴァルキリーは、突如視界に飛び込んできた者に目を見開く。
「!?」
 繰り出された拳に打ち上げられ、空中で姿勢を正して地面に叩き付けられるのは防ぐも、受けた被害は大きくすぐに反撃を行うことができない。
「話聞いてたけどさ、もしかしてネットの悪い噂とか気にしちゃうタイプ? エゴサなんて絶対、ダメだからね?」
 リーナ・エストファーネの声に、ダークヴァルキリーは言い返すことができなかった。
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