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建国の絆 第6回

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建国の絆 第6回
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■周囲の敵を排除し、ダークヴァルキリーへの道を切り開け!(2)

 戦場にあって、まるで真っ直ぐに引かれた赤い絨毯を歩くかのようにティセラ・リーブラがダークヴァルキリーに至る道を進む。一見隙だらけに見える仕草はしかし、襲いかかった水晶の兵隊が軒並み星剣ビッグディッパーの一振りで吹き飛ばされたことでまったく思い違いであると知らしめていた。
「この程度でわたくしを止めようなどと、随分と軽く見られたものですわね」
 余裕の笑みを見せるティセラへ、剣の間合いの外から鏖殺寺院の古参兵が銃口を向ける。
「ははははは! 盗撮とは趣味が悪い。男なら正々堂々、お付き合いを申し込まんかい!」
 しかし銃弾を発射する前に、涼しい顔で近づいてきた紫月 幸人の振り下ろしが直撃し昏倒させられる。逆噴射でめり込んだ斧を引き抜き肩に担いで、幸人がふぅ、と息を吐く。
「幸人、わたくし喉が渇きましたわ。紅茶を入れてくださる?」
「はい、ティセラ様。ですが状況が状況ゆえ、今しばしご辛抱ください」
「そう、残念だけど、仕方ありませんね。楽しみにしていますよ?」
 微笑みを向けるティセラへ会釈を返し、幸人はティセラの歩みを止めようとする不埒者にお帰りを願った。


「アイ、前衛をお願いします。各員はパッフェルさんの護衛を!」
「了解ですマスター、敵の進行を阻止します!」
 スレイ・スプレイグの指示を受けたアイディール・アコンプリスが前に出て水晶の兵隊と剣を合わせる。視界一杯に存在する敵に対し片刃の長太刀を乱撃して退かせつつ、複数の敵からの攻撃に対してはタワーシールドを地面に突き刺して壁を出現させ、まとめて阻んだ。
「護衛、感謝するわ。お礼は戦果で返させてもらうわね」
 その後方から、スレイの指示を受けて護衛を務めるスレイの配下に守られながら、パッフェル・シャウラ星銃バスターショットで射撃を行う。パッフェルの放つ銃弾はアイディールを始めとした前線組を避けて敵である兵隊だけに直撃していた。
(パッフェルさんは優秀な狙撃手です、であるが故に敵の狙撃手から狙われやすいでしょう)
 スレイは一旦戦列から離れ、特にパッフェルを狙い撃とうとしている敵の気配を探る。
(見つけましたよ)
 そして見つけた敵、鏖殺寺院の古参兵へレーザー式短機関銃による攻撃を仕掛け、注意をパッフェルから自分へ引きつける。狙われたことに気づいた敵がスレイの目論見通り標的を変え、銃弾を発射してきた。
「狙いが甘いですね」
 しかしその攻撃はスレイの術中であり、容易に回避される。今度はスレイがお返しとばかり、敵の力を吸い取る力を持つ拳銃を構え、発射した銃弾の軌道を大きく変化させて複数の方向から攻撃を浴びせる。悲鳴をあげた敵が倒れ、拳銃を通じて生命力がスレイに流れ込んできた。
「一人、仕留めました。遊撃に移行します」
 戦果を確認したスレイが拳銃を仕舞い、再びパッフェルを狙う者の気配を探った。


「皆様、退いてはなりません! 勝利をこの手に掴み取るその時まで、進み続けるのです!」
 白銀に輝く剣を地面に突き立て、堂々とした立ち振る舞いのレオナイゼ・タクトレーネスが声を発せば、傷つき戦意を失いかけていた契約者が勇気づけられ再び立ち上がる。レオナイゼの指揮するヴァルキリー、古王国の守護乙女古王国の守護乙女が負傷した契約者の肉体と精神を回復させ、戦線の維持を担った。
(ふふふ、わたくしの美貌と気品、そこからにじみ出るカリスマに皆様、感銘を受けていますわ!)
 上機嫌で微笑むレオナイゼだが、その肝心の美貌は瘴気の影響を和らげる効果のあるマスクに隠されてうかがい知ることができなかった。
「ツッコむべきか悩むんだけど……まぁいいわ! 今は目の前の敵に集中!」
 セイニィ・アルギエバ星双剣グレートキャッツを両手に出現させ、水晶の兵隊へ斬り込む。片方の剣で兵隊の剣を受け止めもう片方の剣で脇から腹を切り裂いて致命傷を負わせ、回し蹴りでトドメを刺す。
「一体討伐! って、今度は三体で!?」
 一対一では勝ち目がないと悟った兵隊は、集団でセイニィに襲いかかった。これをセイニィは『跳躍』で逃れるが、運が悪いことに跳んだ先に銃撃を重ねられてしまい、銃弾は剣で弾くものの地上に戻されてしまう。そして降りた先には八体の兵隊が待ち構えていた。
「セイニィは僕が守る!」
 被害を覚悟したセイニィだが、後方から自らの身体を光条兵器の光として瞬間移動した空音 見透がすれ違いざまセイニィの後ろの兵隊を斬り伏せ、前の兵隊の振り下ろした剣をセイニィの胸越しに受けつつ兵隊とすれ違い、蒼く輝く刀身の片手剣を振るって斬り伏せる。横から襲いかかろうとした兵隊の振り下ろした剣はセイニィのそれぞれの剣が阻み、セイニィはその状態でくるり、と回って兵隊を斬り伏せた。
「リーチが不安だったけど、もしティセラさんやパッフェルさんじゃこうはいかなかった。セイニィが貧乳で良かった」
「ありがとう、助かったわ……なんて素直に言うと思ったかこのバカぁ!!」
 真剣な表情で告げた見透の顔にセイニィの拳がめり込んだ。

「……私が出るまでもなかったようね」
「そうだね。セイニィさん、ナイスツッコミ」
 吉井 玉子の言葉に、パッフェルはどこか嬉しそうにこくり、と頷いた。
「私も頑張らないと。パッフェルさん、一緒に頑張ろうね!」
「ええ」
 再びこくり、と頷いたパッフェルと別れて、玉子は敵意を探しつつ共に戦う契約者へ光の力を付与することで戦線の維持に貢献する。


「ネフェルティティ様の呪いは、選定神ジェルジンスキーが死んだことで解けかけている。ジークリンデ様と言葉を交わせているのもそのため」
「ねえ、テティスさん。ネフェルティティさんの言っていた『あなたならすべてを解決できたはずだ』というのは――」
「……ごめんなさい、そこまでは思い出せないわ。『ライブラリィ』の調子が取り戻せていたら……でも、それは恐らく私たち十二星華にも関係している。
 それだけは間違いない」
 首を振るテティス・サダクビアフレデリカ・レヴィルイーザ・レイシュタインが気にしないで、と労う。
「ありがとう。……そうね、これは私の推測混じりだけど」
 そう前置きして、テティスが告げる。
「ネフェルティティ様は本心から王国を滅ぼそうとは、考えていなかったと思う。王国と民を守ろうとしていたのでは、と」
 テティスの脳裏で、王国を守れなかったネフェルティティの境遇と、女王を守れなかったティセラの境遇が重なる。シャンバラが滅んだ2500年前も今と同様、地球と結びついていたことから複雑な状況にあったのは想像に難くない。根は同じながらも意見の相違からすれ違うことはどの世界の歴史でも繰り返されてきた、それがシャンバラでも起きていたのかも知れないとテティスは続ける。
「ネフェルティティの言い分が本当だとしたら、二人の性格になんとなくだけど想像がつきますね。目的のためならば犠牲もやむを得ないと考えるのと、犠牲を好まないのと」
 どちらがどちらか、というのは確定はできないが、おそらくネフェルティティが前者でアムリアナが後者だったのかもしれない、とルイーザが口にする。
「……呪いを解くには、どうしたらいいの?」
 ネフェルティティにかけようとしていた言葉を失ってしまったフレデリカの問いに、テティスは答える。
「理子の『斬姫刀スレイブオブフォーチュン』で『斬る』ことで、呪いは解放されるわ」
「普通に斬るだけではないのですね?」
 ルイーザの問いに、テティスが無言で頷き、ついにダークヴァルキリーの元へ辿り着いた理子を見つめる。
 『鍵』は自ら気づく必要があるのだ、と言わんばかりに――。
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