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建国の絆 第6回

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建国の絆 第6回
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 女王復活の儀式を成功させる/4
 
 
 遂にこの日がやってきた。
 氷上 美夜子は決意を込めて、女王復活の儀式に加わる。
(普段であれば、剣の侍従たる私か旦那様や奥様をお守りするところでございますが、今回は立場が逆転し。私が旦那様や奥様をはじめとする皆様にお守りいただく立場。
 ご迷惑をおかけすることのないよう、シャムシエルに操られるなどの事態にならないようにしなくては)
 剣の守護者を操るシャムシエルの能力を警戒し、美夜子は同様に剣の花嫁種族の神子であるミーミル・リイと事前に相談して、有事には護国の聖域を重ね掛けすることなどを打ち合わせた。
 儀式が始まり、女王へ神子の波動を送る。
 集中する前に、二人の主人へ視線を走らせた。
(葦原の神子としての使命、必ず果たしてご覧に入れますわ)


(オレは反シャンバラとか、難しいことは解んねえけど……。
 皆が頑張ってきたことが失敗するのはやっぱり嫌だ!
 だからよ、その手伝いになるっていうなら、オレの気合くらいいくらでも出してやらぁな!
 行くぜ、ジーくリンデの姉ちゃん、兄貴や他の多くの兄ちゃん、姉ちゃん達の想い……ここから届けてやっからな!)
 ヴィーリヤ・プラジュニャーは儀式の陣の中、神子の波動を女王に送りながらその姿に語りかける。
 無数のシャムシエルの影が八方から迫って来るのを感じるが、小山田 小太郎らが守ってくれると信じて儀式に集中した。
 だが、皆で送っている神子の波動が、女王の波動と合わさっていない、そんな違和感を感じる。
(くっ、何だ、この音痴な感じ!?)
 捕まえられそうで捕まえられない、そんなもどかしい感覚だ。
「まだまだ……こんな気合じゃ女王も寝ちまうぜ。
 気合入れてけ、オレ……!! うぉぉお!」



 成すべきことをしなかった。
 故に女王として認めるわけにはいかないと。

 妹であった者の、怨嗟の言葉が刺さる。

 ——そう、自分は両方を惜しみ、両方を失ってしまったのだ。


 滾るヴィーリアの叫びが、儀式の妨害を排除すべく立ち回る小太郎の耳にも届いた。
「ヴィー君も頑張っています。
 ……ならば、彼の契約者である自分が頑張らない訳にはいきませんね」
 自分を兄貴と呼んで慕うヴィーリアの頑張り、熱意、笑顔、優しい想いを支えようと。
 彼や他の儀式に参加する仲間達を護ることが、己の成す全てだ。
「皆の邪魔はさせませんよ」
 邪念を払って集中した小太郎は、無我の境地に至ってシャムシエルの影を迎え撃つ。
 害意に満ちていると予想していたシャムシエルの影は、意外にも小太郎以上に無心だった。冷静なのではなく、そこに心は存在していない。
 生きた存在にしか見えないのに、生ある者ではないとはっきり解った。
 感情があるかのように表情も動くが、動きとは全く関係なく変化するのが不気味ではあった。
 勿論その程度のことで動揺を誘われることはない。
 小太郎は冷静に影の攻撃をいなし、反撃に転じてパイルバンカーを穿った。


 儀式の場に美夜子を送った草薙 大和草薙 コロナは、儀式を成功させるべく、妨害を撃退する為に立ち回った。
「重要なのは、「倒す」よりも「突破させないこと」だな。
 シャムシエルが相手なら、使ってくる武器は光条兵器だろう。
 防御は無意味ということも念頭に入れておかないと。
 回避主体のヒットアンドアウェイを主軸にするのがいいだろう」

 実際のところ、現れたシャムシエルの影は想定外とも言える人数だったが、二人の作戦にほぼ変更はなかった。
 ドラゴンスレイヤーを地面に突き立てた大和は、アルティマ・トゥーレで氷の床を展開する。
 動きを拘束され、隙ができたシャムシエルの影を、コロナがすかさずドラスレに光を纏わせた女王の剣で薙ぎ払った。
 コロナが体勢を立て直す間に、大和はエアリアルレイヴのアクロバティックな動きで、先の攻撃を避けた範囲外から押し寄せるシャムシエルの影達を攻撃して行く。
 大和とコロナは同時にソニックブレードを乱発し、シャムシエルの影をまとめて退けて行った。
 しかしその防衛ラインをすり抜けて、シャムシエルの影達が陣へと走って行く。「行かせません!」コロナは最速の突きを繰り出した。
 コロナの迅雷斬を喰らったシャムシエルの影は転倒し、追いついた大和がとどめを刺す。
 他の影も小太郎が仕留めているのを見てほっとした。
「儀式の邪魔は、絶対にさせないですよ」
 まだまだシャムシエルの影の数は多く、気が抜けない。
 それでも大和もコロナも臆することなく臨戦態勢を維持した。



 納屋 タヱ子は、スターランスを振るって影に対峙する。
 陣の近くに位置取り、特に、ジークリンデに向かおうとするシャムシエルの影があればすぐに対応できるよう、常に注意しつつ戦った。
 こちらの全滅を図るような戦力を投入して来たとはいえ、シャムシエルの目的は女王の力のはずである。
「激しい戦力差だな。
 だが気持ちの上で負ける訳にもいくまい」
 ルクラ・プレオが、自身とタヱ子に連続して盾のルーンを施す。
「背中は任せるがよい。長期戦への備えはしておる」
「ありがとう」
「勝って帰るぞ」
 ルクラは長期戦を見越し、消耗を抑える為に光条兵器ではなく実刀である綾刀を手にして戦う。
 そして戦いながら、タヱ子に決して盾のルーンの効果が消えないように気をつけた。

 シャムシエルの影の攻撃を、タヱ子は幻影の翼による回避術によって躱した。
 シャムシエルの影は、追撃をバックステップで躱されると、攻撃して来ない相手とみなしたのか、フイとタヱ子から離れて陣の方へ駆けて行く。
「あっ、行かせません!」
 タヱ子の声と共に、ルクラが回り込んで斬りかかった。
 するとシャムシエルの影も応戦する。
 更に複数のシャムシエルの影が、まとめて攻めて来た。
「くっ、強い!」
 ルクラは押されて行くが、そこへジェノ・サリスが援護に入った。
 シンギュラル・アシスト・アーマーを装備して能力を上げたジェノは、シャムシエルの影がこちらに反応し、攻撃が届くより先にその動きを見切り、カウンターのような形でトライアルソードの一撃をぶち込んだ。
 殆ど胴を分断される程の負傷を受けたシャムシエルの影は、そのまま倒れる。
 ぼこりと砕けると、土塊のような状態になった。
「シャンバラ復活の為に皆、骨を折ってきたのだ。
 妨害をさせるわけにはいかんな。ご退場願おうか!」
 ジェノの言葉に、また別のシャムシエルの影がフンと笑う。
 感情があるのか、それとも本体が何処かで聞いていて反応をしたのがこの影の表情にそのまま現れているのか、言葉を発することはない。
 ジェノは構わず、猛然と攻めて行く。

 ユファラス・ディア・ラナフィーネが、負傷したルクラ達の治療を行った。
「すまぬ」
「何、オレにできるのはこれくらいだ。少しでも役に立てればな。
 ——さあ、用意は整っている。怯まずに行け」
 ユファラスの檄を受け、回復とブレイブハートの能力アップの支援を受けたルクラ達は、再びシャムシエルの影に対峙して行った。
 シャムシエルの影は、個々が恐ろしく強いわけではない。
 冷静に戦えば勝てない相手ではないようだが、数が多い為に苦戦を強いられてしまう。
 ユファラスはサポート役として、他にも負傷した者達を回復し、檄を飛ばして援護して回った。
 
 
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