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建国の絆 第6回

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建国の絆 第6回
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 女王復活の儀式を成功させる/3
 
 
 ミーミル・リィは儀式の陣の中で、ジークリンデを見つめて祈る。
 集まった皆で輪になって手を繋ぎたい、と思ったけれど、それぞれの立つ位置は、手を繋ぐには少し遠かった。
 だがミミには、皆がすぐ隣にいて、手を繋いでいる気持ちになっている。
(ミミは……この日の為に作られて……生まれてきたんだね……。
 ずっと森で眠ってたてて王国を復活させる使命を果たす為に……女王様、ミミ達にシャンバラの加護をお与えください……)
 そうして、神子の波動を、女王に送り続けた。
(2500年……ミミからは一瞬だったけど……送り出してくれた……皆が未来を託した……切なる願い……叶えさせて……。
 ミミに託された……その想いを……!)



 呼ばれている。
 儀式の清浄な結界、神子の波動の中でたゆたいながら、想う。

 果たして自分は、器に戻ることが正しいのか?



「奇襲に備えていましたが、めっちゃ正面からでしたね」
 シャムシエルが姿を現す少し前に、「来た」と察知した諏訪部 楓だったが、実際に現れた数を見ては苦笑するしかなかった。
 しかしやることは同じである。
「さてメリクリの時間です!
 半年早いクリスマスプレゼントのお届けだ!」
 楓は、クリスマスチェーンソーを低く構えてダッシュする。
 それは斬られた者が『メリークリスマス!』という悲鳴を上げるデコチェーンソーだったが、シャムシエルの影は基本言葉を話さないのか、斬られても叫び声を上げることはなかった。


 アレクス・エメロードは儀式の陣を上空からヒポグリフに乗って見下ろしていた。
 陣の真上は避けるようにと言われているので、陣を中心にその周囲を旋回している。
 名状しがたき獣にも同様に周囲を探らせていた。
 司書の眼鏡をかけ、敵が隠密で近づいても察知できるよう備えている。
(ミミは大切な妹分だ。兄ちゃんが絶対守ってやるからな)

「まさかミミちゃんが神子ちゃんだったとは〜。
 流石ボクのパートナーちゃんなだけはあるね♪」
 シャーロット・フルールは、ミーミルの嫁の血を飲んで能力を強化した。
 勿論彼等ばかりではないが、神子のパートナー達が儀式の陣の最終防衛ラインを守る流れになっている。
「みんなの悲願が叶う正念場♪
 この星炎剣を託されたからには、絶対守りきるよ☆
 妖精団長の名にかけて!」
 まずは、とシャーロットはエリザベート・ワルプルギスを呼んだ。
「リザ校長ちゃんっ♪
 二人でダブルブリザード協力攻撃しよっ♪」
「はあ?」
 儀式の陣の中で、エリザベートが振り返る。
「ばかシャロ……」
 ミーミルが溜息を吐いたが、エリザベートはあっさり陣から出てきた。
「一人でできないんですかぁ、仕方ありませんねぇ、一回だけですよぉ」
「これ。八紋(神子の紋)より中は集中じゃ」
 アーデルハイトが一応止めるも、エリザベートは取り合わない。
「生徒が助けて欲しいならぁ、助けるのが校長の務めですぅ」
 すぐに帰ってきますぅ、と言ってシャーロットのところへ来ると、同時にブリザードを放った。
 一帯に強力な寒波が襲い、範囲内のシャムシエルの影を凍りつかせる。
 動けなくなった者もいて、意識を取り戻す前にと十文字 宵一達が素早くとどめを刺していく。
「どう?
 リザ校長ちゃん。ボクの魔法もすごくなったっしょ♪」
「まあまあってところですねぇ」
 更なる努力を続けるように、といっぱしの教師のような説教をたれ、エリザベートは儀式に戻ってアーデルハイトに怒られていた。


 禍津四不像にまたがり上空から、リイム・クローバーは神の目による強烈な光を発し、シャムシエルの影達を攻撃した。
 不可視の存在は現れない。どうやらシャムシエルは、この大量投入の影の中に、伏兵を紛らせておくことをしていないらしい。
「物量で使い切っちゃってる感じでふか」
 その時地上から、シャムシエルの影が展開した剣の結界の、光の剣がリイムに向けて放たれる。
「リイムぅ——!!」
 案じる宵一の叫びが上がった。
「大丈夫でふ。それより右がぬけられそうでふ」
「はっ」
 リイムの指示に、宵一はすぐに対応する。
 重いトライアルアックスだがトライバーストの三連続攻撃で、シャムシエルの影を退けた。
「だがこいつはキリがないな。消耗戦だ……」
「というよりは、防衛戦ですよね」
 守護の大盾を構えて、御舟 恵那が言う。
 儀式が終わるまで、シャムシエルの影を陣に近づけず堰き止める。
 勝利条件は殲滅ではなく耐久時間だ。
「だがこの数相手にちまちまやっていても抜けられる。全力で行くぞ」
「はい」
 宵一は、パートナーやシャーロット達と組んで、攻撃特化のヴィーグリーズの陣を敷いた。
 斧を槍に変形させ、強力なビームを撃って攻撃する。
 禍心のカーマインで銃撃する恵那も、射程内の影達をオールスナイプで狙い撃った。
 上空のリイムも、タイミングを合わせて炎と氷の聖霊を召喚して攻撃する。

 シャーロットの星炎剣メサルティムが炎を纏った。
「行くよーっ光速撃! あっ、ボクだと炎速撃っ☆」
 宵一やシャーロット達の怒涛の攻撃にシャムシエルの影達が引いて行く。



 女王復活の儀式にあたり、国頭 武尊には一言主張しておきたいことがある。
「まず、妹姫と書いてシスプリと読むわけだが」
「武尊さん?」
 シーリル・ハーマンが、はい? という顔をする。
「シスプリさんから見れば地球人、とりわけ日本人は闘争心と猜疑心に満ちた存在に見えるかもしれないが、オレ達にとってのパラミタは古来より憧れてきた遥かなるアーケイディアだ。
 テロや貧困で地獄が浮上したのような様相を見せ始めてきた地球を離れ、辿り着いたシャンバラの地にて輝く栄光を掴みたいというのは必然なんだ!」
 ぐっと拳を握る武尊に、シーリルは持ち物の中に体温計はあっただろうかと思案する。
「シスプリさんに異端者だの企てる者だのと言われても、オレ達は女王復活を諦めない」
「正しいですよね?」
 勿論シーリルも、シャンバラの民の悲願を叶える為に可能な限り協力をしたいと思っている。
 武尊は万歳を掲げた。

「ウィナー・ネヴァー・クイッツ!!(勝利者は決して諦めない)
 ウィー・アー・ユナイテッド!(シャンバラと我々はひとつだ)

 女王陛下万歳!」

 いよいよシーリルが武尊の頭を標的に考え始めた時、武尊はすっと手を下ろした。
「とはいえ、妹一人幸せにできない女王が多くの民を幸せにできるのか、疑問ではあるが」
「ああ、武尊さんだったわ」
「お前オレを何だと思ってんの?」
「そういえば全粒粉を持ってたわと思ってました」
「そこ商品名で。『疲労がポン!!』だ。
 とにかく、ここまで付き合ってきたら最後まで付き合うのが義務ってもんだ。
 オレ達の栄達の為にもな!」


 とやっている内に、シャムシエルが襲来した。
 武尊は禍心のカーマインを構え、乱戦の中、オートロックオンで敵のみを標的に撃って行く。
 一方猫井 又吉は、小型飛空艇武羅漢で上空から戦況の分析を行った。
「女王陛下や校長達に猫又工業の存在をアピールするチャンス!」
 ぐふふふふ、と抑えられない含み笑いをした後で、又吉は十人の舎弟を従えるシーリルに、籠手型ハンドヘルドコンピュータで情報を伝える。
「シーリルの右手で人数不足の苦戦があるようだ」
「了解、向かいます」
 シーリルは舎弟達を統率し、スタジアム内の各戦闘を弾幕援護で支援する。
 自ら戦うのも手だが、随時周囲の戦闘に支援して行く方が効果的と判断した。
 舎弟達に指示を出すシーリル自身に、シャムシエルの影が攻撃を仕掛ける。
 しかしすかさずシーリルは、剣の結界を展開して迎え撃った。
「邪魔はさせません!」
 
 
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