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建国の絆 第6回

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建国の絆 第6回
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 女王復活の儀式を成功させる/1
 
 
 ろくりんぴっくスタジアム中央に、女王を『光臨』させる為の陣が張られた。
 複雑な文字と紋様で模られた、三角を二つ重ねた、いわゆる六芒の形、そのひとつの三角のそれぞれの角に台座が置かれ、その上に三つの『女王器』が置かれた。
 重なるもう一つの三角の、ひとつの角に先ほどまで会場内の警備を行っていたミルザム・ツァンダが立っている。
 残る二つの角には、スレイブオブフォーチュンと高根沢理子が立つ予定であったが、今はダークヴァルキリーの対処に向かった為、代わりに高い魔力を持つエリザベート・ワルプルギスアーデルハイト・ワルプルギスの二人が立っていた。
 六芒の外側を八角の紋様が囲んでいる。その角のひとつひとつに、この場に集まった、
 メビウス・アウラニイス
 ヤーコプ・レクター
 氷上 美夜子
 ヴィーリヤ・プラジュニャー
 ロザンナ・神宮寺
 ミーミル・リィ
 の六人の神子達が立った。
 さらにその外側を円形の紋様が囲み、その一番外側の円の上には、儀式の陣に結界を張るべく、等間隔で校長達が立つ。

 そして、この陣の中央には、シャンバラ女王として覚醒するべく、ジークリンデ・ウェルザングが佇んでいた。


 アーデルハイトは、ようやくこの儀式にこぎつけた、という表情をしつつも半分疲れたように溜息をついた。
 アーデルハイトは地球のヨーロッパから、この儀式の為にテレポートして来たのだった。
「全く、これだけの長距離テレポート、どれだけのお金がかかると思っているんじゃ!
 だが、まあ、女王復活の儀式の為ともあれば仕方あるまいが」
「そうですよぅ。ぐちぐちとセコいこと言ってる時ではありませぇん」
 そう言って、エリザベートはちらりと外周の校長達を見る。
 その場には、駆け込みで到着したばかりのパラ実校長、石原肥満の姿があった。


「校長が全員集結って……石原校長はどうするんだよ!?
 採決なら委任状でも用は足りるが、儀式の場はそれじゃ済まされねえだろ!」
 そう思った弁天屋 菊が、この儀式に間に合わせる為、ガガ・ギギ親魏倭王 卑弥呼と共に、誘拐された石原校長の大捜索を行ったのだ。

「じゃあ、あたいが校長の居場所を占ってあげる」
「お前適当なこと言ってんじゃねえよ」
「適当じゃないよ!
 こう、英霊の力でぐわーっと占うんだもん!」
「菊、とりあえず環菜に話を聞いてみようぜ。
 あとは、会えればキマク家の当主か……マレーナ……は、会えるのか?」
 卑弥呼の占いを無視して、ガガは菊に提案する。
 そうだな、と頷き、菊達は可能な限りの手勢も集めて各地を奔走し、最終的には闇龍が召喚された場所に程近いところで、石原校長を発見したのだった。
「校長! よかった、無事か!?」
「おうおう、すまんなぁ、やれ本当にえらい目に遭った。
 ……何かはよう思い出せないが」
 菊の迎えを喜びつつも、石原校長の様子は何処か抜けている。
(おいおい大丈夫かよ、このじいさん? ぼけてんのか?)
 菊は内心不安になったが、とにかく急いで空京に連れて行き、こうして女王復活の儀式には間に合ったという次第である。

「やれやれ。何とか連れてこれたぜ、ふう」
 儀式の場に立ち会う石原校長の姿を見て、菊はほっと安堵した。
 これでパラ実とキマクの面目も立ったというものである。
 あとは、その儀式が無事に終わるのを祈るだけだ。
「はー、これで会場前を抑えてる屋台でカチ割り氷でも売ってられれば平和なんだけどねぇ」
 カガの溜息に菊は笑った。
「そうだな。無事に儀式が終わったらやろうぜ」


 影野 陽太邑垣 舞花らは、儀式の結界を張る校長の一人、御神楽環菜の護衛を重点的に行う。
 陣の中心に居るジークリンデより先に、外周の各校長らが狙われる。
 陽太にとって、愛しい存在である環菜の護衛に専念することは必然だった。
「ふむ。協力いたしますわ」とエリシア・ボックもそれに付き合う。
「では、若輩ですが私が統括させていただきます。
 まずは担当を分けさせていただきますね」
 あらかじめ舞花は、自分のパートナーや陽太達と打ち合わせた。
「全力でお手伝いします!」
 空花 凛菜が意気込む。
「凛菜さんは索敵をお願いします」
「はい!」
「エリシア様とハロンさんは前衛を」
「攻撃は最大の防御ですわね」
 エリシアが頷き、ハロン・リグラッドも「了解」と答える。
「ノーン様には、有事の治療役としてご活躍を期待させていただきます」
「もちろん! いっぱい協力するよ!」
 ノーン・スカイフラワーは無邪気に笑う。
「陽太様、DDM−23は環菜様の護衛をお願いします」
「はい」
「畏マリマシタ」
 DDM- 23が一礼する。
「シャムシエル以外のことも気をつけておいた方がいいとは思っています」
 陽太の言葉に舞花は頷いた。
「伏兵がいるかもしれない、ということですね。
 私も気をつけていますが、凛菜さん、よろしくお願いします」
「気を引き締めておきます」
 索敵を任された凛菜が頷く。
「シャンバラの歴史の重要な局面に立ち会えて感無量です」
「必ず成し遂げましょう」
 決意を込めて、陽太がそう言った。



◇ ◇ ◇



 スタジアムを囲む観客席、そこに大勢のシャムシエルが現れた。
「やあ、邪魔しに来たよ!」
 恐らく本人に隠れているつもりは無いのだろうが、一見で本物がどこにいるのか判別できない。だが何処からかシャムシエルの声が響き渡る。
 妨害を予測はしていたが、その数の多さに校長達は少なからず驚いていた。
「これは、あまり美しくない光景だな」
 大量のシャムシエルを見渡し、ジェイダス・観世院が肩を竦めた。
「どれだけの魔力を使っておるんじゃ」
 アーデルハイトは半ば呆れている。作製に何らかの魔力媒体を使っているのは間違いないにしても多すぎだ。
 作るのは幾らでも作れても、操るのは本体の力だろうに。
「あはは! ちょっと頑張ってみたよ! 剣の花嫁達を掻き集めてくるより、ボクが自分で来た方が確実だと思わない?
 さあ、女王は観念するんだね! キミ達の絆とやら、ズタズタにしてあげるよ!」
 その声と共に、シャムシエルの影達が一斉にスタジアム内になだれ込んだ。

 金鋭鋒が、剣の柄に手を掛ける。
「これは……よくないな」
 呟きに、ハイナ・ウィルソンも眉を寄せた。
「わっちらの張る結界は、攻撃を防ぐ壁ではありんせん。
 陣の清浄化の為でありんしょう?」
 校長達は儀式に結界を張る役目として加わっているが、その結界は女王を護るものではない。
 攻撃魔法は防げるはずだが、物理的なものや人の出入りは自由にできるのだ。
 そもそもこの儀式は、敵襲を前提としたものではない。


 チェルシー・ニールは、パートナーの白波 理沙の剣、ダークブライトにライトタレイションで光の力を付与した。
 更にパワーブレスで身体能力を強化する。
「ジークリンデさんの身に危険があって欲しくないですが……」
 チェルシーの心配そうな言葉に、理沙も頷いた。
「ダークヴァルキリーは……ジークリンデさんの妹は、ここに攻めて来るのでしょうか」
「それは、向こうの人達に任せるしかないわ。
 ジークリンデも心配だけど、私達は校長達の護衛につきましょう。
 この儀式で最初に狙われるのは、陣の一番外側にいる校長達なのだから」
 理沙はチェルシーの心配にそう答える。
 校長達が強いのは解っているが、今、彼等の最優先は儀式の方だ。
 戦闘に備えた様子ではいるものの、現時点で陣を離れて攻撃に行くことはない。
 またシャムシエルの影の強さを見て、理沙は積極的に攻めて行くのではなく、防衛役になる判断をした。
「心強いでありんすな。
 よろしく頼むでありんすえ」
 これで結界の方に集中できる、とハイナが微笑んだ。
 
 
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