【奥へ】・2
船上では、砂の葉に獣母、火焔の対処に皆が追われている。
ぐるりと見渡すだけでは分からないが、どこかに見えない幽巫と綿毛が潜んでいるはずだ。
一方で、無灯は何処かへと姿を消しているようだった。
船の後方では、静香とともに
佐丹 舞桜が再び飛び込んできた火焔の対処をしていた。
「あの変態の情報を頼るのは癪だが……世界の為だ、やるっきゃねぇだろ!」
前衛に出た舞桜は、ウィスパードを構える。
「静香たちの邪魔はさせねぇ! 道は俺達が切り開いてやるぜ!」
ATDアシストユニットと黒猫のマントで素早さを高めた舞桜は、危機回避と瞬刻の見切りを駆使して、炎を吹きつけようとする火焔の攻撃を避けつつ突っ込んでいく。
「ナラカの連中や闇の眷属たち何かに、世界を壊されてたまるもんですかですぅ!」
レライエ・フィーアツェーンは、アクティベートでEMライフルを召喚し、構える。
舞桜がウェポンマスタリーを応用したソニックブレードで、火焔を切り裂く。
「行くぜ! 俺の全速力を……俺の意地を、見せてやるぜっ!!」
レライエはワンホールショットと外部FCSで、狙いを定める。
「相手が誰であろうと…ただ、撃ち抜くのみですぅ!!」
ブラインドナイブスの一撃が追撃するように火焔を撃ち抜いた。
火焔は吹き飛ばされ、再び船上から姿を消した。
「闇に没した世界……そんな辛気臭い世界なんて御免ッスよ」
黒典礼 サバトが、再び船に取りつこうとした獣母の前に飛び出した。
「船ごと喰らってやろう」
「あんたらの思い通りにはさせないッスよ! 世界には、光が必要なんッスからね!」
前衛に出たサバトは、仕込み竹箒によるハウスキーパーで獣母を牽制する。
「どうしてこうなったか訳が分からないけれど……今回ばかりは逃げる訳には行かないね!」
キュゥビイ・ブラッディジュエルがサバトの後ろで声を上げる。
「今まさに、クライマックスシーン! 今こそ、マスコットとして活躍する絶好の機会なんだ!」
火焔の炎を受け、傷ついた舞桜を、碧の癒しで回復する。
「大丈夫、皆は闇なんかには負けないよ……信じてる! 皆、頑張れえぇぇぇーーーーっ!!」
ユニゾンヘルプで元気付けられたレライエたちが、再び獣母を狙う。
「うるさいマスコットから食べてやろうか」
獣母に狙われたキュゥビイが、すっとサバトの後ろに隠れた。
レライエは物陰に隠れながら、シャープシューターで大雑把に狙いを付けた射撃で獣母を牽制していく。
一切手は止めず、撃ち続ける。
シャンバラの加護と甲身で防御を固めたサバトがキュゥビイを庇う。
「やらせはしないッス! 皆はあたしが守るッス!」
舞桜がソニックブレードを放ち、獣母を船上から追いやった。