〈野営地防衛戦(5)〉
野営地後方では、
黒瀬 心美ら“レッドフレイム”の面々と
ルーテンシア・ウォンがロイドらに加勢して騎士たちと共にゴブリンと戦っている。
“レッドフレイム”がここに駆けつけたのは、
黒瀬 心愛が鷹を飛ばして野営地周辺を索敵し、いち早く異変に気付いたからだ。
一緒に来た
輝神教の司祭は、ゴブリン部隊との戦いに備え心美と心愛の為に輝神に祈りを捧げた。
輝神教の司祭によって魔性の力に対する加護を得た心愛は、ゴブリンたちの前に自らの幻影を作り出して一旦下がると心美に告げる。
「姉さん、あの者たちの急所も通常のゴブリンと大差無いでしょう。私が援護します」
それを聞いた心美は多数で迫るウォーリアーに剣を大振りした。
周囲の敵を纏めて薙ぎ払う大技にウォーリアーらは悉く吹き飛ばされるが、ウォーリアーの陰に潜んでいたバーグラーは心美の攻撃を回避し奇襲を仕掛ける。
すると、心愛が鎖付きのスピアを投擲してバーグラーの攻撃を妨害し、その間に心美が盾を突き出しフェイントを見せた。
バーグラーは調子を崩され手にしたナイフが空を切るが、直後ナイフを持ち替え心美に振り下ろす。
心美はそれを受け流し、刺突剣でナイフを鮮やかに弾いた直後にその切っ先をバーグラーの脇下に突き刺した。
深い刺突と強烈な電撃でバーグラーは地に伏す。
「ようやくここまで来たんだ、勝って大団円といこうじゃないか!」
「ええ。その為にも最後まで気を抜かずに、です」
心美と心愛は視線を交わし頷き合った。
ルーテンシアの方はウォーリアーに対し続けざまに蹴りを放つ。
纏う闘気は灼熱、強烈な熱と共に繰り出される彼女の蹴りを食らったウォーリアーはひとたまりもなかったが、巧みに連係を取るゴブリン部隊はバーグラーが遠距離からスピアを飛ばしルーテンシアを攻撃した。
ルーテンシアは逆立ち状態で蹴りを繰り出していた体勢からそのまま体を低くして転がりスピアを避けると、その場でバーグラーに拳を突き出し闘気を遠当てする。
バーグラーはルーテンシアの闘気に豪快に殴られ、付近の騎士が突撃する好機に繋がった。