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レヴァナント・クロニクル 王都決戦

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レヴァナント・クロニクル 王都決戦
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〈野営地防衛戦(3)〉


 ゴブリン部隊の襲撃は野営地側面や後方にとどまらず、正面からも迫りつつあった。
 蒼心院 響佑率いるパーティ“月虹”は凄まじい勢いで敵兵が迫る野営地正面に立つ。
 手始めに、柚月 紗依が響佑の弓と浅井 侑果が持つ二枚の盾に順に輝神の加護を授けた。
 そして、野営地防衛のための簡易陣地のような意味合いで結界術式を発動させる。
 響佑は弓を銃形態にして構えると、
(野営地くらいは護り抜く……俺の意地を見せてやる)
 と並々ならぬ気迫を滲ませた。
 ゴブリンウォーリアーは剣を手に前衛の騎士たちに襲い掛かりその隙にやはりゴブリンバーグラーが回り込むが、そこに侑果が躍り出る。
 しっかりと手に馴染んだ二枚の盾を最大限に活用し、侑果はバーグラーの奇襲を受け流した。
「私の盾は、皆を護り支えるためにある……前線で戦ってくれている人たちの為にも、ここを護りきってみせるわ!」
 攻撃をいなされたバーグラーは、すぐに付近からウォーリアーの援軍を呼ぶ。
 奇襲特化のバーグラーとは対照的な正面戦闘型のウォーリアーが立ちはだかるが、侑果は怯まず盾を構えたまま突進し、抉るような回転を掛けた盾をウォーリアーの体に激しく叩き付けた。
 打撃の衝撃を体内にまで受けたウォーリアーがよろめくと、侑果の盾の後ろに控えていたアシュレイ・ルフが間髪を入れず飛び出す。
 別のウォーリアーが侑果に剣を振り上げていたからだ。
 加速術式で素早く動いてウォーリアーとの間合いを詰めたアシュレイは、杖に風の精霊の力を宿し、槍のようにウォーリアーに突き刺した。
 致命傷とはいかなかったものの侑果がそのウォーリアーに向き合う時間は十分に稼げたようで、アシュレイから逃れるように後退したウォーリアーに侑果が容赦なく盾で追撃する。
 彼女たちの働きで後顧の憂いを断つ事が出来た騎士は、敢然と目前のウォーリアーに挑んだ。
 すると、狡猾なゴブリンたちは直近の仲間と連係し体勢を立て直そうとするが、そうなれば今度は響佑の銃が猛る。
 次々と素早く魔力弾を装填する響佑が撃つのは麻痺弾だ。
 被弾したゴブリンたちは途端に動きが鈍くなり、前進出来なくなった。
 そんな仲間を援護しようと他のゴブリンたちが集まり出すと、響佑は精霊の加護を得て
「この地を護る。力を借りるぞ、アシュレイ!」
 とアシュレイを呼ぶ。
「うん、まっかせなさーい!」
 アシュレイは響佑の元に駆けつけると彼の背中に手を当てた。
 彼女の力を取り込んだ響佑は、風の力を一層強める。
 更に、ここぞとばかりに魔力充填器を使って銃の威力を上げ、
(俺の今持てる全てを以て、お前たちを吹き飛ばす!)
 と、限界まで引き出した力をゴブリン部隊に放った。
 風の力を持つ激甚なるエレメントの奔流は、集まり始めていたゴブリンたちを一気に呑み込み滅していく。

 この後の戦線を維持すべく働くのは紗依だ。
 ドーム状の光壁を簡易陣地として張っていた紗依は、ゴブリンとやり合って負傷した騎士を救護所まで行かずとも戦線直近で治療しようと自身の元に集めた。
「今すぐ回復しますから、私に近付いて下さい」
 紗依に導かれた騎士たちは彼女の高位治癒術式で傷を癒し、重傷者はそのまま救護テントに移動して完治した軽傷者はすぐにまた戦線に戻る。
 響佑の全てを懸けた一撃と、彼の仲間たちによる奮戦と支援がこの場の戦局を優勢に大きく傾けたのは言うまでもない。

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