〈ルクサス調査(5)〉
教会の結界が起動するまでの間はどうしてもアンデッドの脅威からは逃れられない。
狩屋 海翔と
狩屋 恋歌のパーティ“比翼連理”はアンデッドらを少しでも減らそうと街に立つ。
恋歌はアンデッド対策として海翔の銃に輝神の加護を施すと、
「海翔さんにも輝神の加護がありますように……」
と触れるだけの口づけを落とした。
この状況下でこんな不意打ちは……狡い。
覚えた軽い目眩は可愛らしい事をする妻のせいか……いや、瘴気のせいだ。
ふらついた海翔を本気で心配して、恋歌は回復術式を掛けた。
その場凌ぎにしかならずとも、これで少しの間は生命力も活性化される。
だが、海翔が礼を言う間もなく、建物の陰から続々とアンデッドらが姿を現し二人を囲んだ。
海翔は銃を構えるが、とても彼だけで対処出来る数ではない。
恋歌はブレスレッドから雷弾を飛ばしてスケルトンを牽制し、広範囲に天から光を注がせてウィル・オー・ウィスプらを浄化する。
ここまですれば海翔も戦いやすくなるだろう。
仕上げに恋歌は教典を開き海翔を守る為に彼の前に光の壁を展開した。
「ありがとな。あとは俺の後ろで目ぇ瞑ってろ」
海翔は恋歌を背に庇い、翼を広げて彼女の視界を遮る。
敵を撃退する残酷な光景を妻の澄んだ瞳に刻みたくはない。
こんな時はエヴィアンで良かったと心から思う。
直後、海翔の銃口から地の力を宿した銃弾が放たれた。
素早く次弾を装填し、海翔は冷静に標的を見つめ照準を定めるが、倒しても倒しても付近から新手がやってくる。
とはいえ、こうしてアンデッドが彼らの元に集まるという事は、それだけ味方が救われているという事だ。
「風穴開けるだけじゃ済まねーのか? めんどくせー奴らだな!」
海翔は時折恋歌に回復術式を施してもらいながら、新手に水の銃弾を集中的に降らせて足止めした後、銃撃で仕留めていった。