■プロローグ■
――“ユニオンジャスティシア”本拠地・ウェルフェア姫令部(きれいぶ)前
“ユニオンジャスティシア”の本拠地である、アメリクス大陸の
ウェルフェア姫令部を臨む草原に、
“アクシスパワーズ”のウェルフェア姫令部攻略拠点の姫令部は設置されていた。
「いよいよね」
「いよいよですね」
「ここまで来たな」
飛姫のチーフ・
メッツァー様(Bf109)の言葉に、艦姫のチーフ・
ナデシコ(戦艦“大和”)と車姫のチーフ・
ミシェル(ティーガーI)は感慨深く頷いた。
“ユニオンジャスティシア”の総攻撃を受け、ナデシコとミシェルは妹たちを庇って撃沈され、辛うじて生き残ったメッツァー様も霊兵装をフルに纏うことができないほど、一度は壊滅寸前まで追い詰められた“アクシスパワーズ”。
メッツァー様も実のところ、次の総攻撃の知らせを受けたら、降伏しようと心に決めていた。
しかし、これはどうだ。
ワールドホライゾンとのゲートが繋がり、特異者たちが教導官として協力すると、枯渇していたマトリクスが集まるようになり、総攻撃の際に撃破され、撃沈され、墜落された妹たちが次々と冬眠用の繭(コクーン)から目覚めていったではないか。
加えて、ゼストという異世界から
山元 二九九元提督がやってくると、統合幕僚長となり、メッツァー様たちに無かった『戦略』をもたらして、“アクシスパワーズ”の行く末を導いてくれた。
また、アルテラから
ジュリーこと
ユリウス王子、大和から
鴨 希一、神多品学園都市から
高遠 愛美と
雲龍寺 麗香、千国から
織田 信長と
竹中 直子、ワンダーランドから
ミチル、テルスから
エーデル・アバルトと
ルーニャ、
ロメオといった、各世界の特異者が教導官として武姫たちを導いた。
その結果、
レイ(戦艦“三笠”)や
キリコ(戦艦“霧島”)、
レイ(零式艦上戦闘機)は師団長になり、メッツァー様たちチーフ並みの思考力・判断力を持つようになった。
彼女たちだけではない。この場には来ていないが、各地方の姫令部の運営そのものを任せられるだけの柔軟性を持つ基地司令ともいえる武姫たちが、次々と誕生したではないか!
「使われる兵器」であるはずの自分たち武姫が、教導官の指導の下、次々と人間らしくなってゆく……妹たちの成長に、メッツァー様は嬉しくてたまらなかった。
「あ、あれ……」
気が付くと、目から真珠のような水滴がとめどなく溢れてきた。
手で拭っても一向に止まる気配はない。
「メッツァー様は頑張ったわ。感謝してもし足りないくらいに」
「……次は勝利の涙を皆で流そうではないか」
感極まってしまったのだろう。
その気持ちが痛いほど分かるナデシコとミシェルは、他の武姫たちに見えないよう、さり気なくメッツァー様を隠した。
メッツァー様の感情の高ぶりが収まったころ、斥候に出ていた
キャット(ワイルドキャット)と
チイ(八九式中戦車)から、“ユニオンジャスティシア”の武姫たちに動きがあった知らせが入った。
“死の商人”山本大國が各世界に戦禍をもたらすために出荷する武姫を決める、“アクシスパワーズ”と“ユニオンジャスティシア”の決戦が始まろうとしていた――。
■目次■
プロローグ・目次
【2】遊撃隊に加わる
■本隊を狙う“ユニオンジャスティシア”遊撃隊の進軍を食い止める
■軽巡洋艦“ヘレナ”に引導を渡す
■激しさを増す、遊撃隊同士の戦闘
■踊れラスト・ダンス
■バカでアホで大バカで――そして、トモな奴ら 1
■バカでアホで大バカで――そして、トモな奴ら 2
■激戦の果てに
【1】ウェルフェア姫令部を攻撃する
■1-1.海上の激突
■1-2.女王の脅威
■1-3.志無き智謀と
■1-4.束の間の会談
■1-5.あの橋を超えて
【3】ヤーパンの姫令部を防衛する
3-1
3-2
3-3
3-4
3-4
3-5
3-6
【5】各世界に潜伏する武姫を倒す
世界の武姫 1
世界の武姫 2
世界の武姫 3
世界の武姫 4
世界の武姫 5
世界の武姫 6
世界の武姫 7
【4】山本大國を倒す
■ウェルフェア姫令部の最深部にて
■誕生、“神格兵器”
エピローグ1
エピローグ2