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亡界のロストチルドレン~完結編~

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亡界のロストチルドレン~完結編~
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4 臥緑に眠る者

 秘境の砦『臥緑』にはかつて特異者達や鷺鴉のメンバーと戦いを繰り広げたあのクラエロが眠っている。
 密林の秘境にある砦、そしてそこに眠るクラエロもまた、特異者達にとってはブランクの子ども達と同じく守るべき対象であった。
「皆さん、流石です……やっぱり、今までの戦いでちゃんと実力をつけていたんですね」
 乙町 空は子ども達の成長を実感しながら、彼らの援護を行っていた。
 テュポーン達はそこに人間がいれば襲う、という衝動を持っているように見えた。
 密林のあちこちから現れ子ども達を襲うのを、空は大盾のルーンを駆使して防御した。
「砦を、今はここにいる子ども達の命を守らないと……!」
 木の陰からわっと飛びかかる群れに向けて、空は無垢のガッダを振り抜く。
 ダストバーストの一撃で敵が四散し、子ども達からは歓声が上がった。
「テュポーンの襲来で、ここの子ども達はケンカどころではないようじゃが……まぁ、油断はできないじゃろうなぁ?」
 ジン・ラミィは周囲を警戒しながら傍らに眠る人物にそっと語りかけた。
 ジンは混乱に乗じてクラエロを襲う子どもがいるのではないかと警戒していた。
「おぬしは恩の押売りと言うかもしれぬな。じゃが、ヨミで喧嘩した縁じゃ。護ってやろう」
 周囲に迫るテュポーンの群れに対峙したジンは悪戯な魔糸を操り、ヤスデのような姿をしたテュポーンを捕獲した。
 操られた3匹はジンとクラエロの盾となり、襲いかかる群れに向かっていった。
「こんなに大騒ぎしてもクラエロはまだ寝てるの? 重要な局面だっていうのに、リージョンマスターの癖に情けないわね」
 キャスケット・モンガーはため息を付きつつ、ファミリアブリッツの雷撃で敵を遠ざけた。
 クラエロは周囲に雷が落ちてもテュポーンが大きな鳴き声を立ててもまだ起きる様子がない。
「いいわ。この人には後でジュースでも奢らせましょう!」
 ジンの周囲に群がるテュポーンに向け、キャスケットが不可視の一撃を加え退ける。
 その側では「ナニカサレタ」様子のヴェンデッタ・コープスが戦闘ロボットのように戦っていた。
「ワタシハドコ? ココハダレ? ウフ、ウフフフ」
 敵の攻撃には硬直皮膚で耐えているようだが、ヴァイオレントチェーンを手に戦う様にはまるきり主体性が感じられない。
 周囲にいる子ども達も何だか分からず、ざわついていた。
「あっ、倒れた!」
「死んじゃった!? た、助けないと!」
 テュポーンにたかられ、バッターンと倒れたヴェンデッタを見て慌てる子ども達。
 しかし、ジンは彼らに「大丈夫じゃ」と言った。
「フェイクデッドじゃ。見とれ」
 死んだようになっていたヴェンデッタはガバッと起き上がり、そのまま群がってきたテュポーンを諸刃撃ちで仕留めた。
 子ども達も特異者も、きっと今回の試練を逞しく乗り越えるに違いない。
 その背中は今までの中で一番逞しく見えた。

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