この先、どうしたら良いのか。
その事は、まだ子どもである彼らにとってあまりにも大きすぎる問題だったのかもしれない。
「みんな何で戦うんだ……何で戦うんだよ」
1人、ブツブツと呟く子どもの姿があった。
「そんなに死にたいなら、死ねばいいじゃないか!!」
武器を手に、叫び声を上げ、彼は仲間のもとへ突っ込んでいった。
テュポーンやギガンティックに積極的に向かっていく仲間の姿が彼にとってはある種の心理的ダメージとなったのだろうか。
自分自身の頭の中の問題に耐えきれず、ヤケを起こしているようだった。
「何やってんだ! やめろ!」
乱心した彼を止めに入ったのは【明日の実】の仲間とともにやってきた
古城 偲だった。
偲はアームディフェンスで攻撃を受け止めながら、その目をじっと見つめた。
幼い瞳は不安に震えているようだった。
「タクミの考えが不満なのは僕も同じだ。けど、君の父母を消し、家を奪い、友を殺したのはテュポーンだ! 君だって本当はわかってるんだろ!?」
偲の言葉に、彼の目からは涙が溢れた。
周囲では同じく反対派と思われる子ども達が何もできずに呆然と立ち尽くしていた。
イクリマ・オーは彼らの周囲にそっとマザーフィールドを張り、落ち着くようにと語りかけた。
そして、
エミル・コレットも子ども達の側へ歩み寄り、争いを止め皆と協力して戦うよう説得した。
「ここで争っても世界が救われないだけです。今はこのわたし達が生きている世界を守る為に皆で協力しましょう」
「でも……」
「皆さんがたとえ聞いてくれなくても言い続けます。わたしは、皆が傷つけあうのを見たくないんです!」
エミルは周囲の子ども達に向かって呼びかけ続けた。
偲に止められた子どもは地面に膝を付き、しゃくりを上げている。
「自分に嘘をついて同じ考えにならなくてもいいんです。ただ、あなたが攻撃しようとしていた子達はタクミさんじゃない……あなた達と一緒に今までここで頑張って生きてきた仲間です」
イクリマはプラシーボケアを交え、子ども達に語りかけた。
争うのも、混乱するのも、そしてテュポーンやギガンティックと戦うのも「生きたい」という思いからだ。
タクミの考えに賛成であっても反対であっても、子ども達の思いは元がその一つなのだ。
「ギガンティックをここで駆除できれば、タクミさんの計画がどうなっても私達の生存率はあがります」
まずは、生きなければ。
イクリマは子ども達に癒しの雨を施した。
同時に、ストロベリーズの歌が聞こえ、周りのテュポーンが倒されていく。
「そう、心を楽にしてください~」
「……辛いなら下がっていてもいいよ」
ラズベリーとブルーベリーが優しく言葉をかける。
「ここは私達が守るから大丈夫。でも、もし一緒に戦ってくれるなら
その力を貸してくれる嬉しいわ」
差し伸べられたクランベリーの手に、イクリマたちも笑顔で手を伸ばした。
泣いていた子どもは仲間に支えられて立ち上がり、やがて前を向いた。
「死ぬのは嫌だ……自分も、みんなも……!」
その思いが、再び彼を立ち上がらせたのだ。
ストロベリーズの協力もあり子供たちはテュポーンに立ち向かい、ストロベリーフィールズを守っていった。