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亡界のロストチルドレン~完結編~

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亡界のロストチルドレン~完結編~
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■メロディアに想い響かせ■


「疲弊しているマリスさんは表に居続けると消滅するかもしれません。だから、メロディアさんが戻って来るのはマリスさんの為にもなると思います」
 そうマリスに呼びかけるのは邑垣 舞花だ。
「“大人”のマリスさんは勿論引き際を心得ていらっしゃると思うのですが…私の過大評価でしょうか?」
 プラシーボケアによる話術で話しかけてみるが、静かに疑いの眼をかけるマリスに狙い所の効果は得られていないと感じる。
「もちろんよ。……だから私は戦っているの、引き際は今じゃないもの」
 攻撃を受けて多少負傷してはいるものの、マリスはまだ健在だ。
「メロディアは私の大切な体、渡すわけには行かないわ」
 マリスはきっぱりと言い切りました。
「いいえ、メロディアさんを取り戻させていただきます」
 タクミにタイムリンカーを渡した邑垣はメロディアに呼びかけるように、と。
「『みんなで遊ぼう』という言葉に大いに反応したメロディアさん。
 彼女にとって、この世界で苦楽を共にして必死に生きてきたタクミさん、ランファさん、トーマスさんとの絆は非常に強いからと、考えます」
 タクミが自分の中の思い出を引き出し、楽しかった思い出をタイムリンカーで周囲に幻影として映し出す。
「わたしもメロディアちゃんに戻って来て欲しいから、頑張ってお手伝いするよ!」
 ノーン・スカイフラワーがアコースティックギターを弾きながら、地球の唄を唄い、皆をリラックスさせていく。
 現状とは掛け離れた幸せな世界がそこにある。
 聞いていると沈んだ心が落ち着き、ほんわかしてくるというバレンタインヒムの聖歌に変り、タクミの心を一押しする。
「仕方ねーからみんなで一緒に遊んでやる。だから戻って来いメロディア!」
 その言葉に、一瞬マリスが反応するもののすぐに元に戻る。
「同じ手が簡単に通用すると思って? そう簡単にメロディアの意識を表面化させないわ。
 返して欲しければ私を無理矢理追い出すぐらいしないと」
「ああ、そのつもりだぜ!」
 マリスの挑発にタクミが真っ向から答えた。

*  *  *


「さあ、終わらせましょうか」

 マリスはギガンティックを複数集め、自身と融合させて巨大化する。
 これを見て、ロイ【ファミリア【レベル2】】を連れたロベルティーナ・アルゲラスがインパルスバンド【FA2】による衝撃波を放つ。
 だが融合したマリスはその攻撃を難なく受けきる。
 デフラグメンテーションで今までのマリスの動きを整理していく。
 特異者が何をしても楽しそうというか、データ収集的に見ているのか、多少自分が窮地に陥ったぐらいでは動揺しない……たまに、自分でワザワザ攻撃を受けているのではないかと疑うぐらいには余裕がある。
 ロベルティーナが放った衝撃波が様子見るためのものと気付いているのだろう。
 ちらりと、興味なさげな視線を一度送って来ただけだ。
 少し本気を出さねばと、フォリスタンとマリスを挟み込むように攻撃し始める。
 弱点を探すにしても、相手に本気になって貰わなければ見つからない。
 フールドリーマーで思案を巡らせながら、ロベルティーナは攻撃を続ける。
 プラシーボケアによる話術で、仲間達にやる気を引き出し、実際の能力も引き上げる。
 今の所は、大きな技を使いたがる傾向があるので、攻撃する兆しが見えたら突っ込まず距離を置く事を皆に薦めておくぐらいだろうか。
「新しい未来を創るんだろ、なら俺は先駆者らしくタクミたちにバトンを渡せるようにどうにかしてみるか」
 羽賀 芯はマリスに融合されたギガンティックを引き剥がす為に行動する。
 リッター【ファミリア【レベル3】】が憑依しているガウェイン【マンティスブレード【FA3】】がカマキリの力を宿し、高い切断力を持つ刃となって芯に融合する。
 狂戦士の膂力、オーバーヒートで自分の中の力を引き出し、狂戦撃でギガンティックへ向かう。
 ガウェインが繰り出す乱撃に対して、マリスはわざとギガンティックを一体引き離し、盾代わりにした。
「気前がいいな。知ってるか? 昔の賢者ってのは良い名言を残しててな。
 如何に堅牢な城であろうと、陥落しない城など存在しないんだとよ!
 だから、他の特異者も含め俺たち破壊班の全力でぶっ壊すんだよ!!
 無理でも無謀でも無い、これがアルモニー。調和の力だからな!!!」
 蒼心院 響佑が芯の後を続いて攻撃する。
「ギガンティックの数を減らし、マリス、お前の力を削いでやるよ」
 心が冷えるかと思うような冷ややかな声を蒼心院はマリスに向ける。
 バトルサポートユニットで身体能力を強化し、眷属状態になっているブラッディゴスが蒼心院の守りに入っている。
 弱点【銀】/鋼手刀で四肢が刃物のように鋭く変る。
「微力ながら、私も援護致します」
 シャノン・ティアクォーツが鋭刃のルーンで蒼心院の武器を四肢を鋭くさせる。
 そして、冷気で多少は動きが鈍ってくれる事を願い、霜のルーンで発生させた冷気をギガンティックへとぶつけていく。
 柚月 紗依が精神集中し、プラーナボムでギガンティックへ攻撃し、蒼心院への攻撃手を減らしていく。
 蒼心院は界霊獣サイレントが変化した剣・静寂のカツガ、鮮血を思わせる赤色の刃の剣・クリムゾンソードの2本を手に、コークスクリューによる捩じりの加わった攻撃で、ギガンティックの塊へと飛び込んでいき、姿が見えなくなる。
  ざしゅざしゅざしゅっ!! 
 何体かのギガンティックを刻むほどの力を見せるが、複数相手のため蒼心院も相応の反撃をうけダメージを負う。
「いい腕だけど少し無茶ね」
 高みの見物をしていたマリスだが、その眉間には小さくシワが寄っていた。
 ギガンティックは今融合しているだけで全部だからだ。
「でもこれで十分……十分殺しきれるわ」
 マリスが蒼心院に向かって飛ぶ。
 蒼心院も霧化して、ギガンティックのプレスから逃れる、少し離れた場所で実体を現す。
 柚月はすかさずヒールウィンドによる癒しの風で蒼心院を回復するが
 それを見越していたマリスが強烈な一撃を蒼心院に浴びせ、吹き飛ばす。
 さすがの蒼心院もガードした上からダメージを負った。
「……もうそろそろ終わりにしましょう。目障りなのよ、あなたたち」
 それでもギガンティックを倒したのは大きい。

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