■突き進め■
「マリス、世界を作るのは神ではない。その世界に生きる、人たちだ!
まして貴様のような紛いの神などの思惑通りになる道理はないと知れ!」
びしっとマリスを指差し、一喝するのは
クロウ・クルーナッハ。
ディメンションリライトで自分の足元の地形を隆起させ、遠くからでも自分の姿が見えるようにする。
そして、惹句の歌を唄い、ギガンティックを引き付け――わらっと集まってきた所でスターライト・フラッシュの眼晦ましだ。
そのギガンティックの隙を
加藤 藤次郎が襲う。
クロウのフラッシュだけでなく、彼自身もカメレオンチェンジで周囲の風景に溶け込み、ハイドアンドシークで気配を殺している。
「まるで暗殺者みたいだな…」
獣虫の戦魂による衝撃波も放ちつつ、加藤はギガンティックを一体一体確実に相手していく。
そこから離れた場所では、
タイガ・ヤカゲが蜻蛉の機械翅【FA3】で宙を飛び回りつつ、カモンベイビーでギガンティックを挑発し、一箇所に集めるように動き回る。
タイガが狙うは、自分の挑発に乗らないギガンティック。
そっちに目掛けて飛んで行き、目の前でバーンアウトによる炎を掌から吹き出して攻撃していく。
そんな誰しもが驚くような攻撃を受け、カモンベイビーが効かないはずがない。
怒ったギガンティックはタイガの後を追う。
カメレオンチェンジで風景に溶け込みつつ、タイガが連れまわすギガンティックに接近するのは
風間 瑛心だ。
SUファミリア【レベル5】を連れ、トータスガントレット【FA3】でファミリアを融合し、全身を硬質化させた瑛心。
全力をもって体当たりをかまし、それと共にショックウェアで纏った電撃と打撃ダメージを与えていく。
そして、充分に集まったギガンティックへ、オーバーヒートで自身のプラーナの流動を早めて力を引き出し、攻撃力・防御力を上げ、フレイムディザスターで体内で超高温の炎を生み出し、圧縮された炎が一気に解放され、天高く立ち昇る炎の渦が発生する。
火の粉が回りに飛び散るのは当然だが、近くにいたギガンティックは飛び散る所か渦に巻き込まれる。
もし、巨大化した場合を踏まえアーマーゴレム改に乗ってきている
セレス・ウルフ。
アクリャの
エスティア・ペィマンを乗せ、コンセントレーションによる集中力でザフィーアライフルを撃つ。
そして、スーパーナチュラルミサイルによる空間から霊的な追尾する光の矢をエスティアは放つ。
2人は正確にマリスを狙うが。
「あらあら、当たらないわよ?」
あの技、面白そうとマリスも同じような炎の技を使う。
しかし、火の粉を飛び散らせながら、アーマーゴレム改の身体にも降り注がれる。
敵の攻撃を受け、ダメージを負ってしまって動作停止寸前まで追い詰められてしまう。
ギガンティック戦に挑む加藤の姿をセレスは横目で見ながら、せめて彼には火の粉が被らないようにとゴーレムを移動させてセレスとエスティアはゴーレムから降りる。
そして、ゴーレムの影から、セレスは星幽銃で応戦した。
マリスはにぃーと笑みを浮かべ、ギガンティック達に手を伸ばす。
* * *
「この世界をこんなにしてしまった、マリスさん……。
タクミくんたちの選択に任せることにしたし……協力して倒さないと、だよねぇ……! 頑張らなくちゃ……!」
十朱 トオノの背後で彼のサポートに付く
エレミヤ・エーケロートは、宙に浮いたマリスを見て呟いた。
「……ブランクっつう世界の行く末は、タクミたちの選択に任せるからいいとして。マリスを倒さねえことには、未来を拓くことは出来ねえよなぁ」
ハンマー部分の中心に美しい紅玉がある槌――R.I.P.【アースブレイカー】を、左手一本で器用に持ち上げ、ぐるりを回す十朱。
エレミヤは蒼炎の生存本能で冷静沈着に、コールドリーディングでマリスを見て、周りのギガンティックを見て、行動を分析していく。
ファフロツキーズでマリスにギガンティックを近付かせないよう上空にプラーナで形成した様々な武器を出現させ、広範囲に降らせて攻撃していく。
「兄さん……! もうすぐバリアに変化があるよぉ!」
エレミヤは、シークエンスチェーンで近付いてくるギガンティックを拘束していく。
フレイムディザスター、ファフロツキーズの大規模な攻撃で、ギガンティックの数は減ってきている。
「おぅ!!」
ブラッディブーストで身体の一部位を加速させ、攻撃の威力を十朱は上げた。
ダストバーストで自身のリミッターを解除し、R.I.P.が高く振り上げられる。
「今まで好き勝手やって来たツケを回してやろう――とっとと、くたばりやがれ!」
パリンッ!!
――――あれほど、何度攻撃してもビクともしなかったバリアが、一瞬で、割れた。
過去のマリスが撃破されたのだろう。
「バリアが破壊された……?」
「はっ、お前自慢のバリアはなくなったな」
タクミが笑うと、マリスは一瞬無表情になるがすぐにまた不気味な笑みを浮かべる。
まだ余裕はあるようだ。
(攻撃しまくって、障害を打ち破る……俺は『矛』、か!)
テュポーンに向け十朱のカモンベイビーを伴った激しい攻撃。
「泣いても笑ってもこれが最後の戦い、未来がどうなるか分からないけど頑張ろう!」
硬直皮膚で上がった防御力を実感しながら、
羽村 空は大剣――エクセキューショナーを手にダストバーストで自身のリミッターを解放しマリスに向かっていく。
「ハアァァァ」
ガンッ!!
気合の入れた攻撃が、マリスを守るテュポーンを吹き飛ばす。
向かい側でも、タクミが渾身の力を持って攻撃している。
「貴女が語るその実験、残念ですが、失敗に終わらせます!」
マリア・ストライフは天階で雲を出現させ、聖なる光を差し込ませてマリスへと攻撃する。
攻撃が効かなくとも、全力で!
吹き飛ぶのはひたすらテュポーンとギガンティックのみだ。
「例え凄まじい力を持っていたとしても、一人の力は所詮一人なのです」
マリスが一歩踏み出せば、虚数魔銃を撃ちこみ動きを制するマリア。
「タクミ。アンタの覚悟、見せてもらったよ。新たな世界を作って、ついでにこの世界も救っちゃおうか」
にっとサムズアップする
安藤 ツバメに、タクミも同じように満開の笑顔でサムズアップする。
カルペディエムで咆哮し、自身の潜在能力を引き出す安藤。そして、その効果は周囲の仲間達にも及ぶ。
安藤は炎の特攻服【FA5】【ライグナイト【FA5】】を着込み、火風のプラーナ結晶の存在を感じながら、ファルコンダガー【FA1】を手にマリスへと突っ込んでいく。
ギガンティックに守られたマリスは、ふふふとばかりに笑い、リラックス状態だ。
「この荒廃した世界で神を気取るなんて、思い上がりだねぇ。世界を渡ってきた私達の力、見せてあげる!」
ウィップソードシルバーをウィップソードアクションで使いこなし、身軽に周りを飛び回る。
安藤の動きに合わせるように、マリアも体長3m程の龍型の界霊獣イノセントを召喚し、その背に乗せて飛行する。
マリスの上から下を見下ろし、安藤の攻撃に合わせるかのように攻撃する。