■メロディアに接近する為に■
ファミリア【レベル3】を連れていた
アリステア・C・ヴァルプルギスがシールドタブレットを使い1m四方の半透明のエネルギーシールドに変えて、守備を固めてテュポーンの群の前へと足を踏み出した。
バリアアップデートで防御力が高くなったシールドは多少の攻撃ではびくともしない。
ディセンバー・ノースが持つ界霊獣アブソリュートが変化した大斧が、ダークネスインパクトの威力を伴って禍々しい闇を纏い、テュポーンが暗闇に捕らわれる。
戦場の足法で不利な場所取りをする事無く、ディセンバーは大勢のテュポーンの中を掛けていく。
シガーセットの紙巻煙草を口に咥え、笑みと共に放たれる死の波動はテュポーン達をすくませ、動きを鈍らせていく。
「今を生きるだの別の未来を創るだの、生憎と俺ぁ興味無ェ。
ただ、現世で神サマ面してやがるあの若作りババアは気に食わねぇンでな。過去ごと目論見ぶっ壊して、後で吠え面を拝ませて貰おうじゃねェか」
現世のマリスの顔を脳裏に浮かべ、苦々しい想いをもってディセンバーは大斧を振るう。
「……俺達は、覚えている。……タクミや。トーマスや、皆といる時の。……メロディアの、楽しそうな笑顔を。
あの笑顔を……無かった事に、したくない。……させない。
その為にも……今、ここから。……過去から。君の心を、助けてみせる」
観察眼でテュポーンを見渡し、弱点を探し
遠近 千羽矢は、鮮やかな真紅の大弓――緋翼の弓【節制のダヌル】を構え、2本の矢で狙い撃っていく。
「過去も。今の未来も。別の未来も。チィが、守りたいと願うなら。ボクは、叶える。よ。
……何があっても、絶対に」
機神の眼を装着したアリステアはテュポーンを指定し、赤く染まって危険度の高い敵にストームランサーによる複数の短槍を飛ばした。
赤から緑色が混ざっていく。
次々に真っ赤な色をしたテュポーンへアリステアは攻撃をしかけていき、続いて遠近もヒートネクローシスで高温にしたCHファミリア【レベル5】でトドメとばかりにテュポーンを倒していく。
「コロナ、行くぞ」
虚ろう碧の太刀を手に、
草薙 大和がアーユーレディ!を発動させて飛び出していく。
コルリス流剣技を身につけた大和の剣捌きは流暢だ。
草薙 コロナもイッカクランス【FA2】を手に同じくアーユーレディ!を使い、走り出す。
狙うは遠近達の攻撃を免れているはぐれているテュポーン達である。
ファミリア【レベル2】を連れていたコロナはイッカクランスを腕に融合し、空気の流れ熱の変化に敏感になり、テュポーンの気配をも察知し、動きを先読みしていき、囲まれないように気を配る。
狙うはマリス。
大和の行き先を誘導するようにコロナは走る。
「『皆が生きている別の未来を作り上げる』タクミさんが見出したこの世界の希望を、潰させるわけにはいかないです。
マリスさんを打ち倒すため、わたしたちも全力を尽くして戦うですよ!」
マリスとメロディアの間を駆け巡り、テュポーンを惹きつける匂いを発生させている 誘引のファミリア【レベル1】を連れている大和と共にカモンベイビーでテュポーンを惹きつけていく。
硬直皮膚や狂戦士の体躯で防御力が上がり、更に一気撃滅で自身に練り込んだ気を纏わせた
ヴォルト・ライゼノークは二人と違う方向へと走り出す。
ビーストメイルも身に付け、これなら多少の攻撃を食らってもちょっとやそっとじゃ倒れない。
「この世界の希望がどうとか難しい話は知ったこっちゃねぇが、マリスだのテュポーンだのは気に入らねえな。
気に入らねえ奴はぶん殴るのがヴァイキングの流儀ってもんだ。一丁派手に暴れるとしようかね!」
遠近やコロナのように敵の動きは読んでいないが、無策というワケではない。
ただホライゾンシェイカーを手に真っ直ぐに突っ込み、コークスクリューの捩じりを加えた突撃で、テュポーンを大和達の方へ追いやる。
(うまいこと坊主や嬢ちゃんのいる方向に吹っ飛ばせりゃ、テュポーン共は二人の力を引き上げる為の「餌」に早変わりってな)
無数のテュポーン数だ。
アーユーレディ!で何処まで力を引き上げてくれるのか。楽しみである。